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障害者の福祉制度 −2− 


このページで使用した図表

(図表4 「障害者の明るいくらし」促進事業実施状況)
(図表5 障害児・者の日常生活用具の給付・貸与一覧表)
(図表6 知的障害者の運賃割引制度)
(図表7 身体障害者の各種乗車券の種類・割引率)




2 日常生活の援助



(1)重度の心身障害者や一人暮らしの 障害者のホームヘルパー派遣制度

 <対象者>重度の身体・精神障害のため日 常生活に著しく支障のある心身障害者(児) のいる家庭で、家族が介護することが困難な 場合や一人暮らしの障害者が一時的な疾病な どのため日常生活ができないときにホームヘ ルパー(家庭奉仕員)の派遣を頼めます。

 <サービス内容>障害者(児)の介護や相 談、助言、外出時の移動の介護(重度の知的 障害者)その他の家事をおこないます。
 ホームヘルパーの派遣回数は少なくとも週 二回以上となっていますが、申請によって必 要な場合は回数を増やすことができます。

 <サービス内容の改善を>厚生省社会・援 護局の更生課は九五年三月一日に開かれた全 国社会・援護局主管課長会議資料のなかでホ ームヘルパー事業について各市町村に実施上 のいくつか留意点を指示しています。
 たとえば、派遣対象者について、所得状況 は対象者を決定する絶対条件でないとか、同 居人がいることを理由に派遣をしないことは 適当でないなどをあげ、要綱等でこうした制 限を設けている市町村は早急に制限を撤廃す ることを指示しています。
 また、ヘルパーの派遣決定等に際して、民 生委員等の意見を求めることは要件とされて いません。意見を求めることを義務づけたり、 それが派遣決定の妨げになってはならない、 派遣に関しては一律でなく個別のニーズ(必 要性)に着目して実施すべき、などと指示し ています。
 こうした留意点は私たちの主張が反映され たものですので、運動のなかで積極的に活用 し、制度改善を迫りましょう。

 <費用>前年の所得税額などの状況で次の 一部負担があります。
 1.生活保護世帯(単給を含む)は無料、
2. 生計中心者の前年所得税が非課税世帯は無料、
3.前年所得税が一万円以下の世帯は一時間あ たり二百五十円、
4.前年所得税が一万一円以 上三万円以下の世帯は四百円、
5.前年所得税 が三万一円以上八万円以下の世帯は六百五十 円、
6.前年所得税が八万一円以上十四万円以 下の世帯は八百五十円、
7.前年所得税が十四 万一円以上は九百三十円です。

 <手続き>市区町村の窓口かショートステ イ(短期保護)事業を実施している特別養護 老人ホーム、デイサービスセンター、市区町 村社会福祉協議会に申請をします。
 緊急の場合は申請窓口に連絡をして、まず 派遣を受け、申請書をあとから出すこともで きます。

 <根拠>身体障害者福祉法第二十一条の三、 厚生省通知…心身障害児(者)ホームヘルプ サービス事業について(平成2・12・28児発 第九百九十一号)


(2)重度の視覚障害者や脳性マヒの 人にはガイドヘルパーを派遣

 低所得で一人で外出困難な重度視覚障害者 や脳性マヒの人が、役所や福祉事務所をはじ めとする公的機関および医療機関など社会生 活をおくる上で必要なところへ行くとき、冠 婚葬祭での外出などで付き添う人がいないと きはガイドヘルパー(案内奉仕員)の派遣を 頼めます。
 派遣回数はおおむね一週間に一日程度です。

 <手続き>本人か家族、近所の人が市区町 村に申し出ます。市区町村はあらかじめガイ ドヘルパーを登録しておき、その人に付き添 いを依頼します。脳性マヒの人は派遣介助券 (一回半日を単位として発行、必要と認めら れたときは月十回まで一括して交付できる) をもらい、介助とひきかえに介助券をガイド ヘルパーに渡します。なお、派遣を必要とす る人が特定のガイドヘルパーを推薦すること もできます。

