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児童福祉法(昭和22年12月12日・法律第164号)

昭23年1月1日施行 最終改正 平6−法49・法56・法84まで

主な関連条文の目次
第1章 総則      第1節 定義
第2章 福祉の措置   第24 保育所への入所
第3章 事業及び施設  第39 保育所
第4章 費用      第56条 費用の徴収


第1章 総則

第1条〔児童福祉の理念〕
 すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。
 すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない。

第2条〔児童育成の責任〕
 国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。

第3条〔児童福祉原理の尊重〕
 前二条に規定するところは、児童の福祉を保障するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の施行にあたつて、常に尊重されなければならない。

第1節 定義

第4条〔児童〕
 この法律で、児童とは、満十八歳に満たない者をいい、児童を左のように分ける。
一 乳児 満一歳に満たない者
二 幼児 満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
三 少年 小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

第5条〔妊産婦〕
 この法律で、妊産婦とは、妊娠中又は出産後一年以内の女子をいう。

第6条〔保護者〕
 この法律で、保護者とは、親権を行う者、後見人その他の者で、児童を現に監護する者をいう。

第6条の2〔児童居宅生活支援事業〕
 この法律で、児童居宅生活支援事業とは、児童居宅介護等事業、児童デイサービス事業及び児童短期入所事業をいう。
 この法律で、児童居宅介護等事業とは、第二十一条の十第一項の措置に係る者につきその者の家庭において同項の厚生省令で定める便宜を供与する事業をいう。
 この法律で、児童デイサービス事業とは、第二十一条の十第二項の措置に係る者を同項に規定する市町村長が適当と認める施設に通わせ、その者につき同項の厚生省令で定める便宜を供与する事業をいう。
 この法律で、児童短期入所事業とは、第二十一条の十第三項の措置に係る者を同項の厚生省令で定める施設に短期間入所させ、その者につき必要な保護を行う事業をいう。

第7条〔児童福祉施設〕
 この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子寮、保育所、児童厚生施設、養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設及び教護院とする。

第2節 児童福祉審議会
第8条〔設置及び権限〕
 児童、妊産婦及び精神薄弱者の福祉に関する事項を調査審議するため、中央児童福祉審議会を置く。
 前項の事項を調査審議するため、都道府県に都道府県児童福祉審議会を置く。ただし、社会福祉事業法(昭和二十六年法律第四十五号)第十一条第一項の規定により地方社会福祉審議会に児童福祉に関する事項を調査審議させる都道府県にあつては、この限りでない。
 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、第一項の事項を調査審議するため、市町村児童福祉審議会を置くことができる。
 中央児童福祉審議会は、厚生大臣の、都道府県児童福祉審議会は、都道府県知事の、市町村児童福祉審議会は、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の管理に属し、夫 その諮問に答え、又は関係行政機関に意見を具申することができる。
 児童福祉審議会は、特に必要があると認めるときは、関係行政機関に対し、所属職員の出席説明及び資料の提出を求めることができる。
 児童福祉審議会は、必要に応じ、相互に資料を提供する等常に緊密な連絡をとらなければならない。
 中央児童福祉審議会及び都道府県児童福祉審議会(第二項ただし書に規定する都道府県にあつては、地方社会福祉審議会)は、児童及び精神薄弱者の福祉を図るため、芸能、出版物、がん具、遊戯等を推薦し、又はそれらを製作し、興行し、若しくは販売する者等に対し、必要な勧告をすることができる。

第9条〔組織〕
 中央児童福祉審議会は、委員五十五人以内で、都道府県児童福祉審議会及び市町村児童福祉審議会は、委員二十人以内で、これを組織する。
 児童福祉審議会において、特別の事項を調査審議するため必要があるときは、臨時委員を置くことができる。
 児童福祉審議会の委員及び臨時委員は、児童又は精神薄弱者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験のある者のうちから、厚生大臣、都道府県知事又は市町村長が、それぞれこれを任命する。
 児童福祉審議会に、委員の互選による委員長及び副委員長各一人を置く。

第10条〔命令への委任〕
 この法律で定めるものの外、委員の任期、委員長及び副委員長の職務その他児童福祉審議会の運営に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第3節 児童福祉司及び児童委員

第11条〔児童福祉司の設置及び職務〕
 都道府県は、児童相談所に児童福祉司を置かなければならない。
 児童福祉司は、児童相談所長の命を受けて、児童の保護その他児童の福祉に関する事項について、相談に応じ、専門的技術に基いて必要な指導を行う等児童の福祉増進に努める。
 児童福祉司は、政令の定めるところにより児童相談所長が定める担当区域により、前項の職務を行い、担当区域内の市町村長に協力を求めることができる。

第11条の2〔任用資格〕
 児童福祉司は、事務吏員又は技術吏員とし、左の各号の一に該当する者の中から、これを任用しなければならない。
一 厚生大臣の指定する児童福祉司又は児童福祉施設の職員を養成する学校その他の施設を卒業し、又は厚生大臣の指定する講習会の課程を修了した者
二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基く大学又は旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基く大学において、心理学、教育学若しくは社会学を専修する学科又はこれらに相当する課程を修めて卒業した者
三 医師
四 社会福祉主事として、二年以上児童福祉事業に従事した者
五 前各号に準ずる者であつて、児童福祉司として必要な学識経験を有するもの

第12条〔児童委員の設置、職務〕
 市町村の区域に児童委員を置く。
 児童委員は、児童及び妊産婦につき、常にその生活及び環境の状態をつまびらかにし、その保護、保健その他福祉に関し、援助及び指導をするとともに、児童福祉司又は社会福祉事業法に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)の社会福祉主事の行う職務に協力するものとする。
 民生委員法による民生委員は、児童委員に充てられたものとする。
 児童委員は、その職務に関し、都道府県知事の指揮監督を受ける。

第13条〔市町村長・児童相談所長と児童福祉司・児童委員との関係〕
 市町村長は、第十一条第二項又は前条第二項に規定する事項に関し、児童福祉司又は児童委員に必要な状況の通報及び資料の提供を求めることができる外、児童福祉司に必要な援助を求め、児童委員に必要な指示をすることができる。
 児童福祉司及び児童委員は、その担当区域内における児童又は妊産婦に関し、必要な事項につき、その担当区域を管轄する児童相談所長又は市町村長にその状況を通知し、併せて意見を述べなければならない。
 児童委員が、児童相談所長に前項の通知をするときは、市町村長を経由するものとする。
 児童相談所長は、その管轄区域内の児童委員に必要な調査を委嘱することができる。

第14条〔命令への委任〕
 この法律で定めるものの外、児童福祉司の任用叙級その他児童福祉司及び児童委員に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第4節 児童相談所、福祉事務所及び保健所

第15条〔児童相談所の設置〕
 都道府県は、児童相談所を設置しなければならない。

第15条の2〔業務〕
 児童相談所は、児童の福祉に関する事項について、主として左の業務を行うものとする。
一 児童に関する各般の問題につき、家庭その他からの相談に応ずること。
二 児童及びその家庭につき、必要な調査並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を行うこと。
三 児童及びその保護者につき、前号の調査又は判定に基づいて必要な指導を行なうこと。
四 児童の一時保護を行うこと。
 児童相談所は、必要に応じ、巡回して、前項第一号から第三号までの業務を行うことができる。

第16条〔組織〕
 児童相談所には、所長及び所員を置く。
 所長は、都道府県知事の監督を受け、所務を掌理する。
 所員は、所長の監督を受け、前条に規定する業務を掌る。
 児童相談所には、第一項に規定するものの外、必要な職員を置くことができる。

