馳浩の古典こらむ

 春の野に          
 心ある人の
 索貌
(すがほ)

 斯波園女(しばそのめ)
1664〜1726
『曠野』所収


 松たか子さん、て知ってますか?

 昨年の紅白歌合戦の紅組司会者に抜擢(ばってき)された時から私は気になってました。NHKの大河ドラマファンならば、茶々としておなじみでしょう。最近では、お父さんの松本幸四郎さんといっしょに冷蔵庫のコマーシャルに出演していますね。売れてる割には印象の薄い人ですね。

 紅白の司会ぶりを見た時、「どうしてこんなド素人を看板番組の司会にしたんだろ。やっぱり親の七光かなぁ。それにしても下手くそなしゃべりやなぁ」

 との感想を持ちました。しかし、民放も含めてタレントさんが出演するテレビ番組をながめていてあることに気がつきました。

 素顔の魅力です。タレントや女優と言えば華やかに着飾り、これでもかとばかりに自身のセールスポイントを売り込みます。ところが松さんは、素顔で存在しているだけで、気品と雅(みやび)さと若さのエネルギーと無限の可能性をかもし出しています。更に言えば、同性に好感を与える純心が見えます。

 この句は「春の野に着飾った女性たちが野遊びをしています。その中に何も飾らない素顔の女性がいて、その清楚(せいそ)な美しさにかえって心をひかれます」という意味。

 アムラー、ナオラー、カハラーと、仕上げられたタレントがはびこるこの頃(ごろ)。私はそれはそれで心おどる気分でながめている。が、そろそろ松たか子さんがブレイクする時期だとも感じるのである。

素顔だけは、作れないもんなぁ。


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