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金沢市生活保護、「特別控除」「未成年者控除」未実施について 金沢生健会 広田敏雄 070603

はじめに
 金沢市は生活保護実施要領に定める運用を誤り、「特別控除」「未成年者控除」について未実施であることが判明した、市の説明では、実施している世帯もあるというが、実施要領に定められた運用について基本的な考え方を誤っているものである
 金沢市はこの運用を早急に改善し、今まで支給がされなかった被害者に対して職務責任者によるお詫び、そして受けられたであろう保護費の追支給、事件の詳細の調査と再発防止策についての発表をしなければならない

1,経過

 ・4月中旬、生健会に電話で「金沢市は生活保護の特別控除と高校生の未成年者控除を実施していない、制度の内容を教えてほしい」と相談あり、実施していないのはおかしいので調査しようと提案、本人は自分が行くと不利益を被るのではないかと拒否

 ・生健会独自で制度の実施状況を確認するため生活支援課に電話で問い合わせると、特別控除は賞与のあるものだけに実施、高校生の未成年者控除は実施していないと回答、その後、数回にわたり金沢市に控除しない根拠と実態を問い合わせたが、電話では、今までそうしている慣例である、自分のところの裁量ではないか、など、その実態と何を根拠としているかが明らかにならなかった

 ・4月24日直接生活支援課に出向き具体的な内容を確認、直接の担当者との面接後、課長補佐に課内の担当責任者として次のことを確認した
*金沢市では「特別控除」を年間を通して働いている者のうち、賞与のあるものだけに適用している
*適用は担当者任せであるが、タイミングとしては賞与の時期にそういったことを部内で一斉に作業しているはずである、賞与のないものについては、もともとその対象者とはしていないので、その作業には該当しない
*この取り扱いは、今まで金沢市としてずっとそういう決まりでやっている、自分が在籍しているここ3年間はそういった運用としている
*根拠は特にないが、生活保護手帳などをみると必ずしも全員に実施するとは書いてないと思う、しかし指摘されるとおかしいとも思うが、今の時点ではどうするといったことは言えない
おおむね、こういうことを聞き出した
 ・高校生の未成年者控除については詳しいことは当日確認できなかったが、直接の担当者は
*高校生は学業が本分だから、働くことに控除をしては自分の小遣いが増えるので趣旨から反すると思う
*金沢市はこれについても、今までずっとこういった取り扱いをすることになっている
と答えている

 ・4月24日石川県厚生政策課に電話で、金沢市のこれまでの誤った対応について、その事実を掌握しているか、そのことをどう認識するか、どういった対応をするかなどを問いただし、県として金沢市に対して早急に対応を取ること要望した

 ・その後何度かの電話やりとりで県の担当者と名乗る係は、市とも話をして承知している、金沢市の対応については各福祉事務所の「個々の裁量」であるので、あなたと金沢市の当事者同士で話をするようにとの案内であった、県として「特別控除のあり方」についてどのような正式見解を持つのか尋ねるが、担当自身の「感想程度」の回答しかしないため、正式な回答を「厚労省」などと協議し返答するように要望した

 ・連休後の5月上旬、再度見解を尋ねたところ、厚労省も「個々の裁量」だと返答したとのこと、それが正式な回答なのかと尋ねても、電話に出たものがそう言った、ということでその厚労省の回答者の名前も聞いていないとのこと、そのためその係の上司にその見解を尋ねようとするが、当日は連絡が取れなかった

 ・5月10日、上司と連絡が取れる、一応自分が県の正式な回答をする立場だということで対応する、しかし、最初に話をした係の見解がすべてだというので、詳細に説明し「あなたがその責任を負うことになるがその回答でよいのか」と尋ねると、「もう一度自分が調べるので時間がほしい」ということで、再度返事をもらうことを約束した

