授業分析で向山型算数を目指す 第10

一学期を終えて

      TOSS加賀 岩田史朗                  

 

 一学期が終了した。

成績処理のため「知識・理解」「表現・処理」「数学的な考え方」と、通信簿の観点で1人1人の点数を計算した。

 通信簿では、それぞれの観点で平均点90以上がA、89〜70がB、70以下がCとなる。

 本学級では次のようになった。

知識・理解      A 24人  B  5人  C 1人

表現・処理      A 25人  B  3人  C 2人

数学的な考え方    A 19人  B 10人  C 1人

 「知識・理解」「表現・処理」に比べて、「数学的な考え方」がずいぶんと落ちているのが分かる。

「数学的な考え方」は文章題が中心である。文章題の指導が課題の一つであることが分かる。

 次に、学期初めに行った実態調査と比較してみる。

 実態調査は「TOSS向山型算数到達度テスト私家版」を使用した。

(ちなみに実態調査は表現・処理しか行っていない。今考えれば「知識・理解」「数学的な考え方」もやっておくべきだった。)

 実態調査では85以上がA、84〜50がB、50以下がCとなっている。

成績と実態調査の評価の基準が違うので、成績を実態調査の基準に合わせてみる。

次のようになった。 

表現・処理における比較

一学期の成績     A 29人  B  1人  C 1人

実態調査       A 18人  B 10人  C 2人

 比較してみると、思った以上によい結果となった。

最初の二単元は5年生で一度学習しているので、この結果は当然かもしれない。

しかし、このように数値で伸びが見えるのは、やはりうれしいものである。

 Cの子2人のうち、1人はBになった。

 この子のお母さんと学期末の懇談をしたとき、算数のことが話題になった。

「算数がおもしろいって言うんです。」

お母さんの口からこの言葉を聞いたとき、本当にうれしかった。

もう1人のCの子は、本当に勉強のしんどい子である。

障害はないがグレーゾーンに近い子である。

一学期、この子にはとにかく赤鉛筆指導を続けた。

残念ながら点数的な結果はでなかった。

しかし、この子は学期末に行った正進社の「やる気わくわくチェック」に次のように書いた。

1学期の算数のとき、たし算の分数が、はんぶんがんばりました。それに、先生が少しおしえてくれたから、少しづつわかってきたようなかんじがしました。

(原文ママ)

 赤鉛筆指導を知らなかったら、この子に何ができただろうか。

きっと「何でできないんだ」と怒鳴って終わりだっただろう。

 点数こそ伸ばせなかったが、この子の髪の毛一筋、いや半筋の成長を感じることができた。

今の自分にはそれで充分である。

 

長い夏休みがいよいよ始まった。

教材研究をする時間はたっぷりとある。(本当にするかな?いや、するんです。)

全国で行われるセミナーにも参加できる。(もちろん算数セミナーにも参加します。)

そしてゆっくりと休養をとることができる。(これがなによりでしょうか。)

二学期以降、少しでもよい授業ができるよう充実した夏休みにしたいものである。

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