 <費用>(1)の項のホームヘルパーと同 じ一部負担があります。


 県外に旅行するときはガイドヘルパーネットワーク事業の活用を

 この事業の内容は次のとおりです。  重度の視覚障害者や脳性マヒの人が都道府 県間を移動するためにガイドヘルパーが必要 なときに住んでいる市区町村に申し出ます。 申し出を受けた市区町村は移動先の市区町村 に日時や待ち合わせ場所、費用を連絡し、ヘ ルパーを派遣してもらいます。
 厚生省はガイドヘルパーを利用したときの 費用負担を軽減(ガイドヘルパーに対する手 当のおおむね二分の一程度を示している)す るとしていますので、軽減を要求しましょう。  まだ、実施していない自治体もありますの で、全国的に実施させる運動が必要です。


(3)二十四時間対応ヘルパー制度の活用を

 ホームヘルパーは一般的に昼夜の派遣です が、九五年から新たに二十四時間対応ヘルパ ー(巡回型)を実施した市区町村に国から補 助が出るようになりました。実施自治体は六 十四市区町村です。くわしくは「高齢者の福 祉制度」の「(2)日常生活の援助」の項を参 照してください。


(4)「障害者の明るいくらし」促進事 業
−障害者社会参加催進事業−

 身体障害者の社会参加を促進するために九 〇(平成二)年から実施されています。事業 の内容は、1.コミュニケーション支援、2.情 報支援、3.移動支援、4.生活訓練、5.障害者 スポーツの五つの分野で十三の事業がありま す。
 この制度は、都道府県、政令市、市区町村 (制度によって実施主体が違う) が事業を実 施したときに、国がその費用の一部を補助す るものです。各自治体に実施させる運動が大 事になっています。
 また、十三の事業以外でも地域の実情にあ った事業にたいしても国は補助します。

 <事業内容>  ア.視覚障害者むけ事業…奉仕員養成・派遣 (点訳、朗読)、ガイドヘルパーネットワーク 事業、盲導犬養成、点字広報等発行、点字に よる即時情報ネットワーク

 イ.聴覚・言語障害者むけ事業…奉仕員養 成・派遣(手話、要約筆記)、音声機能障害 者発声訓練(音声機能障害者発声訓練指導者 養成含む)、ろうあ者日常教室、字幕入りビ デオカセットライブラリー

 ウ.共通する事業=自動車操作訓練・改造助 成、スポーツ大会、身体障害者スポーツ教室、
人工肛門・人工膀胱造設者社会適応訓練


 いくつかの制度の具体例と実施状況

 1.中途失聴者や難聴者には要約筆記奉仕貞 を派遣…地方公共団体の会議に出席するなど 社会生活上で必要なとき。

 2.聴覚障害者には手話奉仕員を派遣…役所 など公的機関や医療機関など社会生活上で必 要なところに行くとき。

 3.中途失明者や失明した婦人に生活訓練… 福祉センターに通所したり、自宅に指導員に 釆てもらったりして生活訓練を受ける。

 4.人工肛門や膀胱の造設者は社会適応訓練 …ストマ装具の使用方法や社会生活について の講習や各種相談。

 5.身体障害者が自動車運転免許を取得する 費用や自動車改造費の補助=・いずれも十万円 を限度として費用を補助。実施内容は自治体 によって異なるが、国の制度では免許取得費 には所得制限なし。改造費については特別障 害者手当の所得制限 (図表14) までの人とい う所得制限があります。
 なお、この制度のほかにも運転免許を取得 する費用については、生活福祉資金の身体障 害者更生資金の技能習得費、自動車購入資金 には生業費の身体障害者福祉資金(「活用で きる貸付制度」の項を参照)が活用できます。  いくつかの制度を紹介しましたが、都道府 県別のおもな事業実施状況は(図表4 「障害者の明るいくらし」促進事業実施状況)のように なっています。実施内容を市区町村に問い合 わせ、活用できる制度はすべて活用するよう にしましょう。