 ・14日直接県庁厚生政策課を訪ね、担当した係とその上司という方と面談するが、まだ調査中とのことで、こちらの見解を詳しく述べてきた

 ・17日県庁で厚生政策課課長と面談、課長は実施要領を見ると市の判断には疑問があるので、市の根拠を聞いたうえで調べて回答すると約束、担当の対応については対応が不十分と謝罪した

 ・同日、金沢市支援課に行き詳しい根拠を確認すると、根拠は無くそういうやり方を継続していただけである、これからは全員実施する、遡及は一年と考えている、とのことであった、金沢市に対しては、遡及は可能な期間すべて行うこと、今回の問題の原因調査と今後そういった漏給が無いように申し入れた、予算の関係で多額の遡及は困難との話が出され、直接私たちが市長に説明し予算について配慮してもらう旨を伝えた

 ・これを受けて、県の課長にも市の対応を伝えた、今後県として県内の福祉事務所で漏給がないか調査し、今後そういったことが無いように指導と職員教育に配慮するよう要望した、また今までの県の職員の対応には問題があったが、今回はそれは問わないと伝えた

 ・5月29日県社保協とともに、生活保護の改善を求める要望書を提出した際に、市側からこの問題についてはあらためて研究しているとの回答にとどまり、これまでの説明をご破算とした
 ・この時点で確認した金沢市の根拠とするものは、生活保護手帳別冊、「問384」にある臨時収入の取り扱いを指し、臨時収入のあるものは特別控除をするものであるというものである、
 ・また、この時点で金沢市の「高校生に対する未成年者控除未実施」を正式に確認した、その根拠は、以前から主張していた仙台市の取り扱いのなかで高校生の特別控除は、収入をすべて学業に必要な経費として使うために収入認定しない、そのため未成年者控除をする必要がないので、その控除をしないでも良いかと厚生省に問い合わせたところ、厚生省からそれはしなくても良いと、文章で回答がされたためである、それをもって厚生省が文書で「高校生が未成年者控除をしなくても良い」としているということである、これをもって金沢市はその控除をしないことは正当であるというものである
 ・私たちはこれらは根拠として適当でなく、金沢市には根拠が全くないことを主張し、金沢市に対して、市民の立場に立った解決の早急な実施をあらためて求めたが、金沢市側は回答の日時や方向について約束をするに至らなかった

 ・6月1日、尾西県議からの情報によると、詳細な内容はまだ不明であるが県内では加賀市も実施漏れがあると、県からの報告があるということであった
 新後加賀市市議会議員によると、先日加賀市の生活保護関係者が県からそういったことを指導されたようで、そのことについて立腹しているとの情報が確認された

3,解説
「特別控除」
・生活保護で支給される金額は「基準額」−「収入認定額」=「支給金額」となる
・基準額はそれぞれの世帯の構成する人数、年齢、家賃などによって定められる
・収入認定額は、勤労収入の場合で言えば、支給される金額全額ではなく、まずそこから実額経費の分として税金や社会保険料・組合費など給与から差し引かれるもの、さらにその勤労に必要な経費として、保育料、学童保育料、交通費なども差し引く
・実額以外に「勤労意欲を助長する」ためにという意味合いも込めて、直接必要な計算できる経費の他に収入金額や職種によって、毎月の分として「基礎控除」という毎月一律に差し引くものがある
・さらに、今回問題となった「特別控除」は、「毎月の控除でなじまない」とされる経費として、年収の一割(限度額あり)を「特別控除」として控除することになっている
・運用にあたってはボーナス月において控除するのが望ましい、という運用をしているものであり、「ボーナスのない勤労者については毎月控除が適当な場合には均等控除もできる(別冊問答集問384)」とある
・さらに収入に対する控除としては他に、新規就労控除や未成年者控除などがある
(資料)
*(4)勤労に伴う必要経費、ア基礎控除、イ特別控除、ウ新規就労控除、エ未成年者控除.jtd

