「中日新聞」 (夕刊)掲載
家族のこと話そう「難しい東京の子育て」
小学三年の娘がいます。女房(タレントの高見恭子さん)とは、今までもずっと共働きですしこれからもそうでしょうね。
子育ては女房にまかせきり。でも家にいるときにはできるだけ家事をやり、夜は早く帰るようにしています。女房は夜のパーティーやお付き合いが多いので、その時は午後五時くらいに帰ります。
プロレスラー時代に結婚しました。二年後に選挙に出たけど、女房は驚かなかった。
「私は私、あなたはやりたいことをやってください」って。今でも私の政治、選挙活動にはいっさい顔を出させない。政治家と女房のタレント活動はリンクさせないようにしている。意図的にね。
家は子ども中心
私も女房も、仕事は家に持ち込みません。家に帰ってからは、子ども中心に。テレビを見て笑って、犬と散歩に行って、一緒にお風呂に入る。
私は大学卒業後、二年間高校で古典・漢文を教えていたし、女房もテレビで俳句の番組を持っているから、娘と遊びながら俳句を作っている。親ってのは耐えることが多いなと思いますよね。自分の時間、お金を制限しないと子どもを見守ってあげられない。こうした体験が、政治家として成長させてくれている。議員として、児童虐待を専門にしています。地域の連携がうまくないなと思う。近所の人の無関心さも感じる。
社会全体で子どもを見守ってあげなきゃいけないのに。ワイドショーを見ていると、虐待で子どもが亡くなる事件が起きた後、近所の人が「こんなことがあった、あんなことがあった」って言うでしょ。それなら、なんで通報しないんだよって思う。通報する義務があるのに。私は富山で小二まで過ごし、金沢に養子に行きました。今、平日は女房、娘がいる東京、週末は育ての母がいる金沢に渡り鳥みたいに行ったり来たりしています。
娘を地域活働に
娘が育っている東京と、私が育った金沢は全く適うね。
金沢は公民館活動を中心に、町内会の活動がとても盛ん。町内会の下に5−20軒くらいで班がある。金沢は45万人都市ですが、祭りや雪かきの予定が、町会長から班長を通じて市民の末端まで数時間で伝わる仕組みになってる。最近は集合住宅が増えて町会加盟率が8割くらいに落ちてきたけど。娘は区立の小学校に通っているけど、同じ町内会でも私学に通っている子が多い。そうすると子ども同士遊ばなくなる母親も付き合いがない。それに中学受験する子も多い。区立中学の学区にある区立小学校二校で、小学六年生が計140人いるのに実際に中学校に行くのは60人しかいない。父母会とか、子どもを通じてコミュニティができ、地域の結束力が高まるのに。
東京はコミュニティの中で子育てするのが難しい。それに中学受験のために小三、四から塾通いでしょ。親がけん制し合うから子どももけん制し合っちゃう。子育ての状況を全国一緒に考えちゃいけないんだと分かりました。
地域活動を盛んにするのは町内会活動や地域の集会場だと思う。こうした文化に触れさせたくて、娘も児童館に行かせたり、町内会のお祭りに参加させています。 (聞き手・吉田瑠里)