 補助のしくみが変わったことを理由に  制度を廃止・縮小させないように

 「障害者の明るいくらし」促進事業のうち 四つの事業については、国の補助金ではなく 一般財源化されました。このことから、自治 体が 「補助金がなくなったから」 と制度を廃 止・縮小しょうとすることも予想されます。 しかし、財源は団からの地方交付税交付金で 補填されています。このことを明らかにして 制度改悪をさせないようにしましょう。一般 財源化された事業は次のとおりです。

 1.生活訓練等事業…盲婦人家庭生活訓練、 中途失明者緊急生活訓練

 2.生活環境改善事業=・脳性マヒ者等ガイド ヘルパー派遣、社会通信教育受講促進、障害 婦人健康指導教室、住宅改造指導援助

 3.相談事業…結婚相談、相談月活動推進、 福祉機器相談

 4.啓発普及推進事業=・市町村指導啓発

 <根拠> 「障害者の明るいくらし」促進事 業(障害者社会参加促進事業)の実施につい て (平成2・9・29社更第百八十八号)


(5)九五年に新設された市町村障害者 社会参加促進事業の活用を

 障害者の明るいくらし促進事業を障害者の 身近な市区町村でいっそう促進するために、 九五年から「市町村障害者社会参加促進事 業」の予算がつくようになりました。
 事業の内容は、どこの市区町村でも実施す べき基本メニューと地域の実情にあった事業 に一定額を国が補助するものです。
 基本メニューには点字広報等発行事業、手 話通訳設置事業、各種 (点訳、朗読、手話通 訳等)の養成・派遣事業、自動車運転免許取 得費・改造賛助成事業、日常生活・社会生活 訓練事業、各種研修会・講習会の実施、スポ ーツ教室の開催、重度身体障害者移動支援事 業、福祉機器リサイクル事業、各種生活相談 事業の実施が入っています。この点を市区町 村に示し事業を実施させましょう。
 今年の予算では基本メニューについて二百 四十市区町村分を組んでいます。
 また、モデル事業として、市町村障害者計 画策定事業 (五十九か所) の実施を予定して います。

 <根拠>市町村障害者社会参加促進事業の 実施について(平成8・2・13社援更第二十 号)


(6)在宅重度障害者が適所して生活 訓練をするデイサービス

 在宅で就労の機会を得がたい重度障害者は、 身体障害者福祉センター(B型)やデイサー ビス施設などに通所して、生活訓練などを受 けることができます。
 身体障害者デイサービスは、基本的事業 (機能訓練や介護方法の指導、社会適応訓練、 更生相談、スポーツ、レクリエーション)、 創作的活動、入浴サービス、給食サービス、 介護サービス、送迎サービスの六つに区分さ れ、基本的事業と創作的活動はどこの市区町 村でも実施する必須事業、それ以外の事業は 任意に実施する事業としています。
 リフトバス運行経費及び更新費への補助も あります。
 また、小規模デイサービス事業については、 今年度より定員を五人以上とすることにして います。
 国からの補助は、九〇年までは都道府県を とおしておこなっていたのが市区町村に直接 補助するように変わっています。
 また、補助内容については必須事業を基本 にして、給食サービスや入浴サービスなどの 任意サービスは実施した場合に、その分の補 助を加算するようになりました。したがって、 任意サービスをすべての市区町村で実施させ る運動が大切です。

 <訓練内容>日常生活と社会適応訓練、創 作軽作業、家族などにたいする介護技術指導、 更生相談、その他です。

 <手続きと費用>本人か家族が市区町村に 申し込みます。費用は自治体によって違いま す。

 <根拠>身体障害者福祉法第二十一条の二 の三、厚生省通知=・「在宅障害者デイサービ ス事業」の実施について (昭和55・9社更第 百七十八号)


