授業分析で向山型算数を目指す 第9回

再び「待たない」を意識する

      TOSS加賀 岩田史朗                  

 

 算数MLでは毎日のように授業分析が発信されている。

どの先生の授業分析からも、授業が上手くなりたいという熱い思いと自己否定、そして同士としての強い連帯を感じることができる。

現在、自分が発信してきた授業分析は87回で止まっている。

 全ては自分の怠惰のせいである。

 

 実は算数ML以外にも授業分析を発信するMLがある。

 分析用語検討委員会ML(通称Z検)である。

 Z検では、週ごとにテープ起しの担当者を決め、授業分析を発信しあっている。

 5月の第4週は岩田の担当であった。

 そこで、久しぶりにテープ起しを行った。

 以下に示すものである。

【0秒】
T 教科書31ページです。
T 四角の2です。
C 32ページ?
C 1ページ。

【11秒】
T 下の表は、はい。
C 読む。(すぐにつまってしまった。)
T ストップ。
  下の表は、ある牛が、です。さんはい。
C 読む。
T ね、ちゃんと用意していた人、いっぱいいるんだね。
  もう一回読むね。さんはい。

テープ起しをして、まっさきに感じたことは

待っている

ということであった。

最初の指示から次の指示が出るまでの約10秒が長いのだ。

きちんと準備をしていた子にしてみれば、まさに空白である。

案の定、Z検の先生方からもこの点を多く指摘していただいた。

「間」は1〜3秒でよいとのことであった。

本連載の第1回目は『テープ起しで「待たない」を意識する』であった。

そこでは、次のように述べている。

テープ起しをすることでようやく「待たない」を意識することができたのだ。

そして、テープ起しを続けることで、少しづつ「待たない」ことができるようになったのだ。

(『道』No1 P14より引用)

テープ起しを怠ることで「待たない」を意識できなくなっている、そう強く感じたテープ起しであった。

 

次の日、さっそく「待たない」を意識して授業にのぞんだ。

以下にテープ起ししたものを示す。

【0秒】
T 32ページです。
C 開いている。
T はやいなあ。

【5秒】
T 四角の3、下の表は、みんなで、はい。
C 読む。

【25秒】
T ね、パッと読める。さすがです。
  念のためにもう一回。さんはい。
C 読む。

 最初の指示と次の指示の間は5秒に縮まっている。

 録音したものを聞くとすっきりとした印象を受けた。

 テープ起しで再び「待たない」を意識することができたのだ。

 

 向山氏は「学級通信スナイパー」の中で

自分の弱さを射続けろ

 と述べている。

 テープ起しを続けることは怠惰な自分を射続けることであるのだ。

 この言葉を胸にあらためてテープ起しに挑戦したい。

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