授業分析で向山型算数を目指す 第5回

ほめ言葉を磨く

      TOSS加賀 岩田史朗                  

 

向山型算数では子どもをシャワーのようにほめる。

 まさに、ほめてほめてほめまくるのだ。

ほめ言葉はもちろん力強く、子どもの頬がポッと赤くなるくらい心をこめて言う。

そして、子どもは授業に集中し、テストの点数が上がり、算数大好きになる・・・。

 

では、実際の授業はどうであろうか。

 以下は12回目のテープ起しである

【1分31秒】
C ノート?
C はい。
T よし、頭いい。書いて。
C やった!
T よし。
  よし。
  よし。
  よし。

 ほめ言葉は最初から最後まで「よし」の連発である。1回だけ入る「頭いい」が救いの神というべきであろうか。

とにかく何とも貧困なほめ言葉である。これでは子どももうれしいはずがない。

 もっともっとほめ言葉のバリエーションが必要なのだ。

 こんなときお世話になるのが、北海道の千葉康弘氏HP(算数で使える誉め言葉100http://www4.ocn.ne.jp/~yasu-c/homekotoba/home1.html)である。

 授業ですぐに使えるほめ言葉が100個、ずらっと並んでいる。まさに圧巻である。

 使いたいものをピックアップし、授業案の隅にメモするなどしてどんどん使っていきたい。

 

 また、算数MLではほめ方のコツを教えていただいた。

 一つは名前を入れてほめるということである。

 以下は25回目のテープ起しである。

T ノートにりつこと書きなさい。
C 書きました。
T よし、さすが。
C 書けました。
T Aさんもやるな。
  ノートにその式を写しなさい。
C 書きました。
C 書きました。
T よし、Sさんも調子出てきたな。
C 書きました。
T よし、Yさんも元気いい。

 子ども達の「書けました」の声がどんどん大きくなっていったのを今でも憶えている。

 子どもは名前を呼んでほめられたいのだ。

 もう一つは具体的にほめるということである。

 以下は28回目のテープ起しである。

【2分48秒】
T よし、きれいな円だ。
C やった。
T よし。
T よし。
T よし。

 「きれいな円だ」のときは「やった」と声があがり、「よし」のときは無言であった。
 これは明らかにほめ言葉の違いである。

 どこがいいのか明確にほめられたとき、子どもはうれしいのだ。

 

 しかし、名前を入れて、具体的に、バリエーション豊かにほめたときでも、ほめ言葉が子どもに届かないときがある。

 それは、どこかにできて当たり前という気持ちがあるからである。

 腹の底から、子どもの努力、変化に感動していないのである。

 向山氏は述べている。

「小さな事実」を見つけ、感動し、子どもをほめることを続けるのです。そうした毎日毎日の、一つ一つの行為の末に、すばらしい実践を手に入れられるのです。

(教育トークラインNo192 P7〜8より引用)

 この言葉を胸に刻んでおきたい。

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