第百四十五回  国会

参議院行政監視委員会会議録第三号

平成11年3月29日(月曜日)午後1時開会

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○続訓弘委員長

 ただいまから行政監視委員会を開会いたします。

 行政監視、行政監察及び行政に対する苦情に関する調査を議題といたします。

 本日は、政府開発援助等に関する件について質疑を行うことといたします。

 質疑のある方は順次御発言願います。

 

○馳浩行政監視委員

 自由民主党の馳です。よろしくお願いいたします。

 国会の行政監視委員会の場でODA問題について質問させていただくということは私のかねてからの念願でもありましたので、本当に貴重な場を与えていただいて感謝を申し上げます。

 まず、最初に、大島外務省経済協力局長にお伺いしたいんですが、今現在、日本の国は何カ国に対して政府開発援助、ODAを供与しているでありましょうか。

 

○大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 まず、当委員会にお招きをいただきまして政府開発援助の問題につきましていろいろ御説明をさせていただく機会を得ましたことにお礼を申し上げます。

 ただいまのODA対象国でございますけれども、これまで我が国がODAを供与した開発途上地域等につきましては162の国及び地域、こういうことになっております。

 

○馳浩行政監視委員

 その対象国・地域の中心はどの地域でしょうか。

 

○大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 我が国の開発援助につきましては、主たる対象国・地域は我が国の属しておりますアジア地域ということになっておりまして、特に東アジア、東南アジア、この辺が中心でございます。

 以前は大体二国間援助の70%ぐらいをこのアジア地域に供与してまいりましたけれども、最近少し比率が減っております。50%前後というものがアジア地域に行っております。二番目にアフリカ地域、あと中近東、中南米等でございます。最近は中央アジア、旧ソ連から引き離されましたコーカサス、それから中・東欧地域、大体こういう順序になっております。

 

〇馳浩行政監視委員

 開発途上国に対する経済援助ということでありますから世界に貢献する日本とすれば対象地域の偏りがあってはならないと思うのですが、これまでにアジア中心であったということの意味はどういったところにあるんでしょうか。

 それと同時に、今、局長からお話しいただきましたが、アフリカ諸国あるいは中南米、東ヨーロッパ地域等々、より一層日本の援助を期待している地域も多いと思いますし、日本の外交戦略上もそういった地域との関係を深めていく上でODAを一つの外交上の戦略手段として使っていくことは必要だと思いますが、これまでの経緯とあわせて今後の展望をもうちょっと詳しくお伝えください。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 アジア地域が引き続いて日本の最重点の地域たり得るということは今後も恐らく変わらないだろうと思います。これは地理的関係、日本とこれらアジア地域の経済的、歴史的その他の関係からいいましても、かつこれらの諸国が持っております大変に大きな開発に対する需要、これにこたえていくことの必要性、こういったものが圧倒的でございますので変わらないと思います。

 さらに、一昨年あたりからのアジア経済危機ということで大変に大きな問題を抱えております。こういう困難な状況にありますアジア地域に対しまして、引き続き日本としてできるだけの支援をしていくということが外交政策を含む全体の我が国の政策の中で非常に重要であろうと認識いたしております。

 しかし同時に、我が国は7年間続けて世界最大の援助供与国、こういう地位を維持してきております。アフリカ等の諸国におきましても大変に膨大な開発の必要性がございますし、貧困、飢餓等の問題もあるわけでございますので、やはりアジア中心という姿勢は維持しつつも、アフリカ、それから日系人が多数おられます中南米等に対しましても、さらには太平洋諸国、小さな島国等ございますが、こういった国を含めて幅広く全世界的に目配りをしながら考えていく必要もあろうかと思っております。

 

○馳浩行政監視委員

 今、世界最大の援助供与国とありましたけれども、世界のODAを拠出している国の中で何%ぐらいを占めているものですか。それと、日本として、昨年度でもいいですから、総額幾ら拠出しているのでしょうか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 我が国が供与いたしました額は、1997年でございますが、これはOECDの開発援助委員会が集計して報告した数字でございますけれども、1兆1,320億円、ドルにいたしまして93.6億ドルとなっております。これは二国間及び国際機関を通じた援助の規模では第一位ということになっております。GNP比で0.22%、大体こんな数字になります。