第16条の2〔所長・所員の資格〕
 児童相談所の所長及び所員は、事務吏員又は技術吏員とする。
 所長は、左の各号の一に該当する者でなければならない。
一 医師であつて、精神保健に関して学識経験を有する者
二 学校教育法に基く大学又は旧大学令に基く大学において、心理学を専修する学科又はこれに相当する課程を修めて卒業した者
三 二年以上児童福祉司として勤務した者又は児童福祉司たる資格を得た後二年以上所員として勤務した者
四 前各号に準ずる者であつて、所長として必要な学識経験を有するもの
 判定を掌る所員の中には、前項第一号に該当する者又はこれに準ずる資格を有する者及び同項第二号に該当する者又はこれに準ずる資格を有する者が、それぞれ一人以上含まれなければならない。
 相談及び調査を掌る所員は、児童福祉司たる資格を有する者でなければならない。

第17条〔一時保護施設の設置〕
 児童相談所には、必要に応じ、児童を一時保護する施設を設けなければならない。

第18条〔命令への委任〕
この法律で定めるものの外、児童相談所の管轄区域その他児童相談所に関し必要な事項は、命令でこれを定める。

第18条の2〔福祉事務所の業務〕
 福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として左の業務を行うものとする。
一 児童及び妊産婦の福祉に関し、必要な実情の把握に努めること。
二 児童及び妊産婦の福祉に関する事項について、相談に応じ、必要な調査を行い、及び個別的に又は集団的に、必要な指導を行うこと並びにこれらに附随する業務を行うこと。
 児童相談所長は、その管轄区域内の福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)に必要な調査を委嘱することができる。

第18条の3〔保健所の業務〕
 保健所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。
一 児童の保健について、正しい衛生知識の普及を図ること。
二 児童の健康相談に応じ、又は健康診査を行い、必要に応じ、保健指導を行うこと。
三 身体に障害のある児童及び疾病により長期にわたり療養を必要とする児童の療育について、指導を行うこと。
四 児童福祉施設に対し、栄養の改善その他衛生に関し、必要な助言を与えること。

第2章 福祉の措置及び保障

第19条〔身体障害児童の療育指導〕
 保健所長は、身体に障害のある児童につき、診査を行ない、又は相談に応じ、必要な療育の指導を行なわなければならない。
 保健所長は、疾病により長期にわたり療養を必要とする児童につき、診査を行い、又は相談に応じ、必要な療育の指導を行うことができる。
 保健所長は、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十五条第四項の規定により身体障害者手帳の交付を受けた児童(身体に障害のある十五歳未満の児童については、身体障害者手帳の交付を受けたその保護者とする。以下同じ。)につき、同法第十六条第二項第一号又は第二号に掲げる事由があると認めるときは、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。

第20条〔育成医療〕
 都道府県は、身体に障害のある児童に対し、生活の能力を得るために必要な医療(以下「育成医療」という。)の給付を行い、又はこれに代えて育成医療に要する費用を支給することができる。
 前項の規定による費用の支給は、育成医療の給付が困難であると認められる場合に限り、これを行なうことができる。
 育成医療の給付は、次のとおりとする。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
六 移送
 育成医療の給付は、厚生大臣又は都道府県知事が身体障害者福祉法第十九条の二第一項の規定により指定する医療機関(以下「指定育成医療機関」という。)に委託してこれを行うものとする。

第21条〔育成医療の担当〕
 指定育成医療機関は、厚生大臣の定めるところにより、育成医療を担当しなければならない。

第21条の2〔診療方針・診療報酬〕
 指定育成医療機関の診療方針及び診療報酬は、健康保険の診療方針及び診療報酬の例による。
 前項に規定する診療方針及び診療報酬によることができないとき、及びこれによることを適当としないときの診療方針及び診療報酬は、厚生大臣が定めるところによる。

第21条の3〔診療内容等の審査〕
 都道府県知事は、指定育成医療機関の診療内容及び診療報酬の請求を随時審査し、かつ、指定育成医療機関が前条の規定によつて請求することができる診療報酬の額を決定することができる。
 指定育成医療機関は、都道府県知事が行う前項の決定に従わなければならない。
 都道府県知事は、第一項の規定により指定育成医療機関が請求することができる診療報酬の額を決定するに当たつては、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)に定める審査委員会、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)に定める国民健康保険診療報酬審査委員会その他政令で定める医療に関する審査機関の意見を聴かなければならない。
 都道府県は、指定育成医療機関に対する診療報酬の支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険団体連合会その他厚生省令で定める者に委託することができる。
 第一項の規定による診療報酬の額の決定については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。

第21条の4〔監督〕
 厚生大臣又は都道府県知事は、指定育成医療機関の診療報酬の請求が適正であるかどうかを調査するため必要があると認めるときは、指定育成医療機関の管理者に対して必要な報告を求め、又は当該職員をして、指定育成医療機関について、その管理者の同意を得て、実地に診療録その他の帳簿書類を検査させることができる。
 指定育成医療機関の管理者が、正当な理由がなく、前項の報告の求めに応ぜず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の同意を拒んだときは、厚生大臣又は都道府県知事は、当該指定育成医療機関に対する都道府県の診療報酬の支払を一時差し止めさせ、又は差し止めることができる。

第21条の5〔給付額〕

 第二十条第一項の規定により支給する費用の額は、第二十一条の二の規定により指定育成医療機関が請求することができる診療報酬の例により算定した額のうち、本人及びその扶養義務者(民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者をいう。以下同じ。)が負担することができないと認められる額とする。

第21条の6〔補装具の交付・修理又は費用の支給〕
 都道府県は、身体障害者手帳の交付を受けた児童に対し、盲人安全つえ、補聴器、義肢、装具、車いすその他厚生大臣が定める補装具を交付し、若しくは修理し、又はこれに代えて補装具の購入若しくは修理に要する費用を支給することができる。
 前項の規定による費用の支給は、補装具の交付又は修理が困難であると認められる場合に限り、これを行うことができる。
 第一項に規定する補装具の交付又は修理は、補装具の製作若しくは修理を業とする者(以下「業者」という。)に委託してこれを行い、又は都道府県が自らこれを行うものとする。

第21条の7〔受託者報酬額の基準〕
 前条第三項の規定により補装具の交付又は修理の委託を受けた業者が都道府県に対して請求することができる報酬の額の基準は、厚生大臣がこれを定める。

第21条の8〔支給費用の額〕
 第二十一条の六第一項の規定により支給する費用の額は、前条の規定により業者が請求することができる報酬の例により算定した額のうち、本人及びその扶養義務者が負担することができないと認められる額とする。

第21条の9〔療育の給付〕
 都道府県は、骨関節結核その他の結核にかかつている児童に対し、療養に併せて学習の援助を行うため、これを病院に入院させて療育の給付を行うことができる。
 療育の給付は、次のとおりとする。この場合において、第一号の医療に係る給付に関しては、第二十条第三項(第四号を除く。)の規定を準用する。
一 医療
二 学習及び療養生活に必要な物品の支給
 前項第一号の医療に係る療育の給付は、厚生大臣又は都道府県知事が次項の規定により指定する病院(以下「指定療育機関」という。)に委託して行うものとする。
 厚生大臣は、国が開設した病院についてその主務大臣の同意を得て、都道府県知事は、その他の病院についてその開設者の同意を得て、第二項第一号の医療を担当させる機関を指定する。
 前項の指定は、政令で定める基準に適合する病院について行うものとする。

