馳浩の古典こらむ

 二人して           
 むすべば濁る
 清水かな      

 与謝蕪村
?〜1763


 銀メダリストと銅メダリストが手を握り合って買い物に行っただけで、『○○熱愛』となってしまうのが日本という不思議な国。

 もちろん、アトランタオリンピックの柔道で銀メダルをとった『ヤワラちゃん』こと田村亮子さんと、自転車競技で銅メダルをとった十文字貴信くんのほのぼのショッピングのことである。久々の大型カップルの誕生?

 お互いに競技を終えてつかの間の休息の時。そりゃまぁ『イイナ』と意識しあっているからこそ、手をつないで歩きたかったのだろう。いいじゃないの。静かにソッと見守ってあげれば。日本に帰ってくれば、片や女子大生として勉強と稽古(けいこ)に励まなければならなくなるし、片やプロ競輪選手として結果を出していかなければならない厳しい競争社会の中に戻るのだから。

 青春のほとんどを犠牲にしているトップアスリー卜同士が、心打ちとけあい、共通の意識を持ち合うのは自然ななりゆき。それが恋心にかわったとて、なんら不思議なことではなかろう。

 それを無粋なマスコミが騒ぎ立ててせっかくの仲を引き裂くことはないやないの!

この俳句は、「恋する二人がいっしょに水をすくったので、わき清水が濁ってしまったことよ」という真夏の恋のさわやかさを詠んだ一句。

 ヤワラちゃんと十文字くんのほのぼのデートは、真夏のアトランタに咲いた一輪の恋の花。それも、二人にとってはメダルよりも輝く想(おも)い出のひととき。

どうか心ないマスコミ攻勢によって、濁らせてほしくない話題でおる。

ヤワラちゃんよ!

私は静かに見守っているぞ!


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