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  • (98年 10月 18日付「守る新聞」)


    全生連第32回全国大会 特集

    全国大会「全体会」での発言より



    「憲法を暮らしに生かし、よりよい国保制度に」
         北海道・道北 杉尾正明代議員

     今年4月21日に旭川地裁は、国民健康保険料の賦課処分および減免非該当処分の取り消しをもとめていた、行政訴訟(国保裁判)の判決を言い渡しました。
     判決の内容は、賦課額、料率などを明示していない、いわゆる「告示方式」である、旭川市の国保条例は違憲(92条・84条)、違法(国保法81条)の条例であり、この条例にもとづく国保科賦課処分を取り消すという判決でした。
     原告全面勝訴の判決です。
     私はこの裁判の原告の杉尾です。


    公的な保険の保険料は税金 

     判決では、国保科の減免非該当処分については判断されていません。しかし、国保は、
    @強制加入制であること、
    A国保税・国保料とも強制徴収されること、
    B収入の3分の1を公的資金でまかなっていること、
    などをしめして、「公的保険の保険料を実質的に租税(税金)である」といっています。 この判断はとても意義あるものだと思います。
     とりわけ、2000年4月からはじまる介護保険制度で、保険料の減免制度も市町村の条例によるところから、国保科と同じように減免は「災害時などのみ」となることは明らかです。
     住民の抵抗感の強い租税(税金)をさけて、社会保険料(強制加入・強制徴収)で国民の負担をさらに強めようとしているなかで、このような判決が出されたことは、今後さらに重要になってくると考えています。
     あわせてこの判決では、旭川市の国保条例(8条、12条)を達憲・違法といっています。
     その神髄は、賦課総額(課税総額)の算定方法と算出過程を全面的に明らかにしたことです。これらの算出方法は全国で基本的に同一です。判決も指摘していますが、全国の市町村(保険者)の裁量は広範に許容されていて、事実上、自由裁量であることが明らかにされたことも重要です。


    人権侵害はやめさせたい

     現在、医療費は原則として全国一律ですが国保の保険料・税は全国バラバラです。同一の医療を受けながら、国保科・税は地域によって違いがあり、年ねんその格差が大きくなっています。一人あたりの国保科に、7倍もの差があります。
     これもたいへんな人権侵害です。
     それに、国保科・税の滞納者にたいする国保証の取り上げや、資格証明書や短期保険証の発行も21万世帯、46万人をこえているといわれています。
     国保科・税は今でも低所得者はど重い負担ですが、介護保険制度がはじまると、介護保険料が上乗せされます。そうすると、保険料を滞納している場合、介護サービスだけでなく、医療も受けられなくなるのです。
     このような人権侵害をやめさせ、国保をよくしていくため、私は次のことをみなさんに訴えたいと思います。
     まず、国保科・税を払っていない場合、払えない場合は、賦課(課税)処分の取り消しか、または無効確認の提訴をしましょう。
     国保科・税を支払った場合は、国家賠償法による損害賠償か、または不当利得返還を請求しましょう。
     憲法違反を理由とする場合には、異議申し立てや審査請求をせずに提訴できます。
     当該行政処分の無効確認の提訴は、いつでもできますし、時効もありません。
     国保をよりよい制度にしていくため、みなさんもいっしよにこのような運動に参加していくことを心から訴えます。
     

     

     

    市長選と結びつけた、組織拡大と班の活動
           東大阪 吉田正行代議員

     私たち東大阪生活と健康を守る会は、この1年間に2度の市長選挙をたたかってきました。前市長の市政私物化で汚職をやりながら、その一方で市民には冷たい市政をやってきた東大阪。市民が主人公の市政にと、広範な市民の要求をあつめ、歴史的勝利をおさめました。
     私たちはこの選挙にあたり、「支持を頼まれる人から頼む人に」を合い言葉に、全会員運動にしていくため、班会で話し合うことからはじめようと、4000人総対話運動にとりくみました。
     これは、班会が開けていなかったところにとってはすごい提起でした。これまでは会がとりくんでいる課題を一方的に会員に伝えて執行部が自己満足する、こんなことが多かったのです。
     それが、「会員を集めて対話せなあかん」ということで、役員が毎週水曜日に事務所に来て、会員に「班会をやるから家を貸して」と電話をかけることからはじめた支部もあります。そんなこんなではじめたとりくみでしたが、のベ3000人を超える会員が参加しました。


    会員を信頼し率直に相談を

     班会の内容も、これまでの一方通行の班会でなく、会員の目線で世の中のことや制度のこと、地域のことを気軽に話せる班会に変えていきました。
     班で出された実態をもとに、地域ぐるみで解決しようととりくんだところもあります。
     また、「今さら集まってなにやんの」と言っていた班もあります。「貧乏人の会やから近所にはわからんようにせなあかん。せやから私ら、”かくれ守る会”やねん」という話が出された班では、「今、会がまわりの人たちから求められているんや」と話し合いました。結果は、「なんでも話してみなあかんな」と定例班会を開くことになったのです。
     私たちはこのとりくみを通じて、会員を信頼し率直に相談することと、みんなが自分の言葉で本音で話し合うことの大切さをあらためて認識しました。
     こうした班会を重ねることで、宣伝カーから市民に訴えたり、ビラ配布をしたり、今まで選挙に行ったことがなかった若い会員が自分のまわりに支持を広げるなど、選挙の勝利に大きな力を発揮することができました。


    次期大会には5千世帯に

     もう一つ、選挙勝利ともつながる課題が会員拡大です。私たちは2年前の大会で中期4カ年計画を決めました。それは「最初の2年間は点在会員をなくすため、班づくりと手分けの活動、班会・班活動の定看を中心課題にし、当時3800世帯だった会員現勢を4200世帯にすること。
     第33回全国大会には5000世帯の組織を」というものです。
     この2年間、班会のとりくみが旺盛にすすみ、対象者が多く出され入会にむすびつきました。
     制度の申請ともあわせ、外へ打って出る宣伝と小集会に徹底してとりくんできました。私たちは4200世帯を突破してこの大会に参加しています。
     最後になりますが、9月議会では、老人医療存続問題などで自民党が緊急動議をだすなどの混乱もあります。
     たたかいはこれからです。ひきつづき会員やまわりの人たちの要求を集め、おおいに会員・読者をふやし、中期4カ年計画の総達成にむけてがんばります。




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