馳浩の古典こらむ

 夏と秋と               
 行交ふ空や
 流星(ながれぼし)

 高橋 東皐(とうこう)
1752〜1819
 


 暦の上ではすっかり秋なのだが、まだまだ日中の残暑はうっとうしい。
ムシムシした不愉快な気分をふっとばしてくれるのが大相撲秋場所。新しいスターが三役や幕内上位に進出し、上位陣に対して互角以上の闘いを挑んでいるのだ。関脇の栃東、前頭上位の出島、栃乃洋らの活躍は、まさしく時代を動かす勢いを持っている。
 中でも出島関には私も応援の力が入る。というのも少なからぬ因縁を感じるからである。

 今をさかのぼること22年前。私は石川県金沢市鳴和中学校の2年生であった。
生来の相撲好きが高じて、同好の士を募って校内に相撲部を再興したのである。これがきっかけとなり、金沢市内の幾つかの中学校にも急拠相撲部が結成された。
以来今日まで鳴和中学校の存在は北信越、いや全国制覇までなしとげる強豪校として名を馳(は)せているのである。

 今場所の活躍が著しい出島関も母校鳴和中学校相撲部のOBであるわけで、私にとっては青春の一コマを思い起こさせてくれる快挙であるわけだ。とりわけ貴乃花、曙と二人の横綱に土をつけたダブルの金星は、もう若さの勢いというよりも地力の強さと認めてもよいのではないかとさえ思う。

 この句は「夏と秋の交替の季節。夜空の流星にいちはやく秋の気配を感じ取った」の意。
 大相撲の実力の世界にも一歩一歩新時代の波が押し寄せており、いつまでも若貴や曙の舞台ではない。出島関を筆頭に若い「流星」の台頭に期待は尽きない。ガンバレ!


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