*抜粋=○生活保護法による保護の実施要領について(昭和三六年四月一日)(発社第一二三号).jtd

*=抜粋=○生活保護法による保護の実施要領について(昭和三八年四月一日)(社発第二四六号).jtd

*=抜粋=○生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて(昭和三八年四月一日)(社保第三四号).jtd

「実施要領」
生活保護の根拠となる法律は「生活保護法」 ◆昭和25年05月04日 法律第144号
であり、さらに施行するにあたって、生活保護法施行令 ◆昭和25年05月20日 政令第148号 によって、役所の財源事務手続きなどが定められている
この、生活保護法は「憲法第25条」に規定する理念(生存権)に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することを実現するものとされている

生活保護法には各種扶助の種類とその考え方が記載されているが、各扶助による具体的な生活保護の実施にあたっての基準額や取り扱い方法などは、厚生労働大臣が設定するとされている

その設定は、事務次官通達・関係課長通知などによってこと細かくその内容が指示されており、さらにその解釈をめぐり厚労省(厚生省)と現場との文章による、制度発足以来のやりとりが例示され、それが実施要領と呼ばれ生活保護行政に関わる職員が手にする「生活保護手帳」「同別冊」に記載されている

さらに、各自治体ではそれぞれの地域独自の特殊性を持つ事例を疑義解釈したものとして、生活保護手帳では足りない部分の補足を内容とした自前の「手帳」を持ち、それも加えて業務を行っているところもある

「生活保護手帳」は発行後翌年度以降に新たな通達や通知などが出るとその内容が更新されるが、生活保護基準を定める基準金額が毎年変わるために、現状では毎年該当年度分として発行されている、全国でその業務にたづさわる公務員は業務上の必要書籍として公費で支給されている
各福祉事務所では生活保護手帳を業務バイブルとして、その生活保護手帳に基づく業務を行っており、上級庁による監査や指導などもその内容に基づいて行われる
 また、福祉事務所などが言う「不正受給」というのは、この実施要領に定める内容に違反したものをいい、それを根拠に不正とされた金銭を「生活保護法63条」にもとづき返還させているものである

「保護の実施機関」
都道府県知事及び市町村長により設置される福祉事務所の長が保護の実施機関とされる、一般的に「市」がある都市では「福祉事務所」を自前で設置するが、「市町村」などでは都道府県の設置する福祉に関する事務所として石川県では「中央福祉事務所」などが設置されている


4,今回の問題点
*生活保護利用者の立場に立った行政だったか
・今回の発端となった方は昼夜と二度働き、しかも病気を抱えて自らも身体的苦痛を抱えながら就労指導にこたるかたちで働いてきた、また少しでも収入を増やそうと高校生も就労している
・市の担当者は、特別控除がないかと聞かれた際に無いと答えながらその制度について調べているはずである、しかし、市が実施していないということに疑問を持たなかったのか、昼夜働く世帯に対して少しでも収入が増え高校に通う子にも学業に専念できるように考えなかったのだろうかと思う
・先日の話し合いではそういった立場からの、制度に対する考え方の見直しを示唆する発言はなく、これまでの自分たちの立場の弁解の説明に終始している感があった
・幼い子を家に残し夜働く母の気持ち、全国的にはそういった夜間に子どもが焼死するという事故などもあり、そういったことに対する見守りはどう配慮されていたのかとも思う

*法律の解釈について
・実施要領(生活保護手帳)に定められた内容について、根拠を十分検討することなく市としての結果を説明しているが、生活保護手帳に書いてある字句だけでは、その内容と趣旨を十分理解することは困難と思える
・しかし、そのもととなっている今回の事例の特別控除は

○生活保護法による保護の実施要領について(昭和三六年四月一日)(発社第一二三号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=7522


○生活保護法による保護の実施要領について(昭和三八年四月一日)(社発第二四六号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=7525


○生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて(昭和三八年四月一日)(社保第三四号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_docframe.cgi?MODE=tsuchi&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&KEYWORD=&EFSNO=7526


