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(98年 2月 18日 「新婦人しんぶん」)



福岡 シンポジウムもうすぐ進入学

みんなで就学援助を申請しませんか


シンポジウムどのこにも心配せず義務教育を受けさせたい

 

新婦人福岡の経験から  

   長引く不況とリストラの嵐のなか、どこの家も家計 は火の車。進入学の時期を迎えて、教育費の重圧に頭を かかえる季節です。ところで就学援助という制度を知っ ていますか。小学生・中学生のいる世帯はだれでも申請 でき、認定されると学校でかかった教育費が国や市町村 から援助される制度です。不況のいまだからこそ、この 制度をみんなで活用し、さらに義務教育の完全無償化を と運動する、福岡市内の新婦人を訪ねました。  

 

失業、給食費が払えない  

 「建設業の営業しとって も仕事がとれんもんで収入 は全然。きびしいです」と 山下千代子さん(仮名)。 
夫はタクシTの運転手に転 職したものの収入は歩合制 で、食べるのがやっと。中 学三年生の娘の給食費を払 えず、滞納していました。 
 「きょう、休暇をとった けん、市役 所にいっし ょに就学援 助の申請に 行ってもら えんやろ か」 
 昨年十二 月半ばのあ る日、早朝、 意を決して 新婦人西支 部事務局長 で、県本部 の就学援助 担当(就援 共闘会議部 会長)の深 尾俊子さん の家に電話 をしまし た。山下さ んは、じつ は十年来就 学援助を受 けていまし た。去年も 三月に申請 しました が、市が決めている認定の 基準額より年収が少しオー バーし、申立書を添付した のですが説明不足のため却 下されました。その後、認 定交渉に出向き説明すれば 認められたかもしれません が、その時間がとれません でした。 
 「朝七時半から夜六時ま で働いて休みとれんもんや けん…。でも給食費はたま るし高校のこともあるし。 仮病をつかって、仕事を休 んだんよ」 
 深尾さんといっしょに市 の教育委員会に出向き実情 を話すと、申請は受理され、 十二月から四カ月間の給食 費と卒業記念品代が支給さ れることになりました。そ して何より助かるのが、高 校の授業料免除。福岡県の 場合、奥田革新県政のとき の運動の成果で、就学援助 の受給者は、申請すれば公 立、私立問わず公立授業料 分が免除されるのです。 
 「娘からもいわれている んです。わたしも(公立) がんばるから、お父さんた ちもがんばってよって」  

 

二十五年前四人の申請から  

 福岡市の就学援助の運動 のはじまりは、二十五年前 にさかのばります。 
 「東区の城浜班の会員が 四人、生活と健康を守る会 の人からすすめられ、半信 半疑で申請したのが出発な んです」と丹越八重さん (70)。団地のなかに立て 看板をはりめぐらせて説明 会を開くと、集会所にお母 さんたちがあふれました。 
 「そのころからです。新 婦人や生健会、労組や民商 など民主団体で就授共闘会 議が発足したのは。憲法二 十六条の精神で、どの子も 義務教育を心配なく受けら れるようにと、さまざまな 改善要求を教育委員会に直 接交渉していったんです」 
 当時は就援を受けている 子どもは、学校に給食費を 持っていかなかったことか ら「給食をただで食べよる」 といじめられ、給付費を銀 行振り込みにと要望。以来 申請者は急増しました。 
 「また、学校を窓口にし た申請だけだったのを直接 教育委員会と話し合って申 請する窓口を開き、毎年の 共闘会議の交渉で就学援助 の基準アップとともに、国 の就援給付以外の水着(一 年おき)や卒業記念品、修学 旅行費の一部前払いなどが 実現。個々に購入させられ ていた『数のおけいこ』や そろばん、大工道具もクラ スに備えるなど、新婦人な どのお母さんの具体的で切 実な声で実現しました」  

 

運動で制度はつづく  

 長年の運動の結果、福岡 市では認定のさい、前年度 の市民税額が市の設定する 基準額(九七年度市民税所 得割二万四千八百円、総収 入約四百三十二万六千四百 円)を超えても、申立書や 認定交渉で個々の実情が加 味されるシステムが確立し ています。三〜五月までの 第一〜三次申請と七〜八月 の認定交渉、さらに随時窓 口を開きいつでも希望者が 申請を受けられるようにな っており、新婦人は支部、 班で必ず付き添って援助し ています。 
 新婦人の各支部には就援 担当が配置されています。 
 毎年この時期になると、 共闘会議の交渉結果をもと に、二〜五月に就援の学習 会を開催。班はチラシをま いて説明会を開催し「新婦 人に入っていっしょに就援 申請を」と訴えています。 
 不況が家計を直撃してい る今年は、東支部をはじめ 各支部が、だれもが就学援 助を申請しようと燃えてい ます。早良区の星の原班の 若いお母さんたちは口ぐち に、「百貨店に勤める夫は ボーナスは下がったのに、 スーツや電化製品のノルマ があって、買いたくないも のまで買わなければならな い」 「難病の子のリハビリ だけで毎月一万円。衣類は もらいもの、いまは食費ま で削る生活」と、切実です。 
 「それでも就学援助の申 請をしたら、市の示す基準 額をオーバーしてしまっ て。申立書を書くのはたい へんだし、認定交渉で細ご ま突かれるのがいやで二年 目は申請しませんでした」 と班長の山本裕子さん。 
 「でも申請すれば三人分  (小二、四、六年生)支給 され助かるし、やっばりが んばろうと思って・・・」  まわりの人から、「もっ と因っている人がいるの に、私たちみたいに何とか 生活している人がもらうと その人たちがもらえなくな るのでは」といわれて、当 初は心がゆれました。 
 「でもそうじゃないんで すね。私たちが運動にして いるから制度がつづいてい くんだし、もしめげて申請 しなかったら制度がなくな っていくんだなと思った ら、がんばろうって・・・。何 より私たちが就授制度を利 用する建前には、『義務教 育は無償のもの』というの があるんです。こんな手続きをしなくても、みんなが 平等に無償になるまでがん ばりたい」  

 

全国のお母さんたち大いに申請して下さい  

梅崎 勝 就援共闘会議事務局長 
(福岡県生活と健康を守る会副会長) 
 
 「福岡市では二十数年 共闘会議をつくって運動 してきたから、就援はか なり低収入の人しか受け られないという考えは、 だいぶ突破してきたと思 います。今年議論してい るのは、憲法二十六条に もとづき義務教育は本来 無償なんだということを もう一度宣伝していこう ということなんです。 
 福岡の場合、就学援助 の運動がすすんできた結 果、いまでは学校の担任 の先生に、就学援助の申 請を申し出る人も増えて います。 
 全国で就学援助を申請 していないお母さんたち も、「私も申請できます か」と、学校や教育委員 会に聞いて申請してくだ さい。結果的に給付され なくても、申請しなけれ ばかなり低収入の人しか 受けられない制度になっ てしまいますから。(談)





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