 

〇馳浩行政監視委員

 GNP比で0.22%。

 GNP比ということを考えると、そういう意味でも世界最大の供与国ですか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 GNPの比率でいいます援助量ということになりますと、日本はむしろ下位の方でございまして、開発援助委員会の21力国の中では第19位ということでございます。

      

○馳浩行政監視委員 

 額としては一番大きいというのはわかりましたけれども、GNP比という観点からすればまだまだ我が国のODAを量的に拡充する基礎体力はあるというふうに考えてよろしいのでしょうか。

 

○大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 我が国としましては、従来からODAにつきましては量的な拡大を目指しまして中期計画というものを累次つくってまいっております。その結果が世界一の援助国にまで成長した成果になったということでございます。

 他方、予算につきましては、平成10年度につきましては国内の大変に大きな財政的な問題がありましたのでODA全体で10%の削減が図られました。それから、11年度に向けてはほぼ10年度並み、0.2%程度の増でございますけれども、ほぼ横ばいということでございます。

 この規模が我が国の開発援助の分野で果たすべき役割に比して大きいかどうか、将来の展望につきましては、やはりこれは財政的な制約というものを大きく受ける問題でございます。私どもとしましては、我が国自身が大変に難しい経済状況にある中で、政府開発援助については10%からさらに続いて削減を免れて、ぐっと踏みとどまって横ばいにした、この姿勢は国際的にも日本政府の意思を示したものということで受けとめられているというふうに思っております。

 

〇馳浩行政監視委員

 GNP比で19位ということですが、では第一位の国はどこで何%でしょうか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 GNP比の大きい国は北欧諸国でございまして、1998年の開発援助委員会の資料によりますと、デンマークが一位で0.97%、ノルウェーが0.86%、オランダが0.81%、大体こういうふうになっております。

 

○馳浩行政監視委員

 ぜひこのGNP比1%に近い数値に近づけるためにも、先ほど局長は財政的に非常に厳しい状況であると言われましたが、財政的にGNP比1%に近づけることができない何か政治的な障害とか、国民合意がなされていないというふうにお考えですか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 我が国のGNP、分母になるべきGNPというのが膨大でございますので、この比率が順番にしますとこういった北欧諸国等のODA実績のGNP比という数字に比べますと小さくなっている、これはやむを得ないところだろうと思います。

 ちなみに、アメリカ自身も大変にそういう意味では似たような状況にあるわけでございまして、アメリカの場合はGNP比だけで見ますと最下位でありまして、0.09%ということで0.1%にも達しておらないという状況でございます。

 そういう中で、我が国につきましては0.22%というところにあるわけでございますが、これは現在の我が国が置かれた財政状況、その中で我が国が果たさなければいけないODAを通ずるいろいろな国際貢献の姿というものを考えますと、ぎりぎりのところであろうかと思っております。

 

〇馳浩行政監視委員  

 ぎりぎりのところをさらに拡充していただきたいんです。

 アメリカなどは非常に低いということは数値でわかりましたけれども、どうでしょう、途上国から日本に対するより一層の量的な拡充を求める期待、あるいは平成10年度ですか、これは財政構造改革法でも枠がかけられていたと思いますけれども、10%削減であったと。この影響が二国間援助でもあるいは多国間の、つまり国際機関に対する援助の額としても大きく減って、その機関の運営資金でさえままならないといった苦情が寄せられたということも私は承知しております。

 そんな中での現在の諸外国からの期待というものはやっぱり大きいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 我が国に対しますODAの分野における外国あるいは国際機関からの期待は大変に強いものがございます。