この三つの文書でほぼ解明されており、この内容が生活保護手帳に編集記載されているもので、その解釈については原文であるこの三つの文書を熟読する必要がある
・金沢市が唯一根拠としてあげたものが、生活保護手帳別冊のなかの「問384」にある「特別控除は、臨時収入のあった場合適宜の時期に年間控除額を・・・(以下略)」といった一部の表現を取り出して「臨時収入のあるものだけを適用した」と根拠としているのであるが、そもそもこの問いすらもその主旨を読みとると、臨時収入のないものは毎月平均に控除するよりも、年末に集中して適用するようにと、臨時収入がないものに対しての適用を前提に回答しているものであり、臨時収入のないものでも特別控除をすることを当然とした問いであることが読みとれるはずである

*福祉事務所の裁量について
・実施機関として福祉事務所に裁量があると主張したが、保護基準額を勝手に定めるとか、運用について例えば独自に「基礎控除」を廃止するなどということはできない

*誤解釈についての金沢市のありかた
・金沢市はこの問題について、内容を勝手に解釈し誤った運用を何年にもわたりおこなっていた、いままでそのことについて気がつく機会がなかったと思われるが、一人二人の職場でなく二十人近くの専門職が働く職場では考えられないミスである
・日常的にそういったことが起きないようなシステムをつくっていたか、指摘があったにもかかわらず対応が出来ていなかったのか、そういった疑問や意見が出し合える職場運営がされていたのか
・今回問題が明らかとなってかなりの時間が経過した後も、根拠として持ち出されたものはあまりにも根拠としては薄い内容であり、何らかの意図を持った対応と疑われる可能性もある、そして、それを公の場で私たちに説明しており、もし何らかの意図がありそのような対応をしているのであれば、そのことについても二重に誤りをしていると思われる節もある
・高校生の未成年者控除未実施については「高校生は学業が本分」などと、実施要領に定められた以外の理由でそのことを正当化しており、肝心の実施要領についての根拠はいまだに示されていない

*今後の対応について、金沢市に対する要望
・今まで生活支援課の対応を何一つ疑わず、信じてきた該当世帯のみなさんに対し、市政の責任者が個別に真摯な態度で謝罪し、いままで受けられたであろう分の金品を一円も漏らすことなく、すみやかに追支給すること
・今回の二つの控除もれの他にも控除漏れや、支給すべき項目の漏れがないかについて調査し、調査結果を市民に報告すること
・今回の二つの控除もれについての内容・原因を調査し、今後そういったことが絶対起こらない対応策について市民に明らかにすること
*今後の対応について、私たちの取り組み
・市は県や厚労省とも解釈についての相談をするといっているので、その動向を注目し県や厚労省の解釈によっては、県や国レベルでの対応が必要となってくる
・この時点で金沢市が法令遵守をためらうようであれば、公務員職務規程と照らし合わせての妥当性を問う運動も検討する必要があると思われる
・これを機会に私たちの運動でも、漏給が起きていないか制度の仕組みを学習し、目を光らせる必要がある
・市がこの問題で、全国の類似中核市を調査したところ同じように、控除をしていないらしい自治体があるとの返事であった、このような情報を全国にも発信し、県内の点検とあわせて全国の仲間と運動を連帯していく




要望書
金沢市長 山出 保 殿
2007年  月  日
○○○
 金沢市は生活保護実施要領に定める、年額の一割を限度として適用される「特別控除」のを賞与があるものに限定し、賞与のない者に対してその必要がないと誤った解釈し、適用してこなかったということが明らかになりました。
 さらに、勤労学生である高校生の就労に対して「未成年者控除」を間違った解釈で、適用していなかったことも明らかになりました
 格差社会のもと困難な求職状況の中でも、生活保護世帯について「就労促進」の指導が強まっています
 この「控除漏れとなっている」みなさんは、その指導にもとづき「少しでも収入を増やそう」「職を失うまい」と、二件三件と仕事をかけ持ちし困難な就労条件に耐え、さらにその中での子育てなど、まさに必死の思いで生活を営んでいます
 「特別控除」の目的は生活保護実施要領によりますと、毎月の基礎控除になじまないとされる経費を、年収の一割(限度額あり)を年間分として控除することになっており、その控除を適用しないことは重大な控除もれであり、絶対許されることではありません
 それらのことをふまえ、次のことを要望するものです

