授業分析で向山型算数を目指す 第7回

授業開きはノートスキルで

      TOSS加賀 岩田史朗                  

 

 新学期が始まった。

向山氏は述べている。

教師は、新学期の算数授業の第1時間目に何をするか。そう、ノートの書き方を教えるのだ。

「この1時間だけで完了」というように扱うのだ。

(「向山型算数教え方教室 No4」P6より引用)

 向山型算数のキーワードの一つに、ノート指導がある。

うっとりするノートが書けるようになることで、子どもの力は伸びていく。

そして、ノート指導が「この1時間だけで完了」にするために絶対欠かせないもの、

それは、

向山型算数ノートスキル

である。

 ノートスキルをはじめて目にしたのは、2年前11月に行われた向山型算数セミナーin名古屋で

あった。木村重夫氏が代表をつとめるサークル「祭りばやし」が提案したものであった。

その年は、初めてノート指導を意識した年であった。

しかし、指示だけでノート指導をする難しさを感じていた。

「これがあれば、一発でノート指導ができる!」と感動したのを憶えている。

次の年の向山型算数教え方教室4月号(No19)ではノートスキルが特集された。

待ってましたとばかり印刷し最初の授業で行った。学年は3年生であった。

次のように指示した。

このプリントで勉強するとノートがとてもきれいに書けるようになります。

ノートがきれいに書けるようになると勉強がぐんぐんできるようになります。

左のページをよく見て、まず日付とページ数を写しなさい。(日付とページ数を板書)

ページ数は赤鉛筆で囲みなさい。写せたらもってきなさい。

(授業記録より)

教室はシーンとなった。教室には鉛筆の音だけが響いていた。

ノートスキルの力を腹の底から実感したときであった。

しかし、今思えば何と荒っぽい指示をしていたのだろう。

趣意説明の後、いきなり突き放しているようなものである。

事実、もってきたものを見ると説明のふきだし部分をなぞっている子がいた。

指示の悪さを感じるとともに、ノートスキルをさせる際の指示、効果的なユースウエアの必要性を

実感したときであった。

そして、本年度。

ノートスキルをする際どう指示しようかと考えていたとき、算数MLに木村重夫氏のメールが流れた。

件名は「出会いの向山型算数ノートスキル」、内容はノートスキルをする際の指示、そしてユースウエ

アであった。

飛び上がるほど喜んで、さっそく追試した。

以下がテープ起ししたものである。

T じゃあ、これから、えー、勉強ができる子ってのはどの子もノートがきれいなんです。

C そうなん!

T これから誰でもノートがきれいになるお勉強をします。

鉛筆と下敷き、を出してください。

他のものは特に必要ありません。ね。

T プリントを配ります。

T ノートスキルといいます。きれいなノートのお手本が左のページにのっています。

日付、4月というところがあります。指でおさえてごらん。

T お隣と確認してごらん。

T P2、教科書2ページというところです。5年生の復習問題が6問書いてあります。

T 左ページのお手本をよく見て、右ページにそっくりそのまま写します。

点点点を丁寧になぞるんです。

T ふきだしマークは説明なので写しません。

C ふきだし?

T あ、ふきだしマークってのがありますね。こういうのです。(板書)

こういうのをふきだしマークといいます。これは写しません。

T んんっ。2問目までできたら、岩田先生のところにもってきます。

そのときは、岩田先生のほうに向けて、お願いしますといってもってきます。

2問目までできたらもってきます。

C やっていいが?

T ページはよくわかるように、赤鉛筆でなぞります。もちろん、ミニ定規も使うんですよ。では、始め。

 時間差がかなりできたので、はやくできた子から6名板書させた。

丸つけの際に丸の書き方も指導した。

後は根気よくノート指導を続けるのみである。

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