授業分析で向山型算数を目指す 第3回

番号をふって指示を簡明にする

      TOSS加賀 岩田史朗                  

 

 教科書には計算問題がズラーッと並んでいるページがある。

 「れんしゅう」や「ふくしゅう」のページに多い。

 そこを子どもたちにやらせるとき、ちょっとした混乱が起きた。

 「〜までできたらもってきます。丸をもらった人は〜までやりなさい。」と指示するが問題数が多く、指示された問題が探せないのだ。

 結果、教室は質問の嵐となった。

 この結果を算数MLに発信するとさっそく返信があった。

 問題に番号をふらせればよい、ということであった。

 なるほどである。

「56÷7までできたらもってきます。丸をもらった人は64÷8までやりなさい。」より

「Bまでできたらもってきます。丸をもらった人はGまでやりなさい」のほうが圧倒的にわかりやすい。

 

 以下に示すのは65回目の授業分析である。番号をふらせるやり方を追試したところである。

T E、番号をいっていくので教科書に番号をつけなさい。
  1番56÷
  2番45÷
  3番64÷
  4番30÷
  5番32÷
  6、24÷
■番号をふっていくやリ方を追試した。
 1列を例示した。
 6問の例示は多かったか。

【34秒】  
T 残り順番に1個番号をつけなさい。
C 先生、ここずらーっと?

T そう。

【1分6秒】
T 上の1列をやります。
C 先生、まって。番号つけていません。
C わり算のやり方わすれた。
T 最初にBまでやります。
  丸をもらった人はEまでやります。
  では、はじめ。
■番号でどこまでやるか指示するとすっきりしていい。

 この後、1人の子から何番までするのか質問がでた。

しかし、質問の嵐になることはなかった。(質問した子にはにっこり笑って「言いましたよ」で返した。)

ちょっとした配慮だがひじょうに効果があった。

 

以下に示すのは56回目の授業分析である。

 【3秒】
T 丸の3、下の8問をやります。
  28÷4、指で押さえてごらん。
T お隣と確認。
  この問題ができたらもってらっしゃい。
■ここでまだ教科書を開いていない子が
 何人もいた。
 時間調整が必要であった。
 結局、その子達が後で質問を連発する
 ことになってしまった。

ここでは言葉で指示するだけでなく、する問題を指で指させている。

しかし、教科書を開いていない子が何人もいたのだ。

教科書を開いていないのに指で指せるわけがない。

(お隣と確認させているが、確認したかどうかの指示がない。これも問題である。「お隣と確認できたところは手を挙げなさい」等の指示が必要である。)

結果、質問の嵐となった。

では、ここで指で指させるのではなく、番号をふらせてはどうか。

番号をふることはここでいう時間調整にもなる。

順番に番号をふっていくだけなので混乱も少ない。

 子どもたちがシーンとなって作業に集中していく姿が見えるようである。 

 番号をふらせる、何とも奥の深い指示である。

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