(7) 在宅の重度身体障害者を短期間   施設で介護するショートステイ

 この制度はショートステイ(短期保護) と いわれ、在宅の重度身体障害者を介護してい る人が病気などで一時的に介護できなくなっ たとき利用できます。
 重度身体障害者を身体障害者更生援護施設 に入所させ介護します。保護の期間は一週間 程度となっています。
 ただし、介護人が介護できない状態が続き、 期間の延長がやむをえないと認められた場合 は延長できます。

 <対象者>十八歳以上の身体障害者手帳を 持っている重度身体障害者を介護している家 族や介護している人が社会的な理由や私的な 理由で介護できなくなったときです。
 「社会的な理由」とは、家族や介護人が病 気や出産、冠婚葬祭、事故、出張、転勤、他 の人の看護、学校など公的行事へ参加すると きです。「私的な理由」とは、介護疲れを含 めて個人的な理由です。


 九六年から対象者と期間を改善

 対象者についてそれまでは、「居宅におい て介護を受けていること」が条件となってい ましたが、これをなくしました。したがって 一人暮らしの重度障害者も利用できます。ま た、保護の期間を延長する場合、最長一か月 だったのを三か月程度としています。

 <手続きと費用>手続きは家族や近所の人 が市区町村の窓口に申請します。

 1.生活保護世帯で社会的理由の場合…無料

 2.生活保護世帯で私的理由、生活保護世帯 以外の世帯で社会的理由、私的理由の場合… 一千五百十円(この金額は国が示している基 準です。地域や施設で異なる場合もありま す)  <根拠>厚生省通知…在宅重度身体障害者 ショートステイ事業の実施について (昭和 62・7・8社更百六十六号)


(8)在宅知的障害者とその介護者の ためのデイサービスセンター

 この制度は、在宅知的障害者がデイサービ ス(昼間の介護・訓練)センターに通所して 機能訓練などをおこなったり、介護者が介護 方法の指導を受けるものです。

 <事業内容> どこの市区町村でも実施する 必須事業としての基本事業(文化的活動や日 常生活などの機能訓練、社会適応訓練、介 護・生活援助方法の家族などにたいする指 導)と任意におこなう事業(入浴サービス、 給食サービス)があります。
 九五年から「小規模在宅知的障害者デイサ ービスセンター」が新設されています。これ はデイサービスの利用者が少ない市区町村で も事業が実施できるように、八名程度の利用 が可能なデイサービスセンターをつくる市区 町村に国が補助をするものです。
 厚生省予算では、実施箇所数がきわめて少 なくなっていますので、自治体に実施を迫る と同時に予算を増やさせることが大事です。

 <手続きと費用>市区町村に申し込みます。 費用は自治体によって異なります。

 <根拠>厚生省通知…在宅知的障害者デイ サービス事業の実施について (平成3・9・ 30児発八百三十二号)


(9) 知的障害者にたいする相談・援助  知的障害者生活支援事業があります。

 この制度は、知的障害者通勤寮などに知的 障害者生活支援センターを設置し、原則とし て働いている単身の知的障害者の相談などに こたえるものです。

 <事業内容>相談事業(生活や職業生活、 職場に関する相談)と日常生活の点検(金銭 問題)、その他の援助活動 (近所との人間関 係、実家との関係調整、日常援助活動、緊急 時の対応)です。


(10)施設や公営住宅での介助をする 身体障害者自立支援事業

 この事業は公営住宅や身体障害者福祉ホー ムなどに居住する五人以上の重度身体障害者 を対象として、専任のケアグループ(介助集 団)で介助サービスをおこなうものです。