一、 今まで生活支援課の対応を何一つ疑わず、信じてきた該当世帯のみなさんに対し、  市政の責任者が個別に真摯な態度で謝罪し、いままで受けられたであろう分の金品を  一円も漏らすことなく、すみやかに追支給すること

二、 今回の二つの控除もれの他にも控除漏れや、支給すべき項目の漏れがないかについ  て調査すること

三、 今回の二つの控除もれについての内容・原因を調査し、今後そういったことが絶対  起こらない対応策について市民に明らかにすること





【資料】(4)勤労に伴う必要経費、ア基礎控除、イ特別控除、ウ新規就労控除、エ未成年者控除

ア 基礎控除

(次)第7−3−(4)勤労に伴う必要経費
 (1)のアからウ(勤労収入・農業収入・農業以外の事業収入)までに掲げる収入を得ている者については,勤労に伴う必要経費として別表「基礎控除額表」の額を認定すること。
(局)第7−3 勤労控除の取扱い
(1)基礎控除
ア 基礎控除は,当該月の就労に伴う収入金額(賞与その他の臨時的な収入を分割して認定する場合は,各分割認定額をそれぞれの認定月の収入金額に加算して算定するものとする。)に対応する次官通知別表の基礎控除額表の収入金額別区分に基づき認定すること。
イ 基礎控除の収入金額別区分は,次官通知第7の3の(1)のアによる勤労(被用)収入については,通勤費等の実費を控除する前の収入額により,同イによる農業収入又は同ウによる農業以外の事業(自営)収入については,生産必要経費又は事業必要経費を控除した後の収入額によること。
ウ 世帯員が2人以上就労している場合には,イによる収入額の最も多い者については,次官通知別表の基礎控除額表の1人目の欄を適用し,その他の者については,それぞれ同表の2人目以降の欄を適用すること。

イ 特別控除

(次)第7−3−(4)勤労に伴う必要経費
 就労に伴う収入を得ている者については,特別控除として,年間を通じ次の表の額の範囲内において必要な額を収入から控除すること。
│      │  1 級 地  │  2 級 地   │  3 級 地  │
│ 特別控除額 │   152,600円 │   138,900円  │   125,100円 │

(局)第7−3
(2)特別控除
ア 特別控除の年間控除額は,当該被保護者の収入年額の1割を限度とするが,年末における控除の適用に当り当該1割に相当する額が限度額をこえる被保護者で,就労の状態が良好であると認められる者については,限度額に1.3を乗じて得た額まで認定して差しつかえないこと。
イ 世帯員が2人以上就労している場合には,(1)のイによる収入年額の最も多い者については,アにより認定し,その他の者については,それぞれアにより算定した額に0.85を乗じた額を認定すること。
ウ 控除は,臨時的収入のあった場合等適宜の時期に年間控除額を1回ないし数回に行うことを原則とするが,収入の形態等により毎月控除することが適当である場合には,各月に分割して控除を行っても差しつかえないこと。

ウ 新規就労控除

(次)第7−3−(4)勤労に伴う必要経費
 新規に就労したため,特別の経費を必要とする場合は別に定めるところにより,月額10,600円をその者の収入から控除すること。

