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失業とパート -1-




   


1 雇用保険のあらまし



 失業したときは雇用保険による生活費 (基 本手当) や求職活動費などが支給されます。


(1)働いている人の大半が加入、雇用 されたらすぐに加入の確認を


 労働者を雇っている企業は、業種や規模に かかわりなく雇用保険に加入しています (農 林水産業で労働者が五人未満の個人企業は任 意加入です)。
 被保険者は一般被保険者と高年齢継続被保 険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保 険者となります。
 高年齢継続被保険者は同一の事業主の通用 事業に」六十五歳になった目の前目から引き続 いて」六十五歳に達した日以後も雇用されてい る人です。 短期雇用特例被保険者は季節的に 雇用される人、または同一の事業主に引き続 き雇用される期間が一年未満の短期雇用の人 です。日雇労働被保険者は、日々雇用される 人または三十日以内の期間を定めて雇用され る被保険者です。以上以外の人が一般被保険 者となります。
 しかし、次の場合は雇用保険の通用除外と なります。


 1.日雇労働被保険者とならない日雇労働者
 2.四か月以内の期限を切っておこなう季節 的事業に雇用される場合
 3.疾病任意継続被保険者を除く船員保険の 被保険者
 4.国や都道府県、市町村その他これらに準 ずるもののおこなう事業に雇用され、離職し た場合に他の法令や条例、規則等にもとづい て支給される給付が雇用保険の失業給付をこ えている人
 5.六十五歳以後に新たに雇用された人 (た だし、短期雇用特例被保険者と日雇労働被保 険者に該当する人は通用除外となりません。 なお、満六十四歳以上の加入者は保険料が免 除されますので注意してください)


 加入の確認は事業主がおこないます。もし 事業主が加入手続きをしていなくても
(4)「事業主が・・・」 の項のように労働者本人が 失業給付の請求ができます。
 ただし、この場合、請求をすると職業安定 所が被保険者であったことを確認します。も し、確認された日の二年以上前から通用事業 所に雇用されていても、二年以上前の期間は 基本手当の受給要件である被保険者期間とし て計算されません。したがって、就職したら、 事業主が手続きをしているかを確認したり、 働いている人が一人でも、加入手続きをする よう事業主に要求することが大切です。



(2)パートで週の労働時間か 三十時間未満の人も加入できます


 パート労働者は、労働条件が就業規則で決 まっており、
1.一週問の労働時間が常勤労働 者の約四分の三以上で週二十時間以上 (一週 間の労働時間が三十時間未満は短時間労働被 保険者、三十時間以上は一般被保険者となり ます)
2.労働目や時間、賃金以外の労働条 件が常勤労働者とおおむね同じ
3.その事業 所に続けて働いている、といった条件を満た していれば雇用保険が通用されます。なお、 生命保険の外務員は、原則として加入からは ずれていますが、雇用関係が明確であること を会社が申し出て、公共職業安定所長が確認 したときは加入できます。


 八九年から、一週間の労働時間が常勤労働 者の四分の三以下のパート労働者であっても、 「週の労働時間が二十時間以上三十時間未満」 「年収が九十万円以上見込まれる」などの条 件を満たしていれば、「短時間労働被保険者」 として加入できるようになっています。給付 内容などは一般被保険者と違います。くわし くは「5 パート労働者も雇用保険を適用」 の項を参照してください。


(3) 失業給付の種類 失業したときの給付は被保険者の種類によ って、図表 1.のようになっています。



 


(4)事業主が加入手続きをしていない ときや争議中の失業給付の申請



 1.事業主が加入手続きをしていないとき


 失業した人が直接、公共職業安定所へ雇用 関係のあったことを証明できる資料を添えて 給付申請をします。手続きは一般の場合と同 じです。
 この場合、事業主が保険料を払っていなく ても給付は受けられます。公共職業安定所が 事業所に加入手続きをし、保険料支払いの督 促をしますので、失業した本人は事業所から の請求にもとづいて保険料を払います。
 事業主が加入手続きをしていないときは最 大二年間はさかのぼって加入できます。六カ 月加入すれば失業給付が受けられますので、 さかのぼって手続きをし、保険料を払えば給 付が受けられます。


 


 2.争議中のとき  


 首切りや解雇などの理由で争議中の場合は 次のような手続きで給付を受けることができ ます。
 事業主や 労働者本人が 離職証明書、資格 喪失届を公共職業安定所へ出して請求します。
 離職証明書の内容には争議中である事実と内 容をはっきり示すことが必要です。
 公共職業安定所では、争議が解決され賃金 が支給されるようになったときは、その賃金 からすでに給付された金額を返還する旨の確 認書を労働者からとったうえで給付をおこな います。  


 


(5) 失業したらすぐ求職申し込みを  


 失業給付の受給条件には、失業した人に就 業の意思があることが前提になります。
 給付を受けるには、退職した会社からの離 職票を添えて公共職業安定所に求職申し込み をして請求します。会社側が離職票の発行を 遅らせたりすることが少なくありません。し かし、離職票の提出時期にかかわらず、求職 申し込みをした日が失業給付請求手続きの出 発になりますから、失業したらすぐ求職申し 込みをすることが大切です。  


