馳浩の古典こらむ

 うらを見せ            
 おもてを見せて
 散るもみぢ

 良寛
1758〜1831


 衆議院が解散となり、いよいよ総選挙をむかえようとしている。小選挙区制のもとでは初めての選挙。今までと違い、一つの選挙区からはたった一人しか当選することができない現実。争点は行政改革や消費税や安定政権のまとで景気回復などいろいろあろうが、この制度の究極的な判断材料は、『どの政策』よりも、『どの人』を選ぶのか、になってくる。

 何故(なぜ)ならば、小選挙区制度を導入した大義名分の一つが『政権を担い得る二大政党』の対立を目指しているからである。だから、どの政党も国民のためには責任を持って政権を担当し得る政策を提示しなければならなくなり、国民としては、明確な争点を見い出しづらくなってくるのは当然の成り行きなのである。そうなると、候補者の『好き』『嫌い』が有権者の一票の行方を左右するというわけ。となると、選挙の戦い方にしても、一人でも多くの人と直接顔を合わせることが重要になってくる。今までのような『動員型』の組織選挙では自陣営の票を固めることができても、横への広がりはない。ここは従来の固定観念と遠慮を捨てて幅広い訴えかけをすることが当落のギリギリを左右することになるだろう。

 季節はまさに秋の盛り。

山々に色づくもみぢの葉は、自由民主党か新進党か、はたまた民主党か共産党か、あるいは社会民主党かさきがけか。いずれに『うら』『おもて』を見せるのだろう。たった一つの議席の陰では、その他大勢は『散る』のである。

厳しい。


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