(局)第7−3
(3)新規就労控除
ア 新規就労控除を適用する場合は,次の場合であること。
(ア)中学校等を卒業した者が継続性のある職業に従事し,収入を得るために特別の経費を必要とする場合
(イ)入院その他やむを得ない事情のためおおむね3年以上の間職業に従事することができなかった者が継続性のある職業に従事し,収入を得るために特別の経費を必要とする場合
イ 控除は,当該職業によって得られる収入につき,はじめて継続性のある職業についた月(当該新規就労に伴う収入を翌月から認定することとするときは当該初回認定月)から6箇月間に限り行うものとすること。

エ 未成年者控除

(次)第7−3−(4)勤労に伴う必要経費
 未成年者については,成年に達するまでの間,別に定めるところにより,月額11,700円をその者の収入から控除すること。

(局)第7−3
(4)未成年者控除
ア 未成年者(20歳未満の者をいう。)については,その者の収入から月額11,700円を控除すること。ただし,次の場合は控除の対象としないものであること。
(ア)単身者
(イ)配偶者(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)又は自己の未成熟の子とのみで独立した世帯を営んでいる場合
(ウ)配偶者と自己の未成熟の子のみで独立した世帯を営んでいる場合
イ 未成年者控除の適用を受けていた者が月の中途で成年に達したときは,その翌月から認定の変更を行うこと。
2000年(平成12年)生活保護手帳より抜粋  金沢生健会:2007年4月作成






○生活保護法による保護の実施要領について(昭和三六年四月一日)(発社第一二三号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生事務次官通知)
標記については、昭和三三年六月六日厚生省発社第一一一号厚生事務次官通知を全面改正して新たに次のとおり定めることとしたので、生活保護法による保護の実施については、法令及び告示に定めるもののほか、この要領によることとされたい。なお、本通知は地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二百四十五条の九第一項及び第三項の規定による処理基準であることを申し添える。

第一 世帯の認定
同一の住居に居住し、生計を一にしている者は、原則として、同一世帯員として認定すること。
なお、居住を一にしていない場合であっても、同一世帯として認定することが適当であるときは、同

============== 中略 =================

(4) 勤労に伴う必要経費

(1)のアからウまでに掲げる収入を得ている者については、勤労に伴う必要経費として別表「基礎控除額表」の額を認定すること。

なお、新規に就労したため特別の経費を必要とする者については、別に定めるところにより、月額一万四〇〇円をその者の収入から控除し、

未成年者については、別に定めるところにより、月額一万一六〇〇円をその者の収入から控除すること。

また、就労に伴う収入を得ている者については、特別控除として、年間を通じ次の表の額の範囲内において必要な額をその者の収入から控除すること。
  一級地 二級地 三級地
特別控除額 一五万九〇〇円 一三万七三〇〇円 一二万三七〇〇円

(備考) 級地区分は、生活保護法による保護の基準別表第九「地域の級地区分」による。
(5) その他の必要経費
次の経費については、真に必要やむを得ないものに限り、必要な最小限度の額を認定して差し支えないこと。
ア 出かせぎ、行商、船舶乗組、寄宿等に要する一般生活費又は住宅費の実費
イ 就労に伴う子の託児費
ウ 他法、他施策等による貸付金のうち当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額の償還金
エ 住宅金融公庫の貸付金の償還金
オ 地方税等の公租公課
カ 健康保険の任意継続保険料
キ 国民年金の受給権を得るために必要な任意加入保険料
第八 保護の決定
保護の要否及び程度は、原則として、当該世帯につき認定した最低生活費と、第七によって認定した収入(以下「収入充当額」という。)との対比によって決定すること。また、保護の種類は、その収入充当額を、原則として、第一に衣食等の生活費に、第二に住宅費に、第三に教育費及び高等学校等へ

============== 中略 =================

第九 施行期日及び関係通知の廃止
1 この通知は、昭和三六年四月一日から施行すること。ただし、母子加算に関する改正は、昭和三六年九月一日から施行すること。
2 昭和三三年六月六日厚生省発社第一一一号厚生事務次官通知「生活保護法による保護の実施要領について」は、廃止すること。ただし、当該通知中母子加算に関する部分は、昭和三六年八月三一日までなお効力を有すること。

