馳浩の古典こらむ

 さびしさや       
 一尺消えて
 ゆくほたる

 立花 北枝(ほくし)
?〜1718
『北枝発句集』より


 一流のスポーツ選手も、人生の中で輝いていられるのはほんの一時。年をとれば、体力も衰え、若さの勢いもなくなり、何よりも競技に対する情熱も薄れてしまうもの。

 しかし、時には例外も。

 参議院議員であり、七度目のオリンピック出場を果たした橋本聖子さんである。

 国会議員とトップアスリートの二足のわらじは無理だ!不謹慎だ!!との無責任な外野席の声をものともせず、彼女はやり通した。

 当選以来、毎朝4時からのトレーニングは欠かさない。さりとて、8時から始まる自由民主党の政策勉強会にも欠席せず、先輩議員に同席をして時には意見を述べることも。

 7度もオリンピックに出場するというのは、世界タイ記録だそうである。同僚である気安さから、私などは

「長野オリンピックで8度目を目指せ。どうせここまでやったのなら、世界記録だ。毎日の積み重ねがオリンピックに直結するのだから、このままトレーニングと議員活動の生活ペースを続けたらどうだ」とハッパをかけている。当人も

そうね、やるべきかしら。でも、結婚もしたいしなぁ」と、まんざらでもなさそう。

 この句では『一尺ごとに明滅してゆく螢の光を見ていると、この世に永遠の輝きはないのだと考えさせられ、さびしい』という意。

 私は言いたい。一瞬の輝きこそが、永遠の輝きなのだと。橋本聖子さんにも、光を放てなくなるまで戦い続けてもらいたいと願う。

 その姿こそが貴重な『光』である。

 
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