馳浩の古典こらむ

 女郎花             
 秋の野風にうちなびき
 心ひとつを誰によすらむ

藤原時平
871〜910
古今和歌集 巻四 秋歌上


「安室奈美恵ちゃん結婚するんだって」
「えーっ!」
「妊娠3ヶ月だって」
「えーっ!」
「相手はTRFのSAMだって」
「えー。誰それ?」

という会話が日本中のあちこちで交わされたのではなかろうか。天下の国営放送のNHK夜の7時台のテレビニュースでさえ話題とし、スポーツ新聞の号外まで出たほどなのだから。私なんか当分話のネタに困らないほど。

世のワイドショー好きのおばさんたちも(ウチの女房みたいに)大喜びしているのではないだろうか。

 トップアイドルの恋愛、結婚、出産という話題は、つい最近まではスキャンダルの種であった。ところが時代も変わり、所属事務所も考え方を改め、むしろオープンにすることによってファンの共感を得ているようである。今回の発表でも、電撃的ということと、まだ二十歳(はたち)なのに、という点ではびっくりしたが、『結婚』『家庭』『女の幸せ』をキーワードにしてうまくお茶の間のうるさい世論やマスコミを丸め込んだものである。でも、安室ちゃんを時代のトップランナー、アーチストとして見ているファンや、私のようにあこがれの対象として見ているファンもいることを忘れずに、今後はあまり私生活は見せないようにしてほしいものである。

 この歌は『おみなえしが秋の野風になびいている。彼女のただ一つの心をなびかせているのは一体どんな男なのだろうか』という意味。

チクショー。SAMが憎たらしいぜ。


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