============== 後略 =================






○生活保護法による保護の実施要領について(昭和三八年四月一日)(社発第二四六号)
(各都道府県知事・各指定都市市長あて厚生省社会局長通知)
標記については、保護基準の第一九次改正に伴い、昭和三六年四月一日厚生省発社第一二三号厚生事務次官通達の一部が改正され、本日別途通知されたところであるが、これに伴い昭和三六年四月一日社発第一八八号本職通達についてもこれを全面改正して、新たに次のとおり定めることとしたから、了知のうえ、その取扱いに遺漏のないよう配意されたい。
なお、本通達中「保護の基準」とは、生活保護法による保護の基準(昭和三八年四月厚生省告示第一五八号)をいい、また「次官通達」とは、昭和三六年四月一日厚生省発社第一二三号厚生事務次官通達をいう。
おって今回の全面改正の要旨は、別添のとおりである。
また、本通知は地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二四五条の九第一項及び第三項の規定による処理基準であることを申し添える。
〔別添〕
生活保護法による保護の実施要領   目次
============== 中略 =================
3 勤労控除の取扱い
(1) 基礎控除
ア 基礎控除は、当該月の就労に伴う収入金額(賞与その他の臨時的な収入を分割して認定する場合は、各分割認定額をそれぞれの認定月の収入金額に加算して算定するものとする。)に対応する次官通知別表の基礎控除額表の収入金額別区分に基づき認定すること。
イ 基礎控除の収入金額別区分は、次官通知第七の3の(1)のアによる勤労(被用)収入については、通勤費等の実費を控除する前の収入額により、同イによる農業収入又は同ウによる農業以外の事業(自営)収入については、生産必要経費又は事業必要経費を控除した後の収入額によること。
ウ 世帯員が二人以上就労している場合には、イによる収入額の最も多い者については、次官通達別表の基礎控除額表の一人目の欄を適用し、その他の者については、それぞれ同表の二人目以降の欄を適用すること。
(2) 特別控除
ア 特別控除の年間控除額は、当該被保護者の収入年額の一割を限度とするが、年末における控除の適用に当り当該一割に相当する額が限度額をこえる被保護者で、就労の状態が良好であると認められる者については、限度額に一・三を乗じて得た額まで認定して差しつかえないこと。
イ 世帯員が二人以上就労している場合には、(1)のイによる収入年額の最も多い者については、アにより認定し、その他の者については、それぞれアにより算定した額に〇・八五を乗じた額を認定すること。
ウ 控除は、臨時的収入のあった場合等適宜の時機に年間控除額を一回ないし数回に行なうことを原則とするが、収入の形態等により毎月控除することが適当である場合には、各月に分割して控除を行なっても差しつかえないこと。
(3) 新規就労控除
ア 新規就労控除を適用する場合は、次の場合であること。
(ア) 中学校等を卒業した者が継続性のある職業に従事し、収入を得るために特別の経費を必要とする場合
(イ) 入院その他やむを得ない事情のためおおむね三年以上の間職業に従事することができなかった者が継続性のある職業に従事し、収入を得るために特別の経費を必要とする場合
イ 控除は、当該職業によって得られる収入につき、はじめて継続性のある職業についた月(当該新規就労に伴なう収入を翌月から認定することとするときは当該初回認定月)から六箇月間に限り行なうものとすること。
(4) 未成年者控除
ア 未成年者(二〇歳未満の者をいう。)については、その者の収入から月額一万一六〇〇円を控除すること。ただし、次の場合は控除の対象としないものであること。
(ア) 単身者
(イ) 配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)又は自己の未成熟の子とのみで独立した世帯を営んでいる場合
(ウ) 配偶者と自己の未成熟の子のみで独立した世帯を営んでいる場合
イ 未成年者控除の適用をうけていた者が月の中途で成年に達したときは、その翌月から認定の変更を行なうこと。
4 その他の控除
(1) 出かせぎ、行商、船舶乗組、寄宿等に要する費用につき控除を行なう場合は、一般生活費又は
============== 以下略 =================