 昨年、平成10年度の予算をつくりましたときに10%削減ということになったわけでございまして、特にこの際には国際機関に対します我が国の任意拠出金を相当削減せざるを得ないという事態があったわけでございます。このときには、先生御案内のとおり、大変に強い失望感がございまして、日本の総理大臣、外務大臣、各党に対しましてもいろいろな働きかけ等がございました。それが平成11年度に向けましてはほぼ横ばいということで踏みとどまってくれたということに対しましては、先ほど申し上げましたように、それ自身に対する日本政府の努力というものはそういうことで評価をされていると思います。

 二国間援助につきましても、特に今の状況で申しますと、経済危機のさなかにあります東アジア、東南アジア諸国、それから昨年10月に東京で行いましたアフリカ開発会議、大変に成功したと思っておりますけれども、こういった境で表明されている対日期待、それから、折に触れて日本にも開発途上地域の指導者の方々がたくさんお見えになりますけれども、そういった際に表明される我が国に対する資金的、技術的ノウハウの供与、こういったものに対する要請、要望、期待というのは大変に強いものがあると申し上げていいと思います。

 

〇馳浩行政監視委員

 これは考えなきゃいけないのは、我が国の経済的な規模に応じたODA予算の拠出、そしてこれが国際貢献として被援助国に本当に喜ばれているのかな、日本がこれだけの額を我が国に拠出していただいているという日本に対する感謝の気持ちを持っていただいているのかなという点が一点。と同時に、これは予算でありますから財投のお金であるとか私たちの税金から出ているお金でありますけれども、我が国の国民はODA予算として1兆1320億円、これだけの額が拠出されていることに対して深い理解を示しているのかな、この辺の見合いが政策判断として必要になってくると思いますし、行政当局としてどのようにこれをお考えになっておられるか、御感想を伺いたいと思います。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長) 

 我が国の開発援助というものは、一つは資金的な協力、それから人間が関係をする形での技術協力、あとは国際機関を経由する協力、大別いたしますとそういう三つの形態になろうかと思います。

 国際機関の関係につきましては先ほどちょっと申し上げさせていただきました。

 二国間の協力でございますけれども、二国間の協力の中でまず人間が中に入ります形での協力、例えば青年海外協力隊はその典型的な例と申してよろしいかと思いますが、それ以外にも日本からたくさんの技術専門家が海外途上地域に赴いていろいろな技術協力に携わっておられます。こういったもの、それから緊急的な場合の援助、洪水、地震等の場合の緊急援助隊の派遣、こういったいわゆる日本人の顔の見えるものは日本の協力ということで素直に評価され、役に立っているというふうに私どももこれは高く評価しております。

 資金協力につきましても、資金協力の実施の結果いろいろなプロジェクトが、インフラプロジェクトを初め学校の建設とか下水の施設とか、こういった形でのいろいろなプロジェクトがつくられるわけでございますが、そのかなりの部分につきましては日本人がその建設に請負業者として関与いたします。

 さらに、そういうものが完成をしますと起工式、完工式、受け渡し式というようなものが行われますけれども、こういった場合にもその地元におきましてテレビや新聞等にそれが大きく報じられます。どの程度これが報じられているかということにつきましては、実は定点観測を先般行いました。新聞、テレビ、ラジオ等で私どもが予想したよりも相当の頻度で、かつ扱いの大きさでそういうものが扱われて我が国の外交の下支えの一端を担っておるという姿を確認することができたと思います。

 もちろん、さらに広報の面、いろいろな面で改善を要することはあると我々も重々思っておりますけれども、全般としましては我々のこうした日本人の全体を挙げての、国を挙げての協力の姿というものは多くの国においてそのまま正当な積極的な評価として成果を生みつつあるというふうに思っております。

 

○馳浩行政監視委員

 もう一つ、我が国の国民に広く理解していただいているかなという点なんです。

 実はこの行政監視委員会の場で私たち国会議員がこのODA問題についていろんな問題点を指摘し、行政当局にその問題点を明らかにしていただいて改善していこうというのは、これは一つの国民に対する周知、理解を求める上で重要な場だと私は思うんですよね。そういう意味では、これはまだ第1回なわけでありまして、この後委員の皆さん方からいろんな指摘がされてくると思いますが、まずこれまで十分に広報がなされていたのかなと私はちょっと懸念を持っております。