第21条の10〔心身障害児の居宅における介護等〕
 市町村は、身体に障害のある児童又は精神薄弱の児童であつて日常生活を営むのに支障があるものについて、必要があると認めるときは、政令で定める基準に従い、その者の家庭において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて厚生省令で定めるものを供与し、又は当該市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託する措置を採ることができる。
 市町村は、身体に障害のある児童又は精神薄弱の児童について、必要があると認めるときは、政令で定める基準に従い、その者を家庭から当該市町村の設置する当該市町村長が適当と認める施設に通わせ、日常生活における基本的な動作の指導、集団生活への適応訓練その他の厚生省令で定める便宜を供与し、又は当該市町村以外の者の設置する当該市町村長が適当と認める施設に通わせ、当該便宜を供与することを委託する措置を採ることができる。
 都道府県は、保護者の疾病その他の理由により家庭において介護を受けることが一時的に困難となつた身体に障害のある児童又は精神薄弱の児童について、必要があると認めるときは、政令で定める基準に従い、その者を肢体不自由児施設、精神薄弱児施設その他の厚生省令で定める施設(以下この項において「肢体不自由児施設等」という。)に短期間入所させ、必要な保護を行い、又は当該都道府県以外の者の設置する肢体不自由児施設等に短期間入所させ、必要な保護を行うことを委託する措置を採ることができる。
 都道府県は、日常生活を営むのに支障がある身体に障害のある児童又は精神薄弱の児童について、前三項の措置を採るほか、その福祉を図るため必要があると認めるときは、日常生活上の便宜を図るための用具であつて厚生大臣が定めるものを給付し、若しくは貸与し、又は当該都道府県以外の者にこれを給付し、若しくは貸与することを委託する措置を採ることができる。

第22条〔助産施設への入所〕
 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、それぞれその設置する福祉事務所の所管区域内における妊産婦が、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により、入院助産を受けることができないと認めるときは、その妊産婦を助産施設に入所させて助産を受けさせる措置を採らなければならない。ただし、付近に助産施設がない等やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

第23条〔母子寮への入所〕
 都道府県、市及び福祉事務所を設置する町村は、それぞれその設置する福祉事務所の所管区域内における保護者が、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子であつて、その者の監護すべき児童の福祉に欠けるところがあると認めるときは、その保護者及び児童を母子寮に入所させて保護する措置を採らなければならない。ただし、付近に母子寮がない等やむを得ない事由があるときは、適当な施設への入所のあつせん、生活保護法の適用等適切な保護を加えなければならない。

第24条〔保育所への入所〕
 市町村は、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、保護者の労働又は疾病等の事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがあると認めるときは、それらの児童を保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない。ただし、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護を加えなければならない。

第25条〔要保護児童発見者の通告義務〕
 保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した者は、これを福祉事務所又は児童相談所に通告しなければならない。但し、罪を犯した満十四歳以上の児童については、この限りでない。この場合においては、これを家庭裁判所に通告しなければならない。

第25条の2〔福祉事務所長のとるべき措置〕
 福祉事務所長は、前条の規定による通告又は次条第一項第三号の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、必要があると認めたときは、次の各号の一の措置を採らなければならない。
一 第二十七条の措置を要すると認める者並びに医学的、心理学的、教育学的、社会学的及び精神保健上の判定を要すると認める者は、これを児童相談所に送致すること。
二 児童又はその保護者をその福祉事務所の精神薄弱者福祉司又は社会福祉主事に指導させること。
三 第二十二条から第二十四条までの措置を要すると認める者は、これをそれぞれその措置を採るべき都道府県又は市町村の長に報告し、又は通知すること。

第26条〔児童相談所長のとるべき措置〕
 児童相談所長は、第二十五条の規定による通告を受けた児童、前条第一号又は少年法(昭和二十三年法律第百六十八号)第十八条第一項の規定による送致を受けた児童及び相談に応じた児童、その保護者又は妊産婦について、必要があると認めたときは、次の各号の一の措置を採らなければならない。
一 次条の措置を要すると認める者は、これを都道府県知事に報告すること。
二 児童又はその保護者を児童福祉司又は児童委員に指導させること。
三 前条第二号の措置が適当であると認める者は、これを福祉事務所に送致すること。
四 第二十二条から第二十四条までの措置を要すると認める者は、これをそれぞれその措置を採るべき都道府県又は市町村の長に報告し、又は通知すること。
 前項第一号の規定による報告書には、児童の住所、氏名、年齢、履歴、性行、健康状態その他児童の福祉増進に関し、参考となる事項を記載しなければならない。

第27条〔都道府県のとるべき措置〕
 都道府県は、前条第一項第一号の規定による報告又は少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号の一の措置を採らなければならない。
一 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。
二 児童又はその保護者を児童福祉司、精神薄弱者福祉司、社会福祉主事又は児童委員に指導させること。
三 児童を里親(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であつて、都道府県知事が、適当と認める者をいう。以下同じ。)若しくは保護受託者(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童で学校教育法に定める義務教育を終了したものを自己の家庭に預り、又は自己のもとに通わせて、保護し、その性能に応じ、独立自活に必要な指導をすることを希望する者であつて、都道府県知事が適当と認めるものをいう。以下同じ。)に委託し、又は乳児院、養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設若しくは教護院に入所させること。
四 家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致すること。
 都道府県は、第四十三条の三又は第四十三条の四に規定する児童については、前項第三号の措置に代えて、国立療養所その他政令で定める医療機関であつて厚生大臣の指定するもの(以下「指定国立療養所等」という。)に対し、これらの児童を入所させて肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設におけると同様な治療等を行うことを委託することができる。
 都道府県知事は、少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき、第一項の措置をとるにあたつては、家庭裁判所の決定による指示に従わなければならない。
 第一項第三号又は第二項の措置は、児童に親権を行う者(第四十七条第一項の規定により親権を行う児童福祉施設の長を除く。以下同じ。)又は後見人があるときは、前項の場合を除いては、その親権を行う者又は後見人の意に反して、これをとることができない。
 第一項第三号の保護受託者に委託する措置は、あらかじめ、児童の同意を得、且つ、一年以内の期間を定めて、これをとらなければならない。
 都道府県は、委託の期間が満了したときは、更に、児童の同意を得、かつ、一年以内の期間を定めて、児童の保護を保護受託者に委託することができる。
 都道府県知事は、第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項の措置を解除し、停止し、若しくは他の措置に変更し、又は前項の措置をとる場合には、児童相談所長の意見を聞かなければならない。

第27条の2〔家庭裁判所への事件の送致〕
 都道府県知事は、たまたま児童の行動の自由を制限し、又はその自由を奪うような強制的措置を必要とするときは、第三十三条及び第四十七条の規定により認められる場合を除き、事件を家庭裁判所に送致しなければならない。

