馳浩の古典こらむ

 これがまあ          
 つひの栖(すみか)か
 雪五尺

 小林一茶
1763〜1827
『句稿消息』所収


 政党の離合集散はとどまるところを知らない。政治家をこころざし、最初の政党に所属した時の信念は一体どこにいってしまったのかと問いたい。

 羽田孜さんが新進党(というよりも小沢一郎氏)と、とうとう決別し、暮れも押し迫った忙しいこの時期に新党を旗揚げした。『ハタ迷惑な』とタイミングの悪さを嘆く人がいれば、やっと決断したかと安堵(あんど)の声をもらす人もいる。

 そもそもが、政策決定をトップタウン方式で強引に進める小沢さんと、話し合いによる積み上げ方式にすべきと主張する羽田さんとでは、政治手法に明確な違いがあった。

 むしろこれまで長く一緒にやってさたことが不思議なほど、性格的にも水と油だったのである。しかしながら、ほんの二ヵ月前までは、共にスクラムを組んで衆議院選挙を戦った仲間でもあるはず。どうして離党するのかの大義名分は聞こえてこない。『野党大連合の接着剤となる』と叫ぶ声もあるが、ならば新進党内部で結束を固めて勢力拡大すればそれですむはず。

 この句は、「これが自分の最後の住まいなのかなぁ。雪が五尺も降り積もるこのところが・・・・。」

 羽田新党が、本当に『つひの栖』となって居心地の良い政党になるのであろうか。『雪五尺』も降り積もる不便で不甲斐(ふがい)ないところとなるのか。国民は静かに見守っている。


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