 そういう意味で、1兆円を超える予算がODAに使われているということに対して相手国からは大変な感謝をいただいているということは今御説明いただいてわかりましたが、何よりもこの経済危機の時代に日本の国民に理解いただかなければいけないんじゃないかなと。ましてや、これは国家予算ですから国会承認を得ての予算執行ということになるわけでありますから、この点の努力はもっともっとしなきゃいけないと思うんですね。いかがでしょうか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 馳先生御指摘のとおり、全く私どもも痛切にそういうふうに感じております。

 総理府が年一度、国民の世論調査をやっておるわけでございます。その中でこの政府開発援助に対する世論調査も行われております。従来の例ですと、大体7割近くの国民の皆様方が我が国の援助について現在レベルを維持すべき、あるいはもう少しふやすべきという意見を言っておられます。もしこの総理府の調査が一つの指針、ヒントということになりますと、そういう意味でかなりの高いパーセンテージで国民の皆様方に理解をしていただいておるというふうに思います。ただ、昨今のこういう我が国自身の厳しい経済財政状況の中でございますので、こういった数字もこれから多少は下がっていくことも十分あり得るかとは思います。

 そういうことでありますけれども、何よりもやはりこういう事業をやっていることについて、まずは国内の各方面、国民の皆様方に幅広く御理解をいただく、そのための工夫を私どもとしてしなきゃいけないというふうに思っております。

 

〇馳浩行政監視委員

 ちょっと観点を変えまして、我が国の国際貢献という観点から見たいと思うんですけれども、我が国の憲法の制約によりまして、軍事貢献という観点からすれば限定されます。我が国の国際社会の平和に対する貢献というものは限られます。これはもう私が指摘するまでもないことですが、そうなると外交上の一つの手段としてこの政府開発援助、ODA予算がどのように執行されるかということは外務省として日本の対外的な態度を明確にする上でも非常に貴重な手段になってくると思うんですね。

 しかし、そう考えたときに、経済援助でありますから大蔵省、通産省あるいは建設省、農水省、経済企画庁、こういった経済官庁にどうしてもイニシアチブを握られてしまって、肝心の外務省経済協力局のリーダーシップというものが発揮できないのではないかなという懸念を持つのですが、この点、局長がいらっしゃる経済協力局の行政執行体制等を踏まえまして、どういうふうに感想を持っておられるか、お聞きしたいと思います。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 援助を実施しております先進国の援助体制、いろいろ我々も研究をいたしておるわけでございます。それぞれの国がそれぞれの行政風土とか伝統に合ったやり方をやっております。我が国の場合には、これは一つには政府を挙げて取り組む、それからいろいろな経済協力、特に専門技術がかかわってまいります技術協カにつきましては原子力から米づくりまで非常に幅広い分野がございますので関係省庁の数もその分ふえます。したがいまして、ほかの国に比べますと、我が国の援助の実施体制、政府の中の仕組みというのはやや多元化された仕組みになっていると申し上げてよろしいかと思います。つまり、一元化された援助省とか援助庁というようなものはそういう意味ではないわけでございます。

 しかしながら、この開発援助の仕事は海外で事業が行われるものでございますし、海外における事業となりますと案件の発掘からその途中の実施、最後の完成、フォローアップまで基本的には在外公館あるいは実施機関であります国際協力事業団とか経済協力基金の海外事務所、こういったものが中心となるわけでございます。そういう意味で、全体の政策の策定から実施に伴います過程において外務省がいろいろな意味でイニシアチブを発揮したり中心的な役割を果たしたり、あるいは調整を行っていく、こういう形で行われております。

 その力が十分かどうかということについてはいろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、そういう我が国の援助の実態を反映したやり方ということで、外務省を中心に政府全体を挙げて取り組んでいくという仕組みはそれなりにきちんと動いているというふうに考えております。

 

