HIROTAの紹介 「何でもこい」コーナー

(「赤旗(新聞)日曜版1996年6月2日付)

園芸

柳 宗民

アジサイ 「花後の手入れ、殖やし方」


 梅雨時になると、春の花も終わりを告げ、うっとうしい日々が続きますが、そのころ花が咲いて目を楽しませてくれるのがアジサイです。  アジサイはわが国原産の花木で、古くから庭植えにされ、その見事な花が楽しまれてきました。最近は、三月ごろから促成栽培された鉢植えのものが広く出回っています。  鉢植えで出回るものは西洋アジサイといわれています。欧州産ではなく、日本のアジサイが古くからむこうへ渡り、あちらで華やかに改良され、それがわが国にお里帰りしたものです。ですから、その性質は日本古来のアジサイと同様です。花後に庭植えにしてもよく育ちます。

手入れ

 鉢植えの場合

 花が咲き終わったものは、そのままにせず、花の咲いた茎を半分に切りつめる剪定(せんてい)をし、二まわりぐらい大きい鉢に植え替えてやります。  植え土は、小粒赤玉土六、腐葉土三、乾燥年糞(ふん)一程度の混合土1リットルに、緩効性リン酸肥料のマグァンプKを茶さじ二杯程度混ぜたものがよいでしょう。酸性の強い方がより花色が青くなるので、青花種は腐葉土よりも酸性の強いビートモスを用いた方がよく、ピンク、赤花種は酸性の弱い方がよりきれいな色になるので、土1リットルに石灰茶さじ二杯ぐらい混ぜて酸性を弱めるようにします。  植え終わったら日なたに置き、水やりを忘れないようにします。九月ごろ、すでに二回ぐらい化成肥料を施して育てると、剪定後に出てきた新芽が秋までに元気よく育ち、この頂芽に秋の被岸ごろ花芽を作り、来年の今ごろ見事に花を咲かせます。

 庭植えの場合

 鉢植えを庭へ植える場合には、鉢から抜いてそのまま植えればよいのですが、植え場所は日当たりの悪い所でも花をつけますが、木が間伸びして花数も少なくなります。  むしろかなり日の当たる拐所の万が、がっちりと育ち、花数も増えます。ただし、冬の問、冷たい乾いた風に当たると、頂芽が傷んで花芽がつぶれやすくなるので、北風の当たらない家の南側などが適しています。本格的に咲きだすのは二〜三年後です。  すでに庭植えになっている株はそのままでもよく花もつきますが、大きく茂りすぎて困ることがあるので、剪定が必要です。剪定は、花後すぐにおこなうのがポイントで、上の高さ三分の一を切りつめます。それ以上深切りすると、花つきが悪くなります。  努定時期は七月いっばいが限度です。秋以降は花芽が茎の上部にしかできないので、これを切り落としてしまい、咲かずのアジサイになってしまいます。  剪定は、花後の剪定のほか、冬の落葉期に花芽のない細かい小枝を切り除く剪定を再度おこないます。

殖やし方

 アジサイはさし木で容易に殖やせます。さす時期は今月の梅雨時が最適です。  花のついていない茎の先のほうを三節ぐらいつけて切り、すぐに切り口を水に漬けて一時問ぐらい水揚げをします。さすときは、最下部の節のすぐ下をカッターで切り直し、下一節の葉を除き、残る葉も半分ぐらい葉先を切ってさします。  さし土は、小粒赤玉土とバーミキュライトを半々に混ぜたものか、細粒にふるいそろえた鹿沼土でもかまいません。  さし木後、十分に水をやり、日陰に置き、乾かさないようにしておくと二週間ぐらいで発根します。これをまず四号ぐらいの鉢に培養土で植え替え、一度摘芯(てきしん)をして、わき芽を何も出させないようにし、根がまわったところで、五〜六号鉢に植え替えて育てると、来年の初夏に咲きます。このとき、鉢上げしてから秋口までに二回ぐらい化成肥料を施して、できるだけ九月までに新芽を育てることがポイントです。


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