金沢への3つの主張  2006年7月


 

1、危機感  2、夢・将来構想(ビジョン) 3、勇気・挑戦
 

 【1、危機感】 現状からみて危機感が足りない。

 1.繁栄しているようにみえるが、全て国頼み(国の補助金による実現)
    例:新幹線、外環状道路、金沢港

 

 2.しかし、国家財政は火の車。地方交付税の縮小は今後も続く。また、地方債の引き受け先も政府系から市場を通じての投資家へと大きく変わる(市場公募地方債の拡大)。そして、小さな政府・地方分権の美名のもとに、平成の大合併(注1)が行われ、究極の行革である「道州制(注2)」が導入されようとしている。

 (注1)都市間どうしの合併に限れば、国は国の指導保護のもと、地方の行政を向上させることから、都市間の切磋琢磨の競争で行政を向上させる方針に大転換している。

 (注2)「道州制」とは、都道府県がなくなり、代わりに複数の旧都道府県で構成される各州ができる(例:北陸州、中部州)。したがって、その地域の発展は、旧都道府県の県庁所在地等、中心都市の発展に決定的に左右される(州都争い、都市間競争−平成の戦国時代といえる)。

 

 3.自治体の財政的自立が求められ、かつ今後も財政需要に十分対応すべきなのに、金沢は財政難(注3)にある。
 (注3)総務省が決めた金沢市と類似中核市9市(宇都宮市・岡山市・長崎市等)の中で、起債制限比率12.9%でワースト3。1人あたりの地方債残高約69万7千円でワースト1。事実金沢市は財政の健全化のための中期財政計画を実施中。 資料1参照。

 

 4.一方、静岡市・堺市、(今年決定予定の)新潟市・浜松市は政令指定都市になり、財政的基盤を強化した。金沢と同規模の岐阜市・熊本市等も政令指定都市の構想を持っている。

 

 5.金沢は野々市町等との合併に失敗(注4)。その根底に政令指定都市を目指す等の将来構想が全く示されなかった。
 
(注4)合併失敗により、合併特例債という新たな財源確保の道が閉ざされた(野々市町との合併による合併特例債は最大で310億5千万円発行可能だった。金沢市の年間土木予算とほぼ同じ) 

 

 問題提起:合併に失敗した金沢は今後の都市間競争に勝って生き残れるのか?

 

【2、夢・将来構想(ビジョン)】 悲観せず夢・将来構想を持とう。ピンチをチャンスに活かそう。

 1.政令指定都市を目指そう。政令指定都市になれば、
 (1)県の関与がなくなり街づくり・許認可が自分でできる
(県からの自主独立)
 (2)高度・広範囲・効率的な行政サービスができる
(行政サービスの拡充)
 (3)行政区を設けて各区に事務権限を下ろせば、行政がもっときめ細かく身近になる
(自治内分権の推進)。    (4)指定銀行よりも金利の安い長期の地方債を市場を通じて事実上(法的には自由)発行できる(全国型市場公募地方債)。宝くじも発行できる(財政基盤の安定)

  最後に、
 (5)都市の格があがる(企業版一部上場)。これが企業・事務所誘致の呼び水になり、地域の経済圏の新たな成長につながる。

 そして
 (6)強い求心力が生まれ、ヒト・モノ・カネ・情報をひきつける。まさに新幹線のストロー対策ともなる
(求心力ある地域経済圏の成長)

 

 2.しかし、政令指定都市になれば必ず発展が約束されるわけではない。政令指定都市は器でしかない。チャンスを与えてくれるもの(だけ)。

 

 3.問題は、政令指定都市という器に何を盛り付けるか、まさに夢・将来構想が鍵となる。

 

 4.具体的構想⇒学都(学園都市)・金沢を目指す。すなわち、高等教育機関・研究開発機関の誘致と産学連携・学学連携をより一層図り、先端技術・先進文化の発信基地となる。特に、美大の発展を期す(例:マンガ・アニメ科創設、デザイン科系の学生と企業の連携)。→学問を基点に産業を興す

⇒文化都市・金沢を目指す。すなわち兼六園・世界遺産構想と尊経閣文庫誘致(分館設置)。

⇒その他:LRT等の新交通システムの導入

PFI事業の展開(民間資金の調達による公共事業)

市場化テストによる民への移管(行政のスリム化と経済活性化)

特区等を活用した街づくり(中心市街地の活性化)

 

結論:政令指定都市という新たな器を創造して、学都・文化都市金沢という料理を盛り込む。これにより新たな地域の経済成長・活性化を達成させる。

 

【3、勇気・挑戦】 勇気をもって挑戦しよう。

 1.新幹線開通時(平成26年頃)目途に政令指定都市になる。

 

 2.内灘町・津幡町・かほく市・野々市町・白山市とのいわゆる石川中央広域圏での合併を目指す(70万)。

 

 3.謙虚に誠実に勇気をもって挑戦する。江戸の幕末時金沢は日本で人口が第4位(現在の名古屋市)。1920年(大正9年)の第1回国勢調査では第11位(現在の広島市)。今では第36位。政令指定都市になり「平成の加賀100万石」を、今まさに明治以来の地方制度の変革期に実現しなければ、21世紀金沢には未来はない。

 

結論:1世紀単位の歴史的観点から、まさに今こそ「恐れず、ひるまず、ひたむきに」ジリ貧・金沢の復活を目指す時。


<資料1>

 金沢市の財政分析

総務省が今年度から始めた「市町村財政比較分析表(平成16年度決算)」による評価

注意すべきは、金沢市と類似中核市9市の計10市との相対評価である。

 中核市9市宇都宮市・船橋市・相模原市・静岡市・堺市・岡山市・大分市・長崎市・鹿児島市(なお16年度段階なので静岡市・堺市は政令指定都市前)

県内市町村との相対評価や絶対評価のみでは真実はわからない。

財政力指数 0.74     10市中7位の悪さ

起債制限比率 12.9%  同8位の悪さ

人口1人当たり地方債現在高 69万6756円  同10位(最下位)

 

☆詳しくは、「石川県HP・県内市町における財政状況」(市町村財政比較分析表等)を参照

18年度から地方債は原則協議制になるが、財政が悪いところは許可制となる。その指標が「実質公債費比率」だが、18%以上なら許可制になると言われている。

金沢市は、この指標でいけば、17年度では、15〜16%になるので、大変危ない数字である。  ページTOPへ

 



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