馳浩の古典こらむ

 大の字に            
 寝て涼しさよ
 淋しさよ

 小林 一茶 こばやし いっさ
1763〜1827
七番日記


 外様、という身分は居心地の悪いものである。元々いる仲間に対して気をつかわなければならないし、期待される活躍ができなければ周りからは白い目で見られてバツが悪い。
 ただでさえヨソ者意識で差別されてしまい身の置き所がなくなってしまう。悲しい立場。

 巨人軍にフリーエージェント権を行使して念願の移籍を果たしたはずの清原選手も、思うような成績をあげることができずに悲哀の日々をすごしている。

 チャンスに打席に入っても凡打をくり返してファンのバ声を浴びるばかり。せっかくの「球界の四番」と呼ばれる指定席も広沢選手に奪われてしまい、あげ句の果てはスタメン落ちの危機。古巣の西武ライオンズでは少々のグラウンド外の素行の悪さもお山の大将として黙認されていたのに、「紳士たれ」の巨人軍の伝統の中にあってはちょっとした態度や言葉づかいも話題や非難のマトに。

 時には息抜きに、と夜の六本木を女性同伴で食事に出かければ、写真週刊誌のエジキ。

 ニッチもサッチもいかない窮屈な状況にもがいているのが清原選手のもどかしさ。

 この句は「大の字に寝てはみたものの、やがてたまらない寂寥(せきりょう)感が投げ出した足の先から背筋へとはいあがってくるよ」の意味。

 多額の契約金を得て大手を振って乗り込んできたはずの清原選手。しかしたっぷりと外様の悲哀をなめて淋(さび)しさの真っ只中(ただなか)。こんなはずじゃなかったのに。清原君、人生ってそんなものよ。結果出しなさい。


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