馳浩の古典こらむ

 七夕の
 なかうどなれや
 宵の月

松永貞徳 まつながていとく 1571〜1653
犬子(えのこ)集


 本木雅弘さん(元シブカギ隊のモックン)が、七夕の七月七日、結婚する。いつまでも若いと思っていたが、彼ももう29歳。彼が結婚すること自体はそんなに驚くべきことでもないが、そのお相手を聞いてびっくり。
 内田也哉子さん、19歳。なんと、あのロックンローラー、内田裕也さんと女優、樹木希林さんの一人娘だというのである。
 男女の縁とは魔訶(まか)不思議。モックンと也哉子さんのつながりがどこでどうスタートしたのかは知るべくもない。ただ、話題の三人が一本の線で結びついたというところに興味を覚える。そしてまた、結婚式の日取りが、牽牛(けんぎゅう)星と織女星が年に一度会うという七夕祭りの日であるということが、そして神前挙式であるということが、意表をつく。常識にとらわれずに活躍してきた人たちとしては、あまりにもおめでたすぎる日と方法を選んだものだ。

 俳句の意味は「今夜は七夕で年に一度の出会いの夜だから、宵(よい)のうちに出ている月はその仲人役になって、役目がすんだらさっさと引っこんでしまってくれよ」。つまり、二人のために気を利かせなさいよ、とのこと。

 モックンの結婚式ともなれば、芸能マスコミがわんさと押しかけて大騒ぎになることだろうし、ご両親の内田さんと樹木さんも注目されることだろう。しかし、この日ばかりは、若い二人のために、周囲のおじゃま虫は「宵の月」のようにさっさと引っこんでおくべきだろう。


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