〇馳浩行政監視委員

 局長は考えておるというふうにおっしゃいますけれども、外務省が把握しておるODA予算というのは大体6000億円を切るぐらいですよね。技術協力に関していえば19省庁にわたりまして、経済協力のところに関すればOECFや輸銀やJICA等々多岐にわたっておるわけであります。そんな中で外務省の経済協力局が人員的にも、それから他省庁との協力関係においても本当にリーダーシップをとっているのかなというこの点こそ私たちが知りたいところなんですね。

 ODAに関しましては、基本法もないわけでありますから、大綱に基づいて行われておるということになってきますと、どうしても私たち議員から見ますと不透明な部分が多い、全体像を把握できない、機動的にODA予算を予算づけしておられるのかなというこの点が心配なんですが、そういう観点からいかがでしょうか。今現在の経済協力局の体制で十分なのかどうかというこの一点をちょっとお伝えください。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 御指摘のような点がもちろんございます。

 今般の政府全体を通じます行政改革の議論の中でもこの政府開発援助の体制をどうするのかという点は随分議論があったわけでございます。その中で、昨年の行政改革基本法におきまして外務省をいろいろな意味での調整のコアとして、中核として位置づけていくという方向性が基本法そのものに打ち出されてきましたので、これから先に向けての方向性というのははっきりしてきていると思います。

 その中で、円借款につきましては四省庁体制という形で緊密な協力体制ができておりますし、技術協力につきましては関係する省庁が十数省庁ございますけれども、外務省、JICAを軸といたします一番関係の深いところが全体を調整していくという線で政府部内の責任の所在といいますか、役割がより従来に比べ明確になっていくということでございます。

 そういう方向の中で、それから先はいろいろな運用をきちんとしていくということだろうと思いますけれども、政府全体がそうでございますし、さらに外務省の中におきましても、ODAの仕事は経済協力局という局が一つございますが、ここだけがやっているわけではございませんで、関係の地域局というものもございますし、それから国際機関を担当しておる部局もございます。こういったものが総合的に全体的な調整のもとで対応していく必要がありますので、その点につきましてはこれからの新しい方向づけの中でできるだけ効率的、効果的に行えるようにやっていくというのが今の私どもの強い方針でございます。

 

〇馳浩行政監視委員

 この観点から具体的なことを一つ申し上げますと、ODA予算の執行についてぜひ私たち国会でもっと注目したいなと思うのは評価のあり方なんですね。

 毎年、経済協力局の方ではたくさんの事業評価というものをしておられると思いますけれども、そしてそれを新たな案件発掘、そして予算づけに生かしていかれていると思いますけれども、この評価体制というものは経済協力局で十分対応できるものですか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 この援助の案件をやりっ放しではもちろんいけないわけでございますので、非常に評価というものが重視されております。

 体制につきましては、外務省自身は評価室というものを別途設けまして、ここで7名が常時この評価の仕事に携わっております。別途、実施機関におきましては、まず技術協力をやっておりますJICAにおきましても7名の評価管理室という特別のユニットを設けておりますし、それから円借款を担当しております海外経済協力基金におきましては8名の評価グループというものを設けておりますので、この三者だけでも20名以上の評価専門のスタッフがいろいろなプロジェクト、プログラムの実施の際に評価の事業に専門的に従事しております。

 これは十分かどうかということになりますといろいろありますけれども、我が国自身の援助スタッフが全体としては非常に少のうございますが、そういう中で評価の重要性というものを十分認識いたしまして、それなりの人材を割り当ててやっておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

 

〇馳浩行政監視委員

 ここは私はこの行政監視委員会の場での質問で一番ポイントとしたいところなんですが、20名のスタッフ。そして、先ほど私が申し上げましたように、ODAというのは外交上の1つの重要の手段なんですね。日本が国際貢献する上での重要な手段なんですね。

 そう考えたときに、言葉は悪いかもしれませんが、外務省が予算づけをして身内の外務省の方が評価をするというのはおかしいんじゃないんですか、身内の評価という観点からいくと。もちろん、人数も私は少ないと思いますし、十分な体制だとは思いません。この辺は局長ももっと評価体制を拡充するために職員をふやしてほしいななんという希望もあるとは思いますけれども、ただ国民から見れば第三者の評価、私たちの予算、税金や財投の資金が使われている、それに対する評価は外務省が予算づけをして外務省が評価をするというのではなくて第三者に評価をさせて、そこから外務省が指摘を受けてフォローアップしたりフィードバックしたりしていく、これが健全な評価のあり方ではないかなと私は思います。