 <介助内容>身体的介助(食事や入浴、車 いすの乗降、衣類着脱、洗面、洗髪、買い物 などの介助)、家事介助(炊事、洗濯、掃除、 買い物などの介助)、夜間介助(夜間におけ る臨時的対応)です。費用は介助の程度と所 得に応じた利用料があります。
 始まって間もない制度であり、手続きもそ れぞれ違いますので役所に実施状況を問い合 わせ、実効あるやり方を要求していくことが 大事です。


(11)日常生活用具の給付には どんな種類があるか

 障害者・児には(図表5 障害児・者の日常生活用具の給付・貸与一覧表)の日常生活用具が給 付・貸与されます。
 なお、生活保護世帯が浴そうや湯沸器、便 器などの給付によって、現在の浴場やトイレ を改修する必要がある場合は生活保護の住宅 維持費から補修費が支給されます。
 今年は盲人用信号感知器が新たな種目とし て入りました。

 <対象者と手続き>対象者は身体障害者手 帳を持っている一、二級の人と重度・最重度 の知的障害の人です。
 手続きは福祉事務所に申請し、給付券の交 付を受けます。給付券を委託業者に提出する と用具の給付または改善工事がおこなわれま す。

 <費用>貸与されるものは無料、給付され るものについては給付対象者や扶養義務者の 所得に応じて一部負担金 (額は「子どもと婦 人の福祉制度」図表(4)の(1)の「補装具」の一 部負担金の表と同じです)を業者に直接支払 います。


 福祉電話を借りるには

 所得税のかかってこない世帯で外出困難な 重度の障害者がいる場合は、福祉電話が借り られます。福祉電話を貸与されると電話によ る各種の相談や助言も受けられます。
 費用は設置費は無料ですが、基本料金、通 話料は自己負担となっています(市区町村に よっては支給しているところもあります)。
 手続きは本人か家族などが福祉事務所へ申 し込みます。

 <根拠>厚生省通知=・重度身体障害者に対 する日常生活用具の給付及び貸与について (昭和47・7・18社更百二十号)


(12) 修理費も出る補装具の給付

 <対象者と手続き>身体障害者手帳の交付 を受けている身体障害者(児)が対象です。 手続きは医師の診断書を添えて市区町村の窓 口に申請します。
 電動車いすなど一定の種目と市区町村が指 定した種目は、障害者福祉センターか更生相 談所(児童の場合は育成医療機関または療養 指定保健所の担当医の意見書でもよい)の判 定が必要です。それ以外の種目については一 般病院の診断書のみでよい場合もあります。
 福祉事務所で補装具交付・修理券の交付を 受け、補装具製作施設または製作業者で製 造・修理を受けられます。

 <補装具の種目>

 1.肢体不自由者用:・義手・義足、装具、車 いす、歩行車、収尿器、歩行補助杖、動力つ き車いす、頭部保護帽、骨格構造義肢、人工 肛門・膀胱用装具、リクライニング式車いす、 多点杖、座位保持装置、電動リフト付電動車 いす

 2.視覚障害者用…盲人安全杖、義眼、眼鏡、 点字器(携帯用含む)、遮光眼鏡

 3.聴覚障害者用…補聴器、難聴者用耳掛型 補聴器、骨導式補聴器

 4.音声・言語障害者用…人工咽頭、電動式 人工咽頭

 車いすについては、九五年から車いすの交 付基準にモジュラー方式が、九六年からレバ ー駆動型車いすが取り入れられました。モジ ュラー方式は製作技術の改良によって、利用 者の身体に合った車いすを提供するものです。 レバー駆動型とはレバー一本の移動で車いす を前後左右に操作することができるものです。 また、今年から簡易型電動車いすが入りまし た。
 なお、身体障害の状況などによって、生活 上どうしても必要である補装具については、 国が決めている種目や単価にないものであっ ても、申請をすれば「基準外交付」として厚 生大臣が認めたときは給付されます。補装具 の交付数は原則として一種目につき一個です が、特別に必要な場合は二個給付することも あります。

