馳浩の古典こらむ

 うき人に               
 蚊の口見せる
 (かひな)かな

黒柳 召波
1727〜1771
春泥句集


 さり気ないしぐさに女性の可愛(かわい)らしさを見つけ、愛(いと)しい気持ちになったりすることがある。好みのタイプの、というと、既婚男性にとっては「女房」となるのが致し方ないところであるが、ここではひとまず横に置いといて、こんな女性がそばにいたら心ときめいちゃうよなぁ、というお話。

 最近テレビを見ていて気になるのは、元気の良すぎるタレントが幅をきかせていて、我々大人(のつもり)の視聴者としてはいささか食傷気味であること。篠原ともえ、山田まりや、松本明子、久本雅美、東ちづるなどなど。別に彼女たちが嫌い、というのでは全然なくて、あまりにもにぎやかしが過ぎてついていけないだけなのである。大口あけて大笑いしたり、「てめぇ」とか「ざけんなょ」とか品のない言葉づかいでキャラクターを作ったりでは、心落ち着くスキ間もない。せめて同世代を共有していると感じさせてくれるタイプの女性を見ていたい、と願うのは私のはかない夢であろうか。そういう夢をこの句に見つけたので紹介したい。

「恋しい人に小さく赤くはれた蚊の刺した腕のあたりを見せる」という、映画のワンシーンのような句。もしその女性が黒木瞳さんのような方であったとしたら、私はもう、一気に「失楽園」状態になってしまう。ゆかたの袖口から蚊に刺された白い腕を差し出されて甘えられると、ついその腕をさすってあげて、そして・・・・となっちゃうよなぁ。夢や映画の中でもいいからそんな女性と恋をしてみたいなぁ。


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