第28条〔保護者の児童虐待等の場合の措置〕
 保護者が、その児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第二十七条第一項第三号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措置を採ることができる。
一 児童又はその保護者に訓戒を加え、又は誓約書を提出させること。
二 児童又はその保護者を児童福祉司、精神薄弱者福祉司、社会福祉主事又は児童委員に指導させること。
三 児童を里親(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であつて、都道府県知事が、適当と認める者をいう。以下同じ。)若しくは保護受託者(保護者のない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童で学校教育法に定める義務教育を終了したものを自己の家庭に預り、又は自己のもとに通わせて、保護し、その性能に応じ、独立自活に必要な指導をすることを希望する者であつて、都道府県知事が適当と認めるものをいう。以下同じ。)に委託し、又は乳児院、養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設若しくは教護院に入所させること。
四 家庭裁判所の審判に付することが適当であると認める児童は、これを家庭裁判所に送致すること。
 都道府県は、第四十三条の三又は第四十三条の四に規定する児童については、前項第三号の措置に代えて、国立療養所その他政令で定める医療機関であつて厚生大臣の指定するもの(以下「指定国立療養所等」という。)に対し、これらの児童を入所させて肢体不自由児施設又は重症心身障害児施設におけると同様な治療等を行うことを委託することができる。
 都道府県知事は、少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき、第一項の措置をとるにあたつては、家庭裁判所の決定による指示に従わなければならない。
 第一項第三号又は第二項の措置は、児童に親権を行う者(第四十七条第一項の規定により親権を行う児童福祉施設の長を除く。以下同じ。)又は後見人があるときは、前項の場合を除いては、その親権を行う者又は後見人の意に反して、これをとることができない。
 第一項第三号の保護受託者に委託する措置は、あらかじめ、児童の同意を得、且つ、一年以内の期間を定めて、これをとらなければならない。
 都道府県は、委託の期間が満了したときは、更に、児童の同意を得、かつ、一年以内の期間を定めて、児童の保護を保護受託者に委託することができる。
 都道府県知事は、第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項の措置を解除し、停止し、若しくは他の措置に変更し、又は前項の措置をとる場合には、児童相談所長の意見を聞かなければならない。

二 保護者が親権を行う者又は後見人でないときは、その児童を親権を行う者又は後見人に引き渡すこと。ただし、その児童を親権を行う者又は後見人に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、家庭裁判所の承認を得て、第二十七条第一項第三号の措置を採ること。

第29条〔調査・質問〕
 都道府県知事は、前条の規定による措置をとるため、必要があると認めるときは、児童委員又は児童の福祉に関する事務に従事する吏員をして、児童の住所若しくは居所又は児童の従業する場所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させなければならない。

第30条〔同居児童の届出義務、保護者の相談義務〕
 四親等内の児童以外の児童を、その親権を行う者又は後見人から離して、自己の家庭(単身の世帯を含む。)に、三月(乳児については、一月)を超えて同居させる意思をもつて同居させた者又は継続して二月以上(乳児については、二十日以上)同居させた者(法令の定めるところにより児童を委託された者及び児童を単に下宿させた者を除く。)は、同居を始めた日から三月以内(乳児については、一月以内)に、市町村長を経て、都道府県知事に届け出なければならない。ただし、その届出期間内に同居をやめたときは、この限りでない。
 前項に規定する届出をした者が、その同居をやめたときは、同居をやめた日から一月以内に、市町村長を経て、都道府県知事に届け出なければならない。
 保護者は、経済的理由等により、児童をそのもとにおいて養育しがたいときは、児童相談所、福祉事務所、児童福祉司又は児童委員に相談しなければならない。

第30条の2〔知事の指示等〕
 都道府県知事は、里親、保護受託者及び児童福祉施設の長並びに前条第一項に規定する者に、児童の保護について、必要な指示をし、又は必要な報告をさせることができる。

第31条〔養護施設等での在所期間の延長〕
 都道府県は、第二十七条第一項第三号の規定により養護施設、精神薄弱児施設(国の設置する精神薄弱児施設を除く。)、盲ろうあ児施設、虚弱児施設又は教護院に入所した児童については満二十歳に達するまで、同号の規定により国の設置する精神薄弱児施設に入所した児童についてはその者が社会生活に順応することができるようになるまで、引き続きその者をこれらの児童福祉施設に在所させる措置を採ることができる。
 都道府県は、第二十七条第一項第三号の規定により肢体不自由児施設に入所した児童又は同条第二項の規定による委託により指定国立療養所等に入所した第四十三条の三に規定する児童については満二十歳に達するまで、第二十七条第一項第三号の規定により重症心身障害児施設に入所した児童又は同条第二項の規定による委託により指定国立療養所等に入所した第四十三条の四に規定する児童についてはその者が社会生活に順応することができるようになるまで、引き続きその者をこれらの児童福祉施設に在所させ、若しくは第二十七条第二項の規定による委託を継続し、又はこれらの措置を相互に変更する措置を採ることができる。
 前二項に規定する措置は、この法律の適用については、第二十七条第一項第三号又は第二項に規定する措置とみなす。
 第一項又は第二項の場合においては、都道府県知事は、児童相談所長の意見を聞かなければならない。

第32条〔都道府県知事・市町村長の権限の委任〕
 都道府県知事は、第二十七条第一項又は第二項の措置をとる権限の全部又は一部を児童相談所長に委任することができる。
 都道府県知事又は市町村長は、第二十一条の十第一項若しくは第二項又は第二十二条から第二十四条までの措置を採る権限の全部又は一部を、それぞれその管理する福祉事務所の長に委任することができる。

第33条〔一時保護〕
 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置をとるに至るまで、児童に一時保護を加え、又は適当な者に委託して、一時保護を加えさせることができる。
 都道府県知事は、必要があると認めるときは、第二十七条第一項又は第二項の措置をとるに至るまで、児童相談所長をして、児童に一時保護を加えさせ、又は適当な者に、一時保護を加えることを委託させることができる。

第33条の2〔児童の所持物の保管及び返還〕
 児童相談所長は、一時保護を加えた児童の所持する物であつて、一時保護中本人に所持させることが児童の福祉をそこなう虞があるものを保管することができる。
 児童相談所長は、前項の規定により保管する物で、腐敗し、若しくは滅失する虞があるもの又は保管に著しく不便なものは、これを売却してその代価を保管することができる。
 児童相談所長は、前二項の規定により保管する物について当該児童以外の者が返還請求権を有することが明らかな場合には、これをその権利者に返還しなければならない。
 児童相談所長は、前項に規定する返還請求権を有する者を知ることができないとき、又はその者の所在を知ることができないときは、返還請求権を有する者は、六箇月以内に申し出るべき旨を公告しなければならない。
 前項の期間内に同項の申出がないときは、その物は、当該児童相談所を設置した都道府県に帰属する。
 児童相談所長は、一時保護を解除するときは、第三項の規定により返還する物を除き、その保管する物を当該児童に返還しなければならない。この場合において、当該児童に交付することが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、これをその保護者に交付することができる。
 第一項の規定による保管、第二項の規定による売却及び第四項の規定による公告に要する費用は、その物の返還を受ける者があるときは、その者の負担とする。

第33条の3〔児童の遺留物の保管及び交付〕
 児童相談所長は、一時保護を加えている間に児童が逃走し、又は死亡した場合において、遺留物があるときは、これを保管し、且つ、前条第三項の規定により権利者に返還しなければならない物を除き、これを当該児童の保護者若しくは親族又は相続人に交付しなければならない。
 前条第二項、第四項、第五項及び第七項の規定は、前項の場合に、これを準用する。

第33条の4〔措置の解除に係る説明等〕
 前二項に規定する措置は、この法律の適用については、第二十七条第一項第三号又は第二項に規定する措置とみなす。
 第一項又は第二項の場合においては、都道府県知事は、児童相談所長の意見を聞かなければならない。

第33条の3〔児童の遺留物の保管及び交付〕
 児童相談所長は、一時保護を加えている間に児童が逃走し、又は死亡した場合において、遺留物があるときは、これを保管し、且つ、前条第三項の規定により権利者に返還しなければならない物を除き、これを当該児童の保護者若しくは親族又は相続人に交付しなければならない。
 前条第二項、第四項、第五項及び第七項の規定は、前項の場合に、これを準用する。

