馳浩の古典こらむ

 しをるるは            
 何かあんずの
 花の色

 松永貞徳(ていとく)
1571〜1653
『犬子(えのこ)集』所収


 さぎ師が国会議員になってしまった事件、と言えば、オレンジ共済疑惑にからむ友部達夫参議院議員の逮捕。

 あろうことか国会開会中に、胸に議員バッジをつけたまましょっぴかれちゃうのだからこの人の神経はどこまでも世人離れしている。

 さて、ことは友部議員一人の責任では済まされなくなってきた。

 なぜなら、高金利とうたって組合員から集めた共済費やスーパー定期などの資金を、自身の政治活動や選挙運動に流用していた証言が出てきたからである。何とこの人、政治家になるために庶民から集めたお金を使って『ウラ技』を駆使したようなのである。平成7年の参議院選挙で、新進党の比例代表名簿第13位に登載された(旧日本新党ワク)時に、どうやら政界工作がなされたらしい。らしい、とあいまいなのは、工作を受けたと指摘されている政治家たちが全面否認しているからである。

 事実は司法が解明してくれるだろうから任せるとして、こうした事件が起きること自体が問題なのである。その疑いをかけられている、友部さんを名簿に登載した時の責任者の政治家は、事の経緯を明らかにしてもらいたい。この句は「あんずの花の色が何か悲しげに見えるのは心配なことでもあるのだろうか」の意。

 おそらくオレンジ疑惑のせいで、小沢党首や細川元首相はしおれた顔色をしているのではなかろうか。責任のなすり合いをせずに、前代未聞の疑惑解明に尽力してもらいたい。


[戻る]