馳浩の古典こらむ

 夢かれて               
 初秋(はつあき)犬の
 遠音哉

 水田西吟
?〜1709
庵桜


 悔しい。ムチャクチャ悔しい。何たって韓国に、あの韓国に完敗したのである。

 ワールドカップサッカー大会アジア地区予選。9月28日国立競技場。宿敵韓国チームをホームである日本で迎え打ち、グウの音も出ないまでにこてんぱんにやっつけて、さぁフランス大会に向けて意気をあげようと勢い込んでいたあの夢が、無残にも打ち砕かれてしまったわけだ。にわかサッカーファンも熱狂的なサッカーマニアも一丸となってこの夢の実現に胸おどらせていたというのに。

 後半最初に得点したのは日本。イケイケ押せ押せだった。テレビの前の私も家の床がぶち破れんほどとびあがって応援していた。しかしそれはあっという間に韓国チームの気迫と執念の前に逆転ゴールを決められてしまい、地団駄(じだんだ)になってしまうとは、ああ・・・・・・。

 これは単なるサッカーの試合ではない。戦争だ。武器のかわりに体力と技術と戦術を駆使しての国を挙げてのプライドを奪い合う戦争なのである。もちろん予選はまだ残っておりフランス大会への道が閉ざされたわけではないが、何と言ってもホームでやっつけられたことは致命的だ。かくなる上は、アウエーである敵地での雪辱を果たさないことにはしばらく私の心の中の悔しさはくすぶり続ける。

 この句は「ふと夢がさめると遠くに犬の遠鳴きが聞こえ、いっそう初秋の気配を深くする」という意味。私の怒りの声が負け犬の遠吠えにならないよう、次回の対戦を祈るばかりである。チクショー。


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