 そういう意味で、第三者に評価をゆだねて、そこから指摘を受けて自分たちの行政に新たに生かしていくという、この観点からの政策は考えていないんですか。

 

〇大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 まさに評価につきましては公正性あるいは客観性ということが非常に重要なことは改めて申し上げるまでもないわけでございます。そのためには、やはり第三者の目がきちんと届くということが非常に重要になるわけでございまして、このためにもちろん大使館自身あるいはJICA自身もOECF自身も自分で評価をいたしますけれども、それだけではございませんで、まず外務省の中におきましては経済協力局長のもとに評価のあり方、その手法、それからいろいろな通常私ども実務家だけではなかなか気のつきにくいような点も含めましてアドバイスを得る趣旨で援助評価検討部会というものを設けておりまして、外部有識者の御参加を得てこれを適時やっております。

 さらに、評価を行う際に、実際にチームを海外に派遣いたしまして評価活動に当たるわけですが、その際に第三者、すなわち援助問題の専門家でございますとか学者でございますとか、あるいは場合によったら報道関係の人も入ってもらうことがありますけれども、そういった方々、さらには国際的に世界銀行とかアメりカの援助庁とか、日本もいろいろ交流がございますそういった機関の方々の御参加を得るということもやっております。さらに、最近はNGOの関係の皆様方にも参加をしていただいておりまして、合同評価といったようなこともやっております。

 そういうことで、まさに第三者の目をできるだけ反映させる、その結果をそのまま外部にも公表していくということで、この第三者評価というものの位置づけを私どもも非常に重要なものと心得て実施に移し始めたところでございます。

 

〇馳浩行政監視委員

 通産省や経済企画庁あるいは外務省などでもODA改革というものは財政の厳しい折からいろんな提言が一昨年来たくさん出されておりますが、この第三者評価、あるいは評価手法の開発、こういったものについての指摘がどの改革提言書にもあるわけですよね。そういう観点からいえば、もっとより迅速に評価のあり方についていかにして考えていくかということを本当に第三者にゆだねるという行政の仕組みに抜本的に変えることが私は必要ではないかなと思います。

 実は私たち自由民主党でもODA基本法の作成のためにプロジェクトチームをつくっておりまして、これは自民党だけがやっているわけじゃなくて、一昨年来参議院の国際問題調査会のもとに対外経済協力の小委員会を設けまして、与野党全部が入りまして提言をまとめまして、それに基づいてやっぱり国会が関与していかなければいけないのじゃないのか、ODAの執行する予算を縛るというのはこれはちょっと非現実的でありますけれども、実際に執行されたものについての評価のあり方について我々国会が関与することによって、我々もやはり選挙を経て選ばれてきている代弁者でありますから、有権者の皆さんにお伝えすることができますし、議事録にも残るわけでありますから国会においても基本法のもとにODAについての透明性とか今後の効率的な予算の執行というものを求めていきたいと思っております。そういう観点からもさらに局長に、これはこれ以上質問しませんが、評価のあり方ということについて出された改革の提言を早く実行に移していただくように要望を申し上げておきたいと思います。

 それから、もう少しで質問を終わりますけれども、世の中は大変リサイクルの時代でありますけれども、ODA予算も無償資金協力と有償資金協力と技術協力、3つの大きな柱があるわけですね。有償資金協力は円借款でありますから、お貸ししたものは返ってくるわけですね。今までに円借款として供与した部分がちゃんと期限に耳をそろえてお返しいただいているんですか、まずこの一点。そして、そのお返しいただいた資金というものをさらに有効にODA予算として活用していただいているんですかというお金のリサイクルの流れの部分、有効に使っていただいているかどうか。