第33条の4〔措置の解除に係る説明等〕
 都道府県知事、市町村長、福祉事務所長又は児童相談所長は、次の各号に掲げる措置を解除する場合には、あらかじめ、当該各号に掲げる者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。ただし、当該各号に掲げる者から当該措置の解除の申出があつた場合その他厚生省令で定める場合においては、この限りでない。
一 第二十一条の十、第二十三条本文、第二十四条本文、第二十五条の二第二号、第二十六条第一項第二号及び第二十七条第一項第二号の措置 当該措置に係る児童の保護者
二 第二十二条の措置 当該措置に係る妊産婦
三 第二十七条第一項第三号及び第二項の措置 当該措置に係る児童の親権を行う者又はその後見人

第33条の5〔行政手続法の適用除外〕

 第二十一条の十、第二十二条、第二十三条本文、第二十四条本文、第二十五条の二第二号、第二十六条第一項第二号又は第二十七条第一項第二号若しくは第三号若しくは第二項の措置を解除する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。

第33条の6〔福祉の措置に関する連絡及び調整〕
 関係地方公共団体は、第二十一条の十又は第二十七条第一項若しくは第二項の規定による福祉の措置が適切に行われるように相互に連絡及び調整を図らなければならない。

第33条の7〔親権喪失宣告の請求〕
 児童の親権者が、その親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、民法第八百三十四条の規定による親権喪失の宣告の請求は、同条に定める者の外、児童相談所長も、これを行うことができる。

第33条の8〔後見人選任の請求〕
 児童相談所長は、親権を行う者及び後見人のない児童について、その福祉のため必要があるときは、家庭裁判所に対し後見人の選任を請求しなければならない。

第33条の9〔後見人解任の請求〕
 児童の後見人に、不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、民法第八百四十五条の規定による後見人の解任の請求は、同条に定める者の外、児童相談所長も、これを行うことができる。

第34条〔禁止行為〕
 何人も、左の各号に掲げる行為をしてはならない。
一 身体に障害又は形態上の異常がある児童を公衆の観覧に供する行為
二 児童にこじきをさせ、又は児童を利用してこじきをする行為
三 公衆の娯楽を目的として、満十五歳に満たない児童にかるわざ又は曲馬をさせる行為
四 満十五歳に満たない児童に戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で歌謡、遊芸その他の演技を業務としてさせる行為
四の二 児童に午後十時から午前三時までの間、戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為
四の三 戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務として行う満十五歳に満たない児童を、当該業務を行うために、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項第一号から第六号までに掲げる営業及び同条第四項の風俗関連営業に該当する営業を営む場所に立ち入らせる行為
五 満十五歳に満たない児童に酒席に侍する行為を業務としてさせる行為
六 児童に淫行をさせる行為
七 前各号に掲げる行為をする虞のある者その他児童に対し、刑罰法令に触れる行為をなす虞のある者に、情を知つて、児童を引き渡す行為及び当該引渡し行為のなされる虞があるの情を知つて、他人に児童を引き渡す行為
八 成人及び児童のための正当な職業紹介の機関以外の者が、営利を目的として、児童の養育をあつ旋する行為
九 児童が四親等内の児童である場合及び児童に対する支配が正当な雇用関係に基くものであるか又は家庭裁判所、都道府県知事又は児童相談所長の承認を得たものである場合を除き、児童の心身に有害な影響を与える行為をさせる目的をもつて、これを自己の支配下に置く行為
 養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設又は教護院においては、夫 第四十一条から第四十三条の三まで及び第四十四条に規定する目的に反して、入所した児童を酷使してはならない。

第34条の2〔政令への委任〕
 この法律に定めるものの外、福祉の措置及び保障に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

第3章 事業及び施設

第34条の3〔児童居宅生活支援事業〕
 国及び都道府県以外の者は、厚生省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、児童居宅生活支援事業を行うことができる。
 国及び都道府県以外の者は、児童居宅生活支援事業を廃止し、又は休止しようとするときは、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

第34条の4〔報告、質問、立入検査〕
 行政庁は、児童の福祉のために必要があると認めるときは、児童居宅生活支援事業を行う者に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 前項の規定による質問又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第34条の5〔事業の制限又は停止〕
 行政庁は、児童居宅生活支援事業を行う者が、この法律若しくはこれに基づく命令若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは第二十一条の十第一項から第三項までの措置に係る児童の処遇につき不当な行為をしたときは、その者に対し、その事業の制限又は停止を命ずることができる。

第34条の6〔委託〕
 児童居宅生活支援事業を行う者は、第二十一条の十第一項から第三項までの規定による委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

第35条〔児童福祉施設の設置・廃休止〕
 国は、命令の定めるところにより、児童福祉施設を設置するものとする。
 都道府県は、命令の定めるところにより、児童福祉施設を設置しなければならない。
 市町村は、厚生省令の定めるところにより、あらかじめ、厚生省令で定める事項を都道府県知事に届け出て、児童福祉施設を設置することができる。
 国、都道府県及び市町村以外の者は、命令の定めるところにより、都道府県知事の認可を得て、児童福祉施設を設置することができる。
 児童福祉施設には、児童福祉施設の職員の養成施設を附置することができる。
 市町村は、児童福祉施設を廃止し、又は休止しようとするときは、その廃止又は休止の日の一月前までに、命令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
 国、都道府県及び市町村以外の者は、児童福祉施設を廃止し、又は休止しようとするときは、命令の定めるところにより、都道府県知事の承認を受けなければならない。

第36条〔助産施設〕
 助産施設は、保健上必要があるにもかかわらず、経済的理由により、入院助産を受けることができない妊産婦を入所させて、助産を受けさせることを目的とする施設とする。

第37条〔乳児院〕
 乳児院は、乳児を入院させて、これを養育することを目的とする施設とする。
 前項の規定による養育は、必要があるときは、乳児が満二歳に達するまで、これを継続することができる。

第38条〔母子寮〕
 母子寮は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき児童を入所させて、これらの者を保護することを目的とする施設とする。

第39条〔保育所〕
 保育所は、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設とする。
 保育所は、前項の規定にかかわらず、特に必要があるときは、日日保護者の委託を受けて、保育に欠けるその他の児童を保育することができる。

第40条〔児童厚生施設〕
 児童厚生施設は、児童遊園、児童館等児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設とする。

第41条〔養護施設〕
 養護施設は、乳児を除いて、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護することを目的とする施設とする。

第42条〔精神薄弱児施設〕
 精神薄弱児施設は、精神薄弱の児童を入所させて、これを保護するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設とする。

第42条の2〔精神薄弱児通園施設〕
 精神薄弱児通園施設は、精神薄弱の児童を日日保護者のもとから通わせて、これを保護するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設とする。

第43条〔盲ろうあ児施設〕
 盲ろうあ児施設は、盲児(強度の弱視児を含む。)又はろうあ児(強度の難聴児を含む。)を入所させて、これを保護するとともに、独立自活に必要な指導又は援助をすることを目的とする施設とする。

第43条の2〔虚弱児施設〕
 虚弱児施設は、身体の虚弱な児童に適正な環境を与えて、その健康増進を図ることを目的とする施設とする。

第43条の3〔肢体不自由児施設〕
 肢体不自由児施設は、上肢、下肢又は体幹の機能の障害(以下「肢体不自由」という。)のある児童を治療するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設とする。

第43条の4〔重症心身障害児施設〕
 重症心身障害児施設は、重度の精神薄弱及び重度の肢体不自由が重複している児童を入所させて、これを保護するとともに、治療及び日常生活の指導をすることを目的とする施設とする。

第43条の5〔情緒障害児短期治療施設〕
 情緒障害児短期治療施設は、軽度の情緒障害を有するおおむね十二歳未満の児童を、短期間、入所させ、又は保護者の下から通わせて、その情緒障害を治すことを目的とする施設とする。

