「ニュース街かど問答」
生子 何をそんなに怒っているの。
健夫 いや二年後の四月から実施される介護保険制度の中身がひどいからだよ。
生子 だって、まだ先のことでしょ。
健夫 いや、各自治体は四月から調査や介護専門員の試験や研修、・来年春には条例・規則を決め、
十月から介護の申請受付が始まるんだ。
生子 どんどん動き出しているのね。新聞に介護保険は「保険あって介護なし」と書いてあったけど不安だわ。
健夫 そうなんだ。高い介護保険料(平均月二千五百円)を払っても肝心の介護サービスが受けられないおそれがあるんだ。
生子 どういうことなの。
健夫 国・厚生省は、二年後の介護施設や人員の目標を決めているけど、特別養護老人ホームは、目標を達成しても入れない人が八万人も出るんだ。介護の柱のホームヘルパーも、十七万人の目標なのに、今のところ十万人しか確保してないし、それも常勤の人は、わずか二割なんだ。
生子 それじゃ、介護保険料を払っても特養老人ホームに入れないとか、ヘルパーも利用できない人が続出しちゃうわね。
健夫 それに、六十五歳以上の人は年金から保険料を天引きし、年金三万円以下の人は個別徴収するんだ。
高い保険料は払えないよ。
生子 払えない人は介護サービスを受けられないのね。
健夫 そう、罰則で決めているね。それに介護の申請をしても、きびしい認定・判定で受けられない人がたくさん出る。三年前に介護保険を始めたドイツでは、申請者の二−四割の人が却下されているよ。
生子 保険証一枚で介護を受けられる、とはいかないわけなのね。
健夫 保険あって給付なしだよ。ひどい内谷をみんなに知らせ、二年後の実施までに国や自治体に私たちの実態・要求を出して改善させるのが大事だね。