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新ゴールドプラン(全文)


高齢者保健福祉推進10か年戦略の見直し(新ゴールドプラン)

[平成6年12月18日大蔵・厚生・自治3大臣合意]

<見直しの基本方向>

◯今後取り組むべき高齢者介護サーピス基盤の整備に関する施策の基本的枠組み

<基本理念>

 全ての高齢者が心身の障害をもつ場合でも尊厳を保ち,自立して高齢期を過ごすことのできる社会を実現していくため,高齢期最大の不安要因である介護について,介護サーピスを必要とする人誰もが,自立に必要なサービスを身近に手に入れることのできる体制を構築する。
  1. 利用者本位・自立支援
     個々人の意思を尊重した利用者本位の質の高いサービス提供を通じ,高齢者の自立を支援する。
  2. 普遍主義
     支援を必要とする高齢者に対して,必要なサービスを提供する。
  3. 総合的サービスの提供
     在宅ケアを基本に,保健・医療・福祉を通じ高齢者の多様なニーズに的確に応えることのできる効率的・総合的サービスを提供する。
  4. 地域主義
     市町村を基本に,住民に最も身近な地域において必要なサーピスをきめ細かく提供できる体制づくりを行う。

    <施策の目標>

    I 高齢者介獲サービス基盤の総合的整備

    1. 地域における高齢者介護サービスの充実
      (1)在宅サービス
       @ホームヘルプサービスについて,休日を含めた24時間対応へルパー(巡回型)の普及を図る。
       Aショートスティの計画利用の普及など利用の一層の弾力化を図るとともに,老人保健施設の短期利用(短期入所ケア)の促進を図る。
       Bデイサービスセンターの設置要件を緩和し,小規模デイサービスセンター等の設置を促進する。
       C在宅サービスの複合化・ネットワーク化等を進めるとともに,保健福祉サービス情報提供支援システムの普及等により,在宅介護支援センターの総合相談・ケアマネジメント機能の強化を図る。
       D寝たきり老人在宅総合診療科の普及などかかりつけ医の充実強化を図り,在宅医療を推進する。
       E在宅福祉事業者に係る規制を緩和し,実施主体の拡大を図る。
       F在宅・施設を通じ,利用者の立場に立ったサービスの質の評価を実施するとともに,高齢者に対して通切なケアを提供するため.個々の高齢者に対してケアプランを策定することを推進する。
      (2)施設サービス
       @老人の心身特性にぶさわしい充実した療養環境と介護力を整えた老人病棟の整備を推進する。
       A特別養護老人ホームにおける基準面積の拡大(個室化の推進)や老人病棟における食堂・談話室の整備など,施設・病院における療養環境の改善を推進し,高齢者の生活の継続性を尊重した施設環境の整備を推進する。
       B介護機器など福祉用具の積極的導入による施設機能の近代化,白立支援機能の強化を推進する。
       C小規模持別養護老人ホームの整備等都市部における施設整備促進のための支援策を講じる。
       D保育所・老人福祉センター・市町村保建センター等他の保健福祉施設や地域の公共施設との複合的整備,余裕教室の活用等を推進する。
       E国立病院・療養所の再編成に伴う土地・建物を老人保健施設等の整備に活用する。

    2. 要援護高齢者の自立支援施策の総合的実施
      (1)「新寝たきり老人ゼロ作戦」の展開
       @寝たきりを予防し,高齢者の自立を積極的に支援する観点から,地域におけるリハビリテーション実施体制の強化を図る。
       このため,市町村保健センターを中心に地域リハビリテーション事業を推進する。
       A脳卒中,骨折等の予防のための保健事業の充実を図る。
       B地域における高齢者保健サービスの展開拠点として,市町村保健センターの整備を推進する。
       C地域において寝たきり老人の予防・在宅療養指導,痴呆性老人の在宅療養指導等を担うマンパワーとして,市町村保健婦の確保を図る。
      (2)健康自立支援事業の実施
       高齢者が積極的な高齢期を過ごすための健康自立支援事業を展開する。
      (3)配食サービス・緊急通報システムの推進
       在宅の虚弱老人を対象とした配食サービス事業・在宅の一人暮らし老人を対象とした緊急通報システムの普及を図る。

