授業分析で向山型算数を目指す 第1

テープ起こしをすることで訪れた大きな変化

       TOSS加賀 岩田史朗                  

 

 向山型算数MLに3分間の授業分析を発信してから5ヶ月が経つ。

現在までに51回発信した。

次ぎに示すのは記念すべき1回目の分析である。

【0秒】
T ノートに日付とページ数を書きます。
C 書けました。
T はやい、頭がいい、はやい子は賢い。
C ・・・(聞き取れない)
T あっ、まってて
C ・・・(聞き取れない)
T はい
C 先生何ページや
【38秒】
T 本日から新しいところに入ります。
  たし算とひき算
C ・・・(聞き取れない)
T あとでとってきたら
【1分5秒】
T たし算と引き算と書きましょう。
  もちろん四角は定規使うんだよ
  はいさすが、Sさんはやいね
  (後略)

次に示すのは51回目の分析である。

【0秒】
T 教科書77ページを開きなさい。
C 開きました。
T さすが、Mさん。はやい。
T 日付とページ数を書きなさい。
C 書けました。
T え、もう書けたの?すごいねえ。

C 書けました。
【9秒】
T 黄色い本の5です。
C まってよ〜先生、書いてない子のことも考えてよ〜。
T 一本135円のからみんなで、読みます。さんはい。
C 読む。
T よし、しっかり読めた人、たくさんいる。
  念のためにもう一回。さんはい。

(後略)

1回目の分析と51回目の授業で大きく変わったことがある。

それは、

待たなくなった

ことである。

1回目は日付を書かせるだけで1分以上かかっている。問題に入るのは、2分以上たった後であった。

51回目ではどうか。

なんと開始9秒で問題に突入している。この変化は大きい。

向山型算数のキーワードの一つとして「待たない」は有名である。

向山型算数を学び、「待たない」ことは知っていた。

しかし、実際の授業ではどうか。

待っているのである。それも思いっきり待っているのである。

テープ起こしは自分の授業をありのまま再現してくれる。

テープ起こしをすることでようやく「待たない」を意識することができたのだ。

そして、テープ起こしを続けることで、少しづつ「待たない」ことができるようになったのだ。

授業分析は正直言って苦しい。

テープはすぐにたまってしまう。

しかし、それだけに力になる。

今回1回目と51回目を比べてみてあらためてそう思った。

授業分析の1回目を発信したとき、鹿児島の有村先生が教えてくださった向山先生の言葉である。

教師修行は裏切らない。

この言葉を胸に授業分析を続けたい。


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