第44条〔教護院〕
 教護院は、不良行為をなし、又はなす虞のある児童を入院させて、これを教護することを目的とする施設とする。

第45条〔設備・運営等の最低基準の制定〕
 厚生大臣は、中央児童福祉審議会の意見を聞き、児童福祉施設の設備及び運営、里親の行う養育並びに保護受託者の行う保護について、最低基準を定めなければならない。
 児童福祉施設の設置者並びに里親及び保護受託者は、前項の最低基準を遵守しなければならない。

第46条〔行政庁の監督〕
 行政庁は、前条の最低基準を維持するため、児童福祉施設の長、里親及び保護受託者に対して、必要な報告を求め、児童の福祉に関する事務に従事する職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 第三十四条の四第二項及び第三項の規定は、前項の場合について準用する。
 行政庁は、児童福祉施設の設備又は運営が前条の最低基準に達しないときは、その施設の設置者に対し、必要な改善を勧告し、又はその施設の設置者がその勧告に従わず、且つ、児童福祉に有害であると認められるときは、必要な改善を命ずることができる。
 行政庁は、児童福祉施設の設備又は運営が前条の最低基準に達せず、かつ、児童福祉に著しく有害であると認められるときは、児童福祉審議会(第八条第二項ただし書に規定する都道府県にあつては、地方社会福祉審議会とする。第五十九条第二項において同じ。)の意見を聴き、その施設の設置者に対し、その事業の停止を命ずることができる。

第46条の2〔児童福祉施設の長の受諾義務〕
 児童福祉施設の長は、都道府県知事又は市町村長からこの法律の規定に基く措置のための委託を受けたときは、正当な理由がない限り、これを拒んではならない。

第47条〔児童福祉施設の長の親権代行〕
 児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権を行う者又は後見人のないものに対し、親権を行う者又は後見人があるに至るまでの間、親権を行う。但し、民法第七百九十七条の規定による縁組の承諾をするには、命令の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければならない。
 児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権を行う者又は後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置をとることができる。

第48条〔入所児童の教育〕
 養護施設、精神薄弱児施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設及び肢体不自由児施設の長は、学校教育法に規定する保護者に準じて、その施設に入所中の児童を就学させなければならない。
 教護院の長は、在院中学校教育法の規定による小学校又は中学校に準ずる教科を修めた児童に対し、修了の事実を証する証明書を発行することができる。
 教護院の長は、前項の教科に関する事項については、文部大臣の勧告に従わなければならない。
 第二項の証明書は、学校教育法により設置された各学校と対応する教育課程について、各学校の長が授与する卒業証書その他の証書と同一の効力を有する。但し、教護院の長が第三項の規定による文部大臣の勧告に従わないため、当該教護院における教科に関する事項が著しく不適当である場合において、文部大臣が厚生大臣と協議して当該教護院を指定したときは、当該教護院については、この限りでない。

第49条〔命令への委任〕
 この法律で定めるもののほか、児童居宅生活支援事業及び児童福祉施設の職員その他児童福祉施設に関し必要な事項は、命令で定める。

第4章 費用

第49条の2〔国庫の支弁〕
 国庫は、市町村又は都道府県が、第二十二条から第二十四条まで又は第二十七条第一項第三号に規定する措置により、国の設置する児童福祉施設に入所させた者につき、その入所後に要する費用を支弁する。

第50条〔都道府県の支弁〕
 次の各号に掲げる費用は、都道府県の支弁とする。
一 都道府県児童福祉審議会に要する費用
二 児童福祉司及び児童委員に要する費用
三 児童相談所に要する費用(第九号の費用を除く。)
四 第二十条及び第二十一条の六の措置に要する費用
五 第二十一条の九の措置に要する費用
五の二 第二十一条の十第三項の措置に要する費用
六 市町村が、都道府県の設置する助産施設、母子寮又は保育所について第二十二条から第二十四条までに規定する措置を採つた場合において、入所後の保護につき、第四十五条の最低基準を維持するために要する費用
六の二 都道府県が、第二十二条及び第二十三条本文に規定する措置を採つた場合において、入所に要する費用及び入所後の保護につき、第四十五条の最低基準を維持するために要する費用(国の設置する助産施設又は母子寮に入所させた者につき、その入所後に要する費用を除く。)
七 都道府県が、第二十七条第一項第三号に規定する措置を採つた場合において、入所又は委託(保護受託者に委託する場合を除く。以下同じ。)に要する費用及び入所後の保護又は委託後の養育につき、第四十五条の最低基準を維持するために要する費用(国の設置する乳児院、養護施設、精神薄弱児施設、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、重症心身障害児施設、情緒障害児短期治療施設又は教護院に入所させた児童につき、その入所後に要する費用を除く。)
七の二 都道府県が、第二十七条第二項に規定する措置を採つた場合において、委託及び委託後の治療等に要する費用
八 一時保護に要する費用
九 児童相談所の設備並びに都道府県の設置する児童福祉施設の設備及び職員の養成施設に要する費用

第51条〔市町村の支弁〕
 次の各号に掲げる費用は、市町村の支弁とする。
一 第二十一条の十第一項の措置に要する費用
一の二 市町村が、第二十二条、第二十三条本文及び第二十四条本文に規定する措置を採つた場合において、入所に要する費用及び入所後の保護につき、第四十五条の最低基準を維持するために要する費用(国及び都道府県の設置する助産施設、母子寮又は保育所に入所させた者につき、その入所後に要する費用を除く。)
二 市町村の設置する児童福祉施設の設備及び職員の養成施設に要する費用
三 市町村児童福祉審議会に要する費用

第52条〔国庫の負担額〕
 国庫は、第五十条第九号及び前条第二号の費用に対しては、政令の定めるところにより、その二分の一(第五十条第九号及び前条第二号の費用中、母子寮、保育所、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設及び肢体不自由児施設の設備については、二分の一乃至三分の一)を負担する。但し、第五十条第九号及び前条第二号の費用中、本人及びその扶養義務者において入院のための費用を負担することができない乳児を入院させて、これを養育することを目的とする乳児院以外の乳児院及び児童厚生施設の設備に関するものについては、この限りでない。

第53条〔同前〕
 国庫は、前条に規定するもののほか、第五十条(第一号から第三号まで及び第五号の二を除く。)及び第五十一条(第一号及び第三号を除く。)に規定する地方公共団体の支弁する費用に対しては、政令の定めるところにより、その二分の一を負担する。

第53条の2〔同前〕
 国庫は、第五十条第五号の二及び第五十一条第一号の費用に対しては、政令の定めるところにより、その二分の一以内を補助することができる。

第53条の3〔費用支弁状況の実地調査〕
 厚生大臣は、第五十条第六号から第七号の二まで又は第五十一条第一号の二の費用の支弁が適正に行われているか否かについて、当該職員をして都道府県又は市町村の事務処理状況を、都道府県知事は、第五十一条第一号の二の費用の支弁が適正に行われているか否かについて、当該職員をして、市町村の事務処理状況を、それぞれ実地につき調査させることができる。

第54条〔都道府県の負担額〕
 都道府県は、第五十一条第二号の費用に対して、政令の定めるところにより、その四分の一(母子寮、保育所、精神薄弱児通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設及び肢体不自由児施設の設備については、三分の一乃至四分の一)を負担しなければならない。但し、本人及びその扶養義務者において、入院のための費用を負担することができない乳児を入院させて、これを養育することを目的とする乳児院以外の乳児院及び児童厚生施設の設備に関するものについては、この限りでない。

