馳浩の古典こらむ

 たこつぼや              
 はかなき夢を
 夏の月

 松尾 芭蕉
1644〜1694
猿蓑(さるみの)


 梅雨が明けて太陽ギラギラ暑い夏がやってきた。こどもたちも一学期が終了し、外に出て真っ黒になって海に山にプールにグラウンドに走り回っている。私も時々プロレスの試合に出場して大汗を流している。

 誰(だれ)しもが人生の夏を謳歌(おうか)し、燃えているにもかかわらず、この人たちだけが熱闘から取り残されてたこつぼの中でもがいている。

 そう、我らが読売巨人軍のことである。

 首位から14.5ゲーム差の断トツ最下位。それもあろうことかお客様にするはずの野村ヤクルトスワローズなんかに大きく負け越してるとはむかつくやないの。オールスター戦以降の後半戦で、せめて阪神タイガースよりは上の順位になるためにも、前半戦の反省と今後の展望を熱狂的ファンの責任として記しておきたい。何よりも、選手とファン一体感。外様の助っ人が多すぎて、応援していても本気になれないのだ。石井はまぁ、頼もしいからまだ良しとして、清原、広沢、ヒルマンなんて金ばっかりかかってちっとも働かんやないの。若い選手の全力プレーに接してこそ、応援のしがいもあり、明日への希望も湧いてこようというもの。晩酌のビールの心地良い喉(のど)越しのためにも、感情豊かで完全燃焼のプレーを見せてもらいたい。

この句は「今夜も月があがった。海中に沈められているたこつぼでは、たこが明日をも知れぬ一夜の夢をむさぼっていることであろう」の意。たこつぼのたこでさえ夢を見るのだ。巨人ファンとしてあきらめずに夢を追い続けていたい。


[戻る]