 <白内障の特殊眼鏡の活用も>二年半余の 運動が実って、九二年四月から白内障の眼内 レンズと手術費用に保険が通用されるように なりました。しかし、眼内レンズの挿入がで きない人が手術後に必要なコンタクトレンズ や特殊眼鏡については保険が通用されていま せん。こうした場合には補装具で申請し、必 要と認められれば支給されます。
 補装具の通用を広げながら、コンタクトレ ンズや特殊眼鏡にたいする保険通用、自治体 の独自助成を求める運動を強めましょう。

 <費用の一部負担>本人または扶養義務者 の所得に応じて一部負担があります。負担額 は十八歳以上は更生医療、十八歳末満は育成 医療の半額です(「子ども婦人の福祉制度」 図表4.)。

 <根拠>障害者は身体障害者福祉法第二十 条、障害児は児童福祉法第二十一条の六〜八


(13)JRなどの運賃は五割引

 <対象者>身体障害者手帳の交付を受けて いる人で、視覚障害者、聴覚または平衡機能 障害者、音声機能、言語機能またはそしゃく 機能障害者、肢体不自由者、内部障害者(十 八歳末満の児童を含む)。
 障害の等級に応じて第一種身体障害者と第 二種身体障害者に分かれています。第一種身 体障害者は、介護者といっしょに乗車船する 場合は介護者の運賃も割引になります。なお、 十二歳末満の人が定期券を購入するときは、 第一種、第二種にかかわらず介護者も割引に なります。
 第一種身体障害者は次の障害等級の人です。 視覚障害は一級から三級までの各級および四 級の一、聴覚障害(聴覚障害は一級がありま せん)は二級および三級、上肢不自由は一級、 二級の一および二級の二、下肢不自由は一級、 二級および三級の一、体幹不自由は一級から 三級までの各級、内部障害は膀胱または直腸 機能障害による四級の人以外はすべて第一種 身体障害者、乳幼児期以前の非進行性の脳病 変による運動機能障害は上肢機能障害は一級 および二級(一上肢のみに運動機能障害があ る場合を除く)、移動機能障害は一級から三 級までの各級(一下肢のみに運動機能障害が ある場合を除く)です。
 また、以上の障害が二つ以上あって、あわ せた障害の程度が前項に準じる人も対象にな ります。
 障害の程度が第一種身体障害者以外の人は 第二種身体障害者です。

 <知的障害者(児)も対象に>運動のなか で知的障害者(児) にも九一年十二月から割 引制度ができています。割引の内容は(図表20) のとおりです。表中の 「一種」とは療育手帳 「A」、「二種」は療育手帳「B」の人で、割 引内容に違いがありますので気をつけてくだ さい。

 <手続き>JRなどの窓口に障害者手帳、


療育手帳を呈示し、口頭かメモで申し出て乗 車券を購入します。

 <割引率>JRの鉄道、航路、自動車線な らびに連絡社線が、(図表6 知的障害者の運賃割引制度)(図表7 身体障害者の各種乗車券の種類・割引率)の割引と なります。

 <根拠>厚生省通知…身体障害者に対する 旅客鉄道株式会社等の旅客運賃の割引につい て (昭和57・1・6社更第四号)


(14) 二割五分引になる航空運賃

 <対象者と手続き>対象者は、JR運賃割 引制度でいう第一種身体障害者、それ以外の 人で障害者手帳を持つ次の等級以上の人です。 視覚障害、聴覚障害、肢体不自由(下肢) 脳 病変による運動機能障害…四級以上、平衡機 能障害、音声機能、言語機能またはそしゃく 機能の障害三級以上 (いずれも満十二歳以 上)。  第一種身体障害者は介護人一人分も割引さ れます。  手続きは、航空券販売窓口に運賃割引通用 者であることを証明した障害者手帳を提出し て航空券を購入します。  なお、第一種身体障害者以外の人は事前に 割引対象者であることの証明印を福祉事務所 で障害者手帳に受ける必要があります。