第55条〔同前〕
 都道府県は、第五十一条第一号の二の費用に対しては、政令の定めるところにより、その四分の一を負担しなければならない。

第55条の2〔同前〕
 都道府県は、第五十一条第一号の費用に対しては、政令の定めるところにより、その四分の一以内を補助することができる。

第56条〔費用の徴収〕

 第四十九条の二に規定する費用を国庫が支弁した場合においては、主務大臣は、本人又はその扶養義務者から、都道府県知事の認定するその負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる。
 第五十条第四号から第七号の二までに規定する費用(同条第四号に規定する費用については、業者に委託しないで補装具の交付又は修理が行われた場合における当該措置に要する費用に限る。)を支弁した都道府県又は第五十一条第一号の二に規定する費用を支弁した市町村の長は、本人又はその扶養義務者から、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる。

 本人又はその扶養義務者が前項の規定により支払うべき旨を命ぜられた額の全部又は一部を指定育成医療機関又は業者に支払つたときは、当該指定育成医療機関又は業者の都道府県に対する当該費用に係る請求権は、その限度において消滅するものとする。
 第三項に規定する措置が行われた場合において、本人又はその扶養義務者が、同項の規定により支払うべき旨を命ぜられた額の全部又は一部を支払わなかつたため、都道府県においてその費用を支弁したときは、都道府県知事は、本人又はその扶養義務者からその支払わなかつた額を徴収することができる。
 第一項、第二項又は前項の規定による費用の徴収は、これを本人又はその扶養義務者の居住地又は財産所在地の都道府県知事又は市町村長に嘱託することができる。
 第一項、第二項又は第五項の規定により徴収される費用を、指定の期限内に納付しない者があるときは、第一項に規定する費用については国税の、第二項又は第五項に規定する費用については地方税の滞納処分の例により処分することができる。この場合における徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。

第56条の2〔都道府県の補助〕
 都道府県は、次の各号に該当する場合においては、第三十五条第四項の規定により、国、都道府県及び市町村以外の者が設置する児童福祉施設について、その新設(社会福祉事業法第二十九条第一項の規定により設立された社会福祉法人が設置する児童福祉施設の新設に限る。)、修理、改造、拡張又は整備に要する費用の四分の三以内を補助することができる。
一 その児童福祉施設が、社会福祉事業法第二十九条第一項の規定により設立された社会福祉法人、日本赤十字社又は民法第三十四条の規定により設立された法人の設置するものであること。
二 その児童福祉施設が主として利用される地域において、この法律の規定に基づく措置を必要とする児童、その保護者又は妊産婦の分布状況からみて、同種の児童福祉施設が必要とされるにかかわらず、その地域に、国、都道府県又は市町村の設置する同種の児童福祉施設がないか、又はあつてもこれが十分でないこと。
 前項の規定により、児童福祉施設に対する補助がなされたときは、厚生大臣及び都道府県知事は、その補助の目的が有効に達せられることを確保するため、当該児童福祉施設に対して、第四十六条及び第五十八条に規定するものの外、左の各号に掲げる権限を有する。
一 その児童福祉施設の予算が、補助の効果をあげるために不適当であると認めるときは、その予算について必要な変更をすべき旨を指示すること。
二 その児童福祉施設の職員が、この法律若しくはこれに基く命令又はこれらに基いてする処分に違反したときは、当該職員を解職すべき旨を指示すること。
 国庫は、第一項の規定により都道府県が補助した金額の三分の二以内を補助することができる。

第56条の3〔補助金返還命令〕
 都道府県は、左に掲げる場合においては、補助金の交付を受けた児童福祉施設の設置者に対して、既に交付した補助金の全部又は一部の返還を命ずることができる。
一 補助金の交付条件に違反したとき。
二 詐欺その他の不正な手段をもつて、補助金の交付を受けたとき。
三 児童福祉施設の経営について、営利を図る行為があつたとき。
四 児童福祉施設が、この法律若しくはこれに基く命令又はこれらに基いてする処分に違反したとき。

第56条の4〔国庫の補助〕
 国庫は、第五十条第二号に規定する児童委員に要する費用のうち、厚生大臣の定める事項に関するものについては、予算の範囲内で、その一部を補助することができる。

第56条の5〔社会福祉事業法の準用〕
 社会福祉事業法第五十六条第二項から第四項までの規定は、国有財産特別措置法(昭和二十七年法律第二百十九号)第二条第二項第一号の規定又は同法第三条第一項第四号及び同条第二項の規定により普通財産の譲渡又は貸付を受けた児童福祉施設に準用する。

第5章 雑則


第57条〔租税・公課の免除〕
 都道府県、市町村その他の公共団体は、左の各号に掲げる建物及び土地に対しては、租税その他の公課を課することができない。但し、有料で使用させるものについては、この限りでない。
一 主として児童福祉施設のために使う建物
二 前号に掲げる建物の敷地その他主として児童福祉施設のために使う土地

第57条の2〔課税及び差押えの禁止〕
租税その他の公課は、この法律により支給を受けた金品を標準として、これを課することができない。
 この法律による支給金品は、既に支給を受けたものであるとないとにかかわらず、これを差し押えることができない。

第58条〔認可の取消し〕

 第三十五条第四項の規定により設置した児童福祉施設が、この法律若しくはこの法律に基づいて発する命令又はこれらに基づいてなす処分に違反したときは、都道府県知事は、同項の認可を取り消すことができる。

第59条〔未認可施設の調査、事業停止、施設閉鎖〕
 行政庁は、児童の福祉のため必要があると認めるときは、第三十六条から第四十四条までの各条に規定する業務を目的とする施設であつて第三十五条第三項の届出をしていないもの又は同条第四項の認可を受けていないもの(前条の規定により児童福祉施設の認可を取り消されたものを含む。)については、その施設の設置者若しくは管理者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員をして、その施設に立ち入り、その施設の設備若しくは運営について必要な調査若しくは質問をさせることができる。この場合においては、その身分を証明する証票を携帯させなければならない。
 第三十四条の四第三項の規定は、前項の場合について準用する。
 行政庁は、第一項に規定する施設について、児童福祉審議会の意見を聴き、その事業の停止又は施設の閉鎖を命ずることができる。

第59条の2〔一部事務組合又は広域連合による福祉事務所の設置とその取扱い〕
 町村が一部事務組合又は広域連合を設けて福祉事務所を設置した場合には、この法律の適用については、その一部事務組合又は広域連合を福祉事務所を設置する町村とみなす。

第59条の3〔措置権者の変更〕
 町村の福祉事務所の設置又は廃止により第二十二条及び第二十三条に規定する措置を採るべき都道府県又は市町村に変更があつた場合においては、この法律又はこの法律に基づいて発する命令の規定により、変更前の当該措置を採るべき都道府県又は市町村の長がした処分その他の行為は、変更後の当該措置を採るべき都道府県又は市町村の長がした処分その他の行為とみなす。ただし、変更前に行われ、又は行われるべきであつた措置に関する費用の支弁及び負担については、変更がなかつたものとする。

第59条の4〔大都市の特例〕
 この法律中都道府県が処理することとされている事務又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員の権限に属するものとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下本条中「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下本条中「中核市」という。)においては、政令の定めるところにより、指定都市若しくは中核市(以下本条中「指定都市等」という。)が処理し、又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員が行うものとする。この場合においては、この法律中都道府県又は都道府県知事その他の都道府県の機関若しくは職員に関する規定は、指定都市等又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員に関する規定として指定都市等又は指定都市等の長その他の機関若しくは職員に適用があるものとする。
 前項の規定により指定都市等の長がした処分に係る審査請求についての都道府県知事の裁決に不服がある者は、厚生大臣に対して再審査請求をすることができる。

