馳浩の古典こらむ

 山桜
 かすみのまより ほのかにも
 見てし人こそ 恋ひしかりけれ

 紀 貫之(きの つらゆき)
872〜945
『古今和歌集』巻11所収


 平成10年度の国家予算案が、4月8日の参議院本会議でようやく可決、成立した。

 野党からは『修正しろ』『組み替えだ』とさんざん追及され、不評であったようだが、とにかく国政を執行するための重要な予算が国会で成立したことは、国民生活安定にとっての意味は大きい。

 ところで国家予算が編成されるのは毎年12月。その3ヶ月後の年度末に国会で成立するのが常であることを考えると、編成作業と審議、成立までのタイムラグ(時間差)は、3、4ヶ月間もあるということ。これでは直近の金融不安や景気対策に機動的に財政出勤をすることによって対応することにはムリがある。だからこそ、補正予算の必要性があるのだろうし、財政構造改革法改正による大型減税が必要となるのであろう。

 国民のふところ事情が政策に即座に反映されなければならないわけで、それが国政の大きな役割でもある。そこで、国家予算が成立したその後に、政府がいかにして追加経済対策を打ち出すか、である。

 予算成立前は政府はダンマリを決めこみ、与党政策責任者が『ヤルゾ、ヤルゾ』と口先介入していた。いよいよ今こそ、ヤル時であろう。

この歌は『霞の間からほのかに見えた山桜のような貴方が恋しくて忘れられない』という意味。

 まさしく、霞がかかっている日本経済の先行きは見通しが明るくない。

しかし、山桜の花が開きはじめるころに、満開の花のような追加経済対策を政府が打ち出すことで明るさは見えてくる。

すべては橋本総理大臣の決断にかかっているわけだ。


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