馳浩の古典こらむ

 此道(このみち)や          
 行人
(ゆくひと)なしに
 秋の暮
(くれ)

 松尾芭蕉
1644〜1694


 マイケル・ジョーダン。アメリカのプロバスケットボール選手。33歳。

 「あれはマイケル・ジョーダンの姿をした神だ!」とまで形容されている。バスケットボールのワクを超え、スポーツのワクを超え、アメリカという国のワクを超え、今や世界的な知名度とカリスマ性を持つプレーヤー。

 年収70億円。大リーグヘの挑戦。数々の記録(NBA優勝4回、MVP4回、得点王8回など)。そして『エア・ジョーダン』というニックネーム。これは、驚異的なジャンプ力で空中を”飛ぶ”ようにプレーする彼にはぴったりの表現。

 その彼が先日スポーツメーカーのイベント出演のため専用機で来日。日本のスポーツファンぱかりでなく、一般の人たちにも、卓越した技術を披露してくれた。それは人間の能力の限界を超えて芸術にまで昇華しており、会場は驚感。私たちは改めてスポーツ交流のすばらしさを見せつけられた。まさしく、神様が地上に降臨して空中を舞っているようだった。そんな彼には、自身を理解してくれる人が周囲にいるのだろうか、と私は心配してしまう。神様は時にして孤独であり、裸の王様にもなってしまうからだ。

 この句は「秋の夕日に染められて一本の道が長く続く。道を行く人は誰もいない。私だけの道である。」という意味。

 マイケル・ジョーダンの『此道(このみち)』と私たち凡人にはとうてい想像もつかない。しかし、彼を見ることによって『此道』の真実に触れることができるかもしれないと思う。それがスポーツの一面かも。


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