    3. 痴呆性老人対策の総合的実施
      (1)知識の普及・啓発,相談・情報提供体制の整備
       @痴呆に関する知識普及を進める。
       A在宅介護支援センター・老人性痴呆疾患センター・市町村保健センター等地域における相談機関相互の連携を強化する。
       B老人性痴呆疾患センターの整備を推進する。
      (2)発症予防,早期発見・早期対応
       かかりつけ医や保健婦,介護職員等を対象とした痴呆研修を実施し,痴呆の予防,早期発見・早期対応の体制を確立する。
      (3)痴呆性老人の治療・ケアの充実
       @既存の高齢者保健医療福祉サーピスにおける痴呆性老人の受け入れ等を一層促進する。
       A痴呆性老人専門デイサーピス・デイケア施設の整備を推進する。
       B老人保健施設における痴呆専門病棟等の整備を推進する。
       C老人性痴呆疾患治療病棟・療養病棟の整備を推進する。
       D小規模な共同生活の場(グループホーム)や身近な場での小規模デイサービスなど在宅を基盤としたケアサービスの充実を図る。
      (4)痴呆に関する治療法の確立・調査研究の推進
       @痴呆性老人の実態把握を進めるとともに,長寿科学研究の一環として,痴呆の本態解明,治療法の確立等のための調査研究を推進する。
       A痴呆性老人のケア手法・処遇技術の開発を進める。
      (5)痴呆性老人の権利擁護
       法制面での対応を含め,痴呆性老人の権利擁護のためのシステムを検討する。

    4. 高齢者の社会参加・生きがい対策の推進

      「高齢者の生きがいと健康づくり推進事業」の効果的実施を図るとともに,老人クラブ活動の支援等を通じ高齢者の社会参加を推進する。

    II 介護基盤整備のための支接施策の総合的実施

    1. 高齢者介護マンパワーの養成・確保対策の推進
      (1)養成施設の整備
       OT・PT養成施設,介護福祉士養成施設及び看護婦養成所における在宅看護教育施設の整備を推進する。
      (2)資質の向上・研修体制の整備
       ホームヘルパー養成研修,新任施設職員研修及び訪問看護婦従事者養成研修の充実を図るとともに,在宅医療支援研修センターの整備を推進する。
      (3)良質な人材確保のための職場環境の整備業務の省力化・勤務時間の短縮・福利厚生の充実による保健福祉関係職員の職場環境の整備を進め,良質な人材の安定的確保を図る。

    2. 福祉用具の開発・普及の推進
      (1)福祉用具の研究開発の促進
       高齢者・障昔者の自立の促進と介護者の負担の軽減を図る観点から,福祉用具の研究開発を促進する。
       このため,長寿社会福祉基金の運用益による研究開発支援を行うとともに,国においても,国立身体障害者リハビリテーションセンターにおける介護機器等研究事業の推進を図る。
      (2)福祉用具の普及促進
       @福祉用具の普及促進を図るため,介護実習・普及センターを全国59カ所に整備するとともに,福祉用具の相談・情報提供・展示等の事業を推進する。
       A在宅要介護者の自立を支援する観点から日常生活用具給付等事業を抜本的に見直し,自立支援を必要とする全ての高齢者が個々のニーズに合った適切な福祉用具を選択することのできるシステムを構築する。
       B施設・病院における介護業務の省力化などを通じた施設機能の近代化やリハピリテーションの充実等による入所者の自立支援機能を進めていくため,施設・病院への福祉用具の積極的導入を図る。

    3. 国民に利用しやすいサービス提供体制の総合的整備
       市町村が行なうべき住民への高齢者関連総合情報の提供について,在宅介護支援センター等を中心としてその具体的展開を図る。このため,在宅介護支援センターの整備を図るとともにその情報提供機能を充実強化する。
       また,在宅保健サービスの利用状況や,サービス利用者の状況等を検索する,より実用的なシステムの開発を進める。

    4. 民間サービスの活用等サーピス供給の多様化・弾力化
      (1)多様化し増大する高齢者の介護サービスニーズに対応し,利用者の選択による自由なサーピス