 それから、先ほどちらっと局長からも指摘がありましたが、顔の見える援助ということからいいますと青年海外協力隊、これに私非常にすばらしい点があるなと思うのはシルバー人材の活用というのがあるんですね。やっぱり青年となりますと、現在20歳から39歳までだったと思いますけれども、働き盛りの人が海外へボランティア活動のような形で青年海外協力隊員で行きましても、帰ってきてからの就職の問題もありますし、技術という点からいきましたらむしろ我々日本人は、今高齢化社会ですから60歳ぐらいの定年を迎えられた方でまだまだ体力も意欲も、何よりも技術がある、人間性も豊かな方々が海外に行って御活躍いただく、すばらしいことだなと思います。

 こういうシルバー人材の活用、人材のリサイクルと言うと行かれている方に失礼ではありますけれども、青年海外協力隊の事業の中でシルバー人材の活用という観点から日本の人材、これは実は定年を迎えられた有能な60歳以上の方々、5年も10年も行ってこいとは言いません、1年、2年でも本当に能力があって専門的な知識もあってやりたいという希望がある方はどんどん私は出していただきたいんですね。これこそまさしく顔の見える援助じゃないか、日本の本当の蓄積された専門的な技術を途上国にお伝えする、人と人との交流に当たる能力じゃないかなと思います。

 もう一つ、三点目はいわゆる南南協力でありまして、東南アジア、あるいはこれはアフリカ地域でもどんどんやっていただきたいんですが、それぞれの国にすべて人、物、金を流すのじゃなくて、ある拠点拠点に集中的に、恐らく大学等を通じればいいのだなと思いますけれども、人材と資金とそれから設備、これを途上国のある地域に集中的に日本が支援をすることによってその周辺諸国が被援助国のその集中的に援助を受けている地域へ行ってまた学ぶことができる、こういう南南協力の体制も私はリサイクルという観点から、リサイクルに当たらないかもしれませんが、連携して効率的な予算の執行ということを考えればもっともっと拡充していただいた方がいいんじゃないかと。

 なぜならば、これは日本のODAですけれども、やはり言葉の問題、文化の違い、生活習慣の違い、こういったものからすべての国にすべての能力がある日本人が行くという、これもまた幾ら日本人が優秀とはいえ風土に合う、習慣に合うような指導をできる人材が育つかといえばそうでもないわけですね。その観点からNGOの皆さんにも御活躍いただきたいのですが、基本的には集中的に被援助国を決めてその周辺諸国に私たちが援助をした人、物、金が波及効果として流れていく、こういう支援も必要になってくると。

 この三つの観点、円借款のお金がちゃんと返ってきてそれがまた有効に使われているか、つまり円借款のお金が耳をそろえてちゃんと返ってきているんですかという観点もあるんです。二番目が日本の定年退職を迎えられた後専門的な知識を持っておられる方々のシルバー人材の活用、三番目が南南協力、この観点が私は今後のODAの予算の効率的な執行ということを考えると一つのポイントにもなると思うんですが、いかがでしょうか。

 

○大島賢三政府委員(外務省経済協力局長)

 まず、第一点の円借款の返済でございますが、現在までに円借款として供与いたしました額は全体で11兆8471億円、これが融資の実行額の全体でございます。回収はおおむね順調に進んでおりまして、額で申しますと2兆6863億円が回収されております。したがいまして、残額が9兆3000億強、こういうことになっております。回収された資金は次の借款の原資ということで海外経済協力基金の予算の中に組み入れられている、こういう仕組みになっておるわけでございます。

 回収につきましては、一部の国につきましては、アフりカそれから一部アジアの国もありますけれども、国際収支状況がおかしくなる、経済が不調に陥るといったような状況で返済に滞りが生じるケースも間々ございます。こういった場合には債権国が、パリ・クラブという一応確立した国際的な枠組みができておりますので、パリ・クラブに集まりましてその国に対する各国の債権の処理をどうするかということを協議いたしまして、国際的な一定の枠組みに従う対応ができるようになっております。通常は繰り延べを行っております。最近は繰り延べにとどまらず、債務そのものを削減していくということで国際的にもいろいろなスキームができておりますが、我が国といたしましては基本的にはそういった国際的なスキームに従って債務の返済に滞りが生じた場合には対応する、こういうことで対応しております。

