馳浩の古典こらむ

 忘らるる
 身をば思はず ちかひてし
 人のいのちの 惜しくもあるかな

 右近(うこん)
生没年未詳
『拾遺和歌集』恋四所収


 『ダディ』読みましたか? 郷ひろみさんが二谷友里恵さんと離婚するに至った理由を書いている。私は元国語教師としてこの離婚騒動を『ダディ』の文章を採点することで論評してみたい。私の採点は百点満点で15点だ。

 別れのきっかけは、自分自身の女性関係であると告白している。それも複数の相手。その中には食事の相手ではあるが、後藤久美子さんという実名も出てくる。浮気が発覚した時の友理恵夫人の厳しい対応も皮肉を込めて表現されている。

 ある時は、はいていた靴のかかとで胸をなぐりつけられ、ある時は自分の浮気記事の掲載された週刊誌の記事を大声で二回くり返して目の前で朗読させられた、とある。

 おいおい、こんなこと書くかぁ。二人の娘が読んだらどんな思いをするか考えたのか?何より文章力という点ではあまりにも稚拙だぞ。こんなに生々しく書くなら編集者に手を入れてもらって私小説に昇華させた方がよっぽど読みごたえがある。

 スキャンダルでひともうけしようとの下心見え見えの低俗な一冊だ。これじゃ、友里恵夫人が郷ひろみさんの人間性、品位に失望して見切りをつけての離婚だったんだな、と理解せざるを得ない。

 この歌は「あなたから忘れられるわが身のつらさは、身から出たさびと思ってあきらめます。永遠の愛を誓ったあなたが、その誓い破った罰を受けて命を縮めてしまうのではないかと惜しく思われます」との意味。

 友里恵夫人の心中を察するに、この歌のように皮肉たっぷりの思いではなかろうか。

郷ひろみさん、自業自得ですね。


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