馳浩の古典こらむ

 ますらをや
 片恋せむと 嘆けども
 (しこ)のますらを なほ恋ひにけり

舎人皇子(とねりのみこ)
〜735
『万葉集』巻2、117所収


 3年余にわたり読者の皆様にご支援をいただいてきた『古典こらむ』も今回が最終回となりました。連載開始時はプロレスラーだった私もいつのまにか参議院議員。政治家の立場からも、日本の社会世相をこの古典こらむの中に皮肉や本音を交えて盛り込むことができたと思います。最終回にあたり、政治家の有権者に対する熱き思いを万葉集中のこの名歌に託してみました。

 この歌は、「質実剛健な男子であるべきますらをが、女々しくも片恋なんかするものか、と自分に言い聞かせてため息ついているのだが、やっぱりダメだ。粗野で武骨なろくでなしの私でもやっぱり恋焦がれてしまう」という意味。

 女々しい恋心なんて持ってはならないと自身に言い聞かせつつも、やっぱり真実の思いは隠せない、というホンネは票や政治資金の無心なんてしづらいけれど有権者に自分の思いを知ってもらいたい、伝えたいとの情熱を持っている政治家の心中とどこか似ているところがある。

 古来日本男子のあるべき姿と形容される「ますらを」のように毅然(きぜん)としていたいのは私もヤマヤマなのだが、ホンネはホンネ。隠し切れないものなのである。

 さて、馳浩のホンネはこれからもインターネットのホームページ上でご覧下さい。

(URL http://www.incl.ne.jp/hase/

 過去の『古典こらむ』のすべても読むことができますし、何かご意見があればEメールを下さい。万葉集の時代と違いこうしてパソコンでホンネのやり取りができるのはありがたいことですね。

 それでは皆さん、ご愛読ありがとうございました。またどこかでお逢(あ)いしましょう。

=おわり=

(エッセイスト・小矢部市出身)


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