○生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて(昭和三八年四月一日)(社保第三四号)
(各都道府県・各指定都市民生主管部(局)長あて厚生省社会局保護課長通知)
今般、保護基準の第一九次改定等に伴ない保護の実施要領については、昭和三六年四月一日厚生省発社第一二三号厚生事務次官通達(以下「次官通達」という。)の一部が改正されるとともに昭和三八年四月一日社発第二四六号厚生省社会局長通達(以下「局長通達」という。)が新たに定められたところであるが、これに伴ない昭和三六年四月一日社保第二二号本職通知を次のとおり全面改正したので了知のうえ実施要領取扱い上の指針とされたい。
また、本通知は、地方自治法(昭和二二年法律第六七号)第二四五条の九第一項及び第三項の規定による処理基準であることを申し添える。
生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて
目次

問一二から問一四まで 削除
問一五 授産施設で就労する者については期末、賞与等の年間臨時収入がないが、この場合特別控除は月割で毎月行なって差しつかえないか。
答 授産施設を利用して稼働収入を得ている場合であって年間一回ないし数回に控除を行なうことが適当でない場合は、月割で控除して差しつかえない。
なお、授産施設を利用して稼働収入を得ている場合と同様な収入形態にある者についての特別控除も同様に月割で行なって差しつかえない。
問一六 勤労控除中、特別控除を盆及び歳末の二回に措置する場合には、ほぼ同額ずつとしてよいか。
答 社会生活の実態にかんがみ、盆、歳末の控除額は、おおむね、一対二の比率によることが一応の基準として考えられる。

問二七 削除
問二八 特別控除の適用にあたり被保護者の「収入年額」はどのように算定するか。
答 「収入年額」は、暦年を単位とし、毎年一月から一二月までの間における保護受給期間について収入認定上の基礎となった就労による収入総額(前年の収入が分割認定により繰り延べて認定されている額を除く。)をいうものである。
問二九 削除
問三〇 削除

問四三 地方公共団体が条例又は予算措置によって被保護者に対し臨時的に支給する金銭のうち、どのようなものが次官通知第七の3の(3)のエにいう「自立更生を目的として恵与される金銭」に該当するか。
答 地方公共団体が条例又は予算措置によって、被保護者に対し臨時的に支給する金銭のうち、局長通知第七の2の(4)にいう自立更生のための用途に供すべきものであることが支出の目的として明示されているものが、自立更生を目的として恵与される金銭に該当するものであり、かかる金銭のうち、実際に自立更生のための用途にあてられる額を、収入として認定しないものとすること。
この場合、支出目的として明示されている用途及びその用途に供される額の認定にあたっては、問四〇の答に示す基準によるものである。
したがって、地方公共団体又はその長が年末、盆、期末等の時期に支給する金銭は、次官通達第七の3の(3)のエによる取扱いは行なわず同(2)のエの(ア)によって取り扱うこととなる。

問四四 年末において特別控除を行うことを予定していたが、臨時収入がないか又は少額であるために年間控除額の限度額(収入年額の一割に相当する額又は次官通知第七の3の(4)に掲げる特別控除額のいずれか少ない額とする。
ただし、当該一割に相当する額が前記特別控除額を超える被保護者のうち、就労の状態が良好であると認められるものについては、当該特別控除額に一・三を乗じて得た額とする。
また、世帯員が二人以上就労している場合には、局長通知第七の3の(2)のイにより当該世帯員についてそれぞれ得た額とする。)まで特別控除を適用することができない状態にある者については、一二月の当該臨時収入をもっては控除しきれなかった残額を、当該年度の末までの間に認定して差し支えないか。
答 お見込みのとおりである。
問四五 削除







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