 二番目の青年協力隊に関係いたしました特に年長者の方々の海外の活動への参加ということでございますが、これにつきましては、青年海外協力隊は年齢的に申しますと一応39歳までということで仕切りがしてあります。したがいまして、40歳以上で海外で活躍をしたいと言われる方がたくさんおられるわけでございまして、こういった方々を派遣するための制度としまして国際協力事業団の中にいわゆるシルバー人材、40歳の人をシルバーとはちょっとまだ早過ぎるかもしれませんけれども、シニアの隊員の派遣制度というものもできておりまして、昨今いろいろな国内の状況を反映いたしまして希望者が大変にふえているという状況でございますので、さらに人数をふやして海外のこういった協力に生かせるものについては積極的に生かすように私どもも大いにこの点の拡充を図ってまいりたいと思っております。

 それから、南南協力につきましては先生御指摘のとおりでございまして、いわゆる先進国から開発途上国へといった垂直的な形の協力が伝統的なパターンではあるわけでございますが、最近はかなりの国がカをつけて、みずから援助を受けつつも細々と今度は援助する側に少しずつ回っていく、既に韓国がそうでございますし、東南アジアの例でいいますと、今ちょっと経済危機で元気がやや落ちておりますけれども、例えばタイのような国も隣のラオスに対して協力をするとか、マレーシア、こういった国も既に協力を始めております。こういうことで、途上国同士の中でもより進んだ国がそうでない国を支援していく、これを南南協力と呼んでおりますけれども、そういう協力を日本がバックアップして協力がさらに進むようにするということ、これは今一つの大きな国際的な流れになっていると申し上げてよろしいかと思いますし、日本はこれを積極的に支援をしてまいっております。

 昨年の10月に東京で行われました第二回アフリカ開発会議におきましてもこの南南協力、これはより大きな視野で、要するにアジアとアフリカ、アジア・アフリカ協力という形で南南協力をひとつ拡大をしていこうという意思のあらわれでございますが、こういったアジア・アフリカ協力という形で対アフリカ協力に一つの新しい道筋をつけようということも試みられておりまして、これを軌道に乗せていくことが我が国にとってのこれからの南南協力を生かす上で一つの試金石といいますか、チャレンジと申しますか、大事なことであろうと思っております。

 

〇馳浩行政監視委員

 実はきょう私が質問通告をした質問は一つもしていなくて、ぶっつけ本番で局長にいろいろと伺いました。私の質問したかった趣旨は、この国会においてもぜひODA基本法をつくって、こういう本当に各党の皆さんがそろっている場でODAの本当の意味というものを理解して、より一層の途上国に対する支援あるいは貧困の撲滅、人道的な援助、そういったものも日本としてどんどん国際貢献としてしていただきたい、もう一つの観点は国益の観点から外交上の重要な手段として活用していただきたいと思っています。

 そういう意味からも、実は一昨年から国際問題調査会のもとに小委員会をつくって、与野党合意の上で基本法が必要なのではないかという骨子案ができて、今現在自民党の方でもプロジェクトチームをつくって議論し、できるだけ早く法案をつくって各党の皆さんにも了解をいただいて国会に提出してやろうというふうに活動しておるわけでありまして、私はそのメンバーにおりましたのでこれまでの経緯をひとつ改めてこの場で局長に意見交換の場としていろいろな意見を伺いました。 

 よく国会議員がODAの問題をやったって票にならないなんと言われるんですけれども、むしろ参議院であるからこそこういう重要な問題点、国際貢献に関与する問題点については積極的に取り組まなければいけないし、この行政監視委員会が参議院にあるということの意味を重く受けとめて、私はODA問題をこれからもどんどんこの委員会で取り上げていっていただきたいと思っております。

 きょう私はもっともっとたくさんの質問を準備してきたのでありますが、また機会を改めて局長にいろいろと伺いたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

  


 

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