|
|
馳浩の快刀乱筆
|
4月12日、水曜日の早朝。議員会館で新聞を読んでいると携帯に電話が入った。もしもし、と出ると軽やかな女性の声。「ハセ先生ですか、聖子です。今よろしいですか?」橋本聖子議員である。いつもながら、相手の事情をうかがいながらのていねいな電話。
「いいよ。どうしたの? 産休に入るなら事前に連絡して下さいね。昨日の話では、今週末にでも、産まれそうだということでしたから、今日にでも、手続きを取って下さい。とりわけ聖子さんが理事をつとめている文教科学委員会の現場は、法案がたてこんでいますから、かわりの理事を準備して、仕事の引き継ぎをしないといけませんので」
「あのー、それがー、産まれちゃったんです」
「え、えー? い、いつ? きのうは元気に本会議に出席していたし、委員会運営のための根回しまでやっていたじゃない!」
「昨日の夜、急に産気づいちゃって、病院に入ったら、二時間ほどでうまれたんです」
「う、うわー。そんな、また、すごい・・・」
「ヘヘー。三回ほどいきんだら、産まれちゃいました。ひねり出しちゃいましたョ!」
「で、どっち? 体重は?」
「女の子でーす。2930グラムです」
「うわー。良かったぁ。おめでとう。で、名前はどうするの?」
「夫ともいろいろ考えてるんですけど、せいか、にしようと思っています」。
「せいは、聖子ちゃんの聖?」
「それが強すぎるみたいなので、どうしようか考えてるんです」
「だって十分ママも強いじゃないの!」
「ヘヘー」
というわけで、参議院始まって以来の女性議員の出産は、あっけないほどにあっけなく終了したのであった。まさしくミレニアムベビーは、周囲の雑音をよそにおいて、ママのふところに元気に力強く抱かれた。聖子ちゃん、おめでとう!女性は、強い!
エッセイスト・小矢部市出身
INDEX