第59条の5〔本法における行政庁〕
 この法律で行政庁とは、厚生大臣又は都道府県知事とする。

第60条〔罰則〕

 第三十四条第一項第六号の規定に違反した者は、これを十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 第三十四条第一項第一号から第五号まで若しくは第七号から第九号まで又は同条第二項の規定に違反した者は、これを一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、前二項の規定による処罰を免かれることができない。但し、過失のないときは、この限りでない。
 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第一項又は第二項の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても、各同項の罰金刑を科する。但し、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者の当該違反行為を防止するため当該業務に対し相当の注意及び監督が尽されたときは、その法人又は人については、この限りでない。

第61条〔守秘義務違反〕
 児童相談所において、相談、調査及び判定に従事した者が、正当の理由なく、その職務上取り扱つたことについて知得した人の秘密を漏らしたときは、これを六箇月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

第62条〔職務妨害・届出懈怠〕
 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
一 正当の理由がないのに、第二十九条の規定による児童委員若しくは児童の福祉に関する事務に従事する吏員の職務の執行を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又はその質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は児童に答弁をさせず、若しくは虚偽の答弁をさせた者
二 第三十条第一項に規定する届出を怠つた者
三 正当の理由がないのに、第五十九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、同項の規定による立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

第62条の2〔事業停止・施設閉鎖命令違反〕

 第四十六条第四項又は第五十九条第二項の規定による事業の停止又は施設の閉鎖の命令に違反した者は、これを六月以下の懲役若しくは禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。

附 則

第63条〔施行期日〕
この法律は、昭和二十三年一月一日から、これを施行する。但し、第十九条、第二十二条から第二十四条まで、第五十条第四号、第六号、第七号及び第九号(児童相談所の設備に関する部分を除く。)、第五十一条、第五十四条及び第五十五条の規定並びに第五十二条、第五十三条及び第五十六条の規定中これらの規定に関する部分は、昭和二十三年四月一日から、これを施行する。

第63条の2〔養護施設等での在所期間の特例〕
都道府県は、第三十一条第一項の規定にかかわらず、当分の間、第二十七条第一項第三号の規定により精神薄弱児施設(国の設置する精神薄弱児施設を除く。)に入所した児童であつてその障害の程度が重度であるものについて、引き続いて入所させておかなければその者の福祉を損なうおそれがあると認めるときは、満二十歳に達した後においても、引き続きその者をその施設に在所させる措置を採ることができる。
 都道府県は、第三十一条第二項の規定にかかわらず、当分の間、第二十七条第一項第三号の規定により肢体不自由児施設に入所した児童又は同条第二項の規定による委託により指定国立療養所等に入所した第四十三条の三に規定する児童であつてその障害の程度が重度であるものについて、引き続いて入所させておかなければその者の福祉を損なうおそれがあると認めるときは、満二十歳に達した後においても、引き続きその者を肢体不自由児 前二項に規定する措置は、この法律の適用については、第二十七条第一項第三号又は第二項に規定する措置とみなす。
 第一項又は第二項の場合においては、都道府県知事は、児童相談所長の意見を聞かなければならない。

第63条の3〔児童福祉施設入所の年齢制限の特例〕
 都道府県は、当分の間、必要があると認めるときは、重度の精神薄弱及び重度の肢体不自由が重複している満十八歳以上の者について、その者を重症心身障害児施設に入所させ、又は指定国立療養所等に対し、その者を入所させて治療等を行うことを委託することができる。
 前項に規定する措置は、この法律の適用については、第二十七条第一項第三号又は同条第二項に規定する措置とみなす。

第63条の4〔一五歳以上の身体障害児童についての措置の特例〕
 児童相談所長は、当分の間、第二十六条第一項に規定する児童のうち身体障害者福祉法第十五条第四項の規定により身体障害者手帳の交付を受けた十五歳以上の者について、同法第五条第一項に規定する身体障害者更生援護施設に入所させることが適当であると認めるときは、その旨を同法第九条に規定する援護の実施者に通知することができる。

第63条の5〔一五歳以上の精神薄弱児童についての措置の特例〕
 児童相談所長は、当分の間、第二十六条第一項に規定する児童のうち十五歳以上の者について、精神薄弱者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第二十一条の五に規定する精神薄弱者更生施設又は同法第二十一条の六に規定する精神薄弱者授産施設に入所させることが適当であると認めるときは、その旨を同法第九条に規定する援護の実施者に通知することができる。

第64条 〔省略〕

第65条〔旧法の廃止〕
 児童虐待防止法及び少年教護法は、これを廃止する。但し、これらの法律廃止前に、なした行為に関する罰則の適用については、これらの法律は、なおその効力を有する。

第66条から第70条まで 〔省略〕

第71条 削除〔昭三九法一六九〕

第72条〔禁止行為の一部適用除外〕
 満十四歳以上の児童で、学校教育法第九十六条の規定により、義務教育の課程又はこれと同等以上と認める課程を修了した者については、第三十四条第一項第三号から第五号までの規定は、これを適用しない。

附 則〔抄〕(平成二年六月二九日・法律第五八号)
(施行期日)

第1条  この法律は、平成三年一月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 〔省略〕
二 〔前略〕第七条中児童福祉法第五十条から第五十三条の二までの改正規定、同条を第五十三条の三とし、第五十三条の次に一条を加える改正規定、同法第五十五条の改正規定、同条の次に一条を加える改正規定及び同法第五十六条の改正規定〔中略〕 平成三年四月一日
三 〔省略〕
(児童福祉法の一部改正に伴う経過措置)

第17条  この法律の施行の際現に第七条の規定による改正後の児童福祉法(以下この条において「新法」という。)第六条の二に規定する児童居宅生活支援事業を行っている国及び都道府県以外の者について新法第三十四条の三第一項の規定を適用する場合においては、同項中「あらかじめ」とあるのは、「老人福祉法等の一部を改正する法律(平成二年法律第五十八号)の施行の日から起算して三月以内に」とする。
(罰則に関する経過措置)

第21条  この法律の施行前にした行為及びこの法律の附則において従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
(その他の経過措置の政令への委任)

第22条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附 則〔抄〕(平成五年一一月一二日・法律第八九号)
(施行期日)

第1条  この法律は、行政手続法(平成五年法律第八十八号)の施行の日から施行する。
(諮問等がされた不利益処分に関する経過措置)

第2条  この法律の施行前に法令に基づき審議会その他の合議制の機関に対し行政手続法第十三条に規定する聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続に相当する手続を執るべきことの諮問その他の求めがされた場合においては、当該諮問その他の求めに係る不利益処分の手続に関しては、この法律による改正後の関係法律の規定にかかわらず、なお従前の例による。
(政令への委任)

第15条 附則第二条から前条までに定めるもののほか、この法律の施行に関して必要な経過措置は、政令で定める。
附 則〔抄〕(平成六年六月二九日・法律第四九号)
(施行期日)
1 この法律中、第一章の規定及び次項の規定は地方自治法の一部を改正する法律(平成六年法律第四十八号)中地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二編第十二章の改正規定の施行の日から、第二章の規定は地方自治法の一部を改正する法律中地方自治法第三編第三章の改正規定の施行の日から施行する。
附 則〔抄〕(平成六年六月二九日・法律第五六号)
(施行期日)

第1条  この法律は、平成六年十月一日から施行する。〔後略〕
(その他の経過措置の政令への委任)

第67条  この附則に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。
附 則〔抄〕(平成六年七月一日・法律第八四号)
(施行期日)

第1条 この法律は、公布の日から施行する。ただし、〔中略〕第五条〔中略〕の規定〔第一八条の三第三号の改正、第一九条二項の追加〕は平成九年四月一日から施行する。

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