 


(6) 大切な離職理由  


 失業給付の支給開始期間は「自己都合」で 離職したか、「事業主の都合」で離職したか によって大きく異なります。
 解雇や倒産、定年など「事業主の都合」で 離職したときは、最初の求職申し込みをした 日から七日間は「待機」として支給されず、 七日を過ぎた人に四週間ごとに二十八日分が 支給されるようになります。
 「自己都合」 で離職したときは「待機」に 加えて三か月以内の給付制限期間があり、そ の後支給されるようになります。
 しかし、事業主は労働者の離職が首切りな どの場合、「事業主の都合」だと認めたがり ません。
 離職理由については、事業主の意見だけで なく労働者の意見も含めて公共職業安定所が 判断することになっています。
 たとえば、
1.職場の慣行として結婚や出産 による退職や一定の年齢になれば退職しなけ ればならないとか、
2.保育の関係で通勤が困 難、
3.両親の死亡や病気で帰郷して両親を扶 養する、
4.家族の看護のため退職を余儀なく された、
5.配偶者が通勤不可能な場所に転勤 などをして同居することが困難になった、
6. 事業主の移転や配置転換で通勤時間が二時間 以上になるなどの理由で退職したとき  


など、一定の条件に合っていれば離職票に「自己都 合」と書かれていても、「事業主の都合」あ つかいにさせることができます。
 会社の都合で離職をしたときは、離職票に どう書かれているかにかかわらず、公共職業 安定所で勤務が困難になった理由をはっきり と主張することが大切です。  


 


(7) 正当な理由があれば職業紹介や 指導を拒否しても給付制限なし  


 正当な理由がなく、公共職業安定所からの 職業紹介や指導に従わないときは、手当が一 か月の範囲で給付されないとか、給付延長が されないことがあります。ただし、これは受 給期間の制限で、給付日数が制限されるもの ではありませんし、拒否理由が正当と認めら れれば期間制限されません。拒否するときは、 その理由をはっきりさせ、正当な理由として 認めさせることが大事です。
 理由が正当かどうかを判断する労働省の基 準は次のとおりです。  


 1.指示された「措置」または紹介された職業が その者の能力からみて不適当なとき 


 a.一定の身体的能力を要する業務にその者 の身体的能力からみて不適当な者が紹介され た場合
 b.一定の知的・精神的能力を要する業務に その者の知的・精神的能力からみて不適当な 者が紹介された場合
 c.その者の知識および技能からみて不適当 な業務に紹介された場合  


 2.指示された「措置」を受けるため、または紹 介された職業につくために移転が必要であり、 その移転が困難なとき 


 a.訓練施設または就職先に寄宿舎、社宅な どがなく、またその地域で住居を得ることが 困難な場合
 b.扶養する家族と別居が困難な場合
 c.規住所で特別な収入があり、移転によっ て収入がなくなり生活維持が困難になるとき  


 3.就暇先の賃金かその地域の同種の業務技能の 一般賃金水準に比べて不当に低いとき 


 a.就職先の賃金がその地域の同種業務、同 程度の経験年数、同年輩の者の標準賃金と比 べておおむね同じ程度以下の場合
 b.就職先の賃金の手取総額が本人の基本手 当額または就職指導手当よりも低い場合 (た だし、本人の意思で賃金水準が前住所の賃金 水準より低いところに移住した場合は通用し ない)  


 4.労働争議中の事業所に紹介されたとき 


 a.ストライキまたはロックアウトがおこな われている事業所に紹介された場合
 b.労働委員会から安定所に対して、ストラ イキにいたるおそれが多い争議が発生してお り、求職者を無制限に紹介すると争議の解決 が妨げられるとの通報のあった事業所に紹介 された場合  


 5.その他、正当な理由のあるとき 


 a.労働条件が法令に違反していることが明 らかな事業所に紹介され、または職業適応訓 練を指示された場合、各社合保険の強制適用 事業所なのに通用していない場合
 b.労働時間その他の労働条件が、地域の同 種の業務の一般水準に比べて不当に悪い場合  c.二か月以上賃金不払いの事業所に紹介さ れた場合
 d.公共の福祉に反する業務の事業所に紹介 され、または職業訓練を指示された場合
 e.本人の意思に反して、特定の労働組合へ の加入、不加入を採用条件としている事業所 に紹介された場合
 f.離職前から引き続いて夜間通学している 労働者が、学校所在地から著しく遠隔の地に ある事業所で、通学が不可能となるような事 業所に紹介された場合、またはその労働時間 が異常であって夜間通学が不可能な事業所に 紹介された場合
 g.就職後、まもなく勤務先の変更があるこ とが明らかな場合であって、これにともない 必要とされる住所、または居所の変更が困難 であると認められる場合  


 


(8) 失業給付の受給権の時効は二年  


 失業給付は二年を過ぎると受給権がなくな りますので権利が発生したらかならず請求し ましょう。  


 



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