 <知的障害者(児)も対象に>九一年十二 月からJRなどと同じように航空運賃も割引 の対象になっています(図表6 知的障害者の運賃割引制度)

 <割引適用区間>日本航空、全日本空輸、 日本エアシステム、南西航空、日本近距離航 空の国内定期航空路線の全区間。

 <根拠>厚生省通知…身体障害者航空旅客 運賃の割引について (昭和55・6・6社更九 十八号)


(15) 料金が割引となる福祉タクシー

 障害者のタクシー利用にたいして料金を補 助する福祉タクシー制度が全国的に広がって います。ここでは東京・板橋区の制度を紹介 しますが、自分のところでどうなっているか は各自治体に問い合わせてください。

 <対象者>歩行困難な下肢、体幹障害は一 〜三級、上肢は一、二級、視覚障害一級、精 神障害一、二度、脳性マヒ、進行性筋萎縮症、 内部障害一級、難病者、戦傷病特別項症第一 〜三項症、の人です。

 <手続きと利用方法>手続きはその障害を 証明する手帳などと印鑑を持って区の福祉課 に申し込みます。福祉課から福祉タクシー利 用券(利用券は四百円券と百円券の二種類が あり四百円券はすべての対象者に月十二枚、 百円券は下肢体幹一級の人が月十五枚、身体 障害者手帳、愛の手帳の交付を受けていない 人月十五枚、それ以外の人は月九枚発行)を 受けとり、タクシーの乗車時に利用します。 利用できるタクシーは区と契約しているタク シーに限られています。
 以上は自治体の負担による割引制度ですが、 タクシー運賃の改定にともなって、タクシー 会社の負担による身体障害者割引制度が、東 京、神東川など一部の地域で実施されました。 この制度は、全国に広がろうとしています。 しかし、知的障害者が除外されたり、手続き がめんどうなこともあり改善を要求していく ことが必要です。


(16) 有料道路の料金は五割引

 障害者自身が運転する自動車(本人または 生計を同じくする人が所有している自家用車 です。営業用は除かれます) で有料道路を利 用するときは料金が半額になります。
 九四年十月より障害者の移動のために、介 護者が運転する自動車で、本人または生計を 一にする人が所有する場合も割引の対象とな りました。
 また、継続して日常的に介護している人が 所有する自動車も割引されます。

 <対象者>下肢または体幹に障害のある人 で、運転免許と身体障害者手帳を持っている 人。重度の知的障害者(手帳「A」の人)。

 <手続き>市区町村の窓口で障害者手帳、 療育手帳に対象者であることの押印をもらい、 割引証交付申請書を添えて申請し、割引証の 交付を受けます。手続きには運転免許証番号、 自動車登録番号が必要です。
 割引証の交付枚数は申請者一人につき一月 六十枚、年間七百二十枚までです。
 ただし、通勤等のため制度を利用する場合 は一回の申請につき百八十枚交付されます。  なお、代理人による交付申請もできます。

 <利用方法>有料道路の料金所で押印され た手帳を提示し、割引証といっしょに料金を 払います。

 <根拠>厚生省通知…身体障害者に対する 有料道路通行料金の優遇措置について (昭和 54・1・23社更第七号)


 ガソリン代を補助をしている自治体も

 たとえば、東京・新宿区では所得による制 限なしで、自動車税の減免がされている下 肢・体幹障害一〜三級、視覚障害一、二級、 内部障害一〜三級、精神障害一、二度の障害 者に月三千九十円の補助が出ます。三か月ご とに領収書を添えて申請することになってい ます。それぞれの自治体に実施状況を問い合 わせ、全図的に広げましょう。


