馳浩の古典こらむ

 秋風に               
 たなびく雲のたえ間より
 もれいづる月の かげのさやけさ

 左京大夫顕輔
1090〜1155
 


 今横浜ベイスターズが熱い。ペナントレースも終盤に差しかかり、一時はヤクルトの独走で幕を閉じるかに思われたセリーグは、ベイスターズのがんばりのおかげで手に汗握るマッチレースとなっている。

 何しろヤクルトも強いがベイスターズは負けないのだから。8月に入って投手陣がふんばっているのが大きな要因であろう。先発、中継ぎ、抑えとそれぞれが自分の役割を自覚してきっちりと仕事をしている。

 昔は完投型のピッチャーがもてはやされたが、現代野球は分業制。長いペナントレースを考えるとその方が効率的だからだ。中でもベイスターズの8月の大活躍を演出しているのは”大魔神”とニックネームまで付いた佐々木主浩投手。連続セーブポイントの月間新記録を達成するなど、この人が出てくる展開になるともう負ける気がしない。絶対的な守護神。ただし、これからラストスパートに入ることを考えると、ちょっと心配でもある。あんなに毎日酷使されて、からだがもつのだろうかという心配である。明日をも知れない闘いであるからこそわれわれファンも胸を打たれるのであるが、故障しては元も子もないのだから。

 この歌は「秋風のために、長くたなびいている雲の切れ目から顔を出した月が、雲と雲との間を移動していくときの、何と冴(さ)えざえとした光であることか」という意味。

 横浜スタジアムを照らす月の光こそ佐々木投手。どうか夜空に輝く「ベイスターズ」と共に優勝目指して奮闘してもらいたい。


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