(17)NHKテレビ受信料の 減免を利用するには

 生活保護世帯や身体障害者、重度知的障害 者のいる世帯や社会福祉施設はテレビの受信 料が減免されます。減免には全額免除と半額 免除があります。
 (全額免除の対象者)1.生活保護世帯、2. 身体障害者手帳を持っている人の世帯でその 世帯の生活保護基準(月額) に次の額を加算 した金額までの収入の世帯…加算額は障害等 級一級三千三百円、二級三千二百円、三級千 九百円、四級千五百円、五級千二百円、六級 千円、3.重度の知的障害者がいる世帯で家族 すべてが住民税のかかってこない世帯、4.社 会福祉施設です。

 <半額免除の対象者> 1.世帯主が身体障害 者手帳を持っている視覚および聴覚障害者、
2.世帯主が身体障害者手帳を持っている一 〜二級の肢体障害者、
3.世帯主が特別項痘の 第一項症の戦傷病者手帳を持っている場合で す。

 <手続き>福祉事務所の証明書(戦傷病者 は市区町村役所の担当課で発行)をNHKの 営業所や集金人に示します。なお、重度の精 神薄弱者のいる世帯は住民税の非課税証明書 が必要です。

 <根拠>日本放送協会受信料免除基準(昭 和43・4・4告示)


(18)点字郵便物の郵便料の減免  次の郵便物で開封のものは郵便料が無料に なります。

 1.盲人用点字のみでの郵便物。
 2.盲人用の録音物または点字用紙を内容と する郵便物。ただし、郵政大臣の指定を受け た点字用図書館や点字出版施設などから差し 出したり、これらの施設に差し出されるもの に限ります。
 それぞれの郵便物には「盲人用」と記載す るなどきめられた表示をします。

 <手続き>事前に郵政大臣の指定を受ける ことが必要です。指定の申請に必要な様式な どは郵便局に問い合わせてください。

 <根拠>郵便法第二十六条 (昭和23・1)


(19) 郵便による不在者投票

 在宅の身体障害者や戦傷病者は郵便による 投票ができます。

 <対象者>1.身体障害者手帳を持っていて、 両下肢、体幹、移動機能の障害の程度が一、 二級の人や心臓、腎臓、呼吸器、膀胱、直腸、 小腸の障害が一〜三級の人、2.戦傷病手帳を 持っていて障害の程度が1.と同じ程度の人で す。
 以上は目安ですので、くわしくは選挙管理 委月合に問い合わせてください。

 <投票の仕方>まず、選挙人名簿を登録し ている選挙管理委員会(選管)に郵便投票証 明書を請求します。そして、郵便投票証明書 に福祉事務所で障害程度の証明をもらいます。
 次に、同じ選管にこの証明書を郵送または 代理人が持参して投票用紙と投票用封筒を請 求します。公示後に選管から本人あての投票 用紙と投票用封筒が送付されてきます。
 投票用紙に自筆で候補者名を書いて投票用 封筒に入れ、封をして封筒の表面に投票年月 日、住所、本人氏名を書きます。これを別な 封筒に入れ「投票用紙在中」と記入し、選管 あてに郵送します。

 <根拠>公職選挙法第四十九条第二項、厚 生省通知…郵便による不在者投票について (昭和50・1)


 障害者が利用できる他の選挙制度

 1.代理投票…自分で字の書けない人は投票 所で投票管理人に申し出ると介添人が本人の 指示どおり書き、投票します。

 2.点字投票=・文字を書くことのできない視 覚障害者は点字投票ができます。投票所で、 点字投票することを申し出て、そなえつけの 点字器で投票します。投票用紙を受けとると きに、用紙に点字投票用紙の印があるかどう かを確かめておくことが必要です。

 3.病院・施設での投票=・おおむね二十五人 以上の規模の病院、社会福祉施設、入所施設 で生活している障害者も施設長を投票管理者 に病院や施設内で投票することができます。
 また、運動のなかで、政見放送での手話通 訳者の配置が実現し、聴覚障害者の選挙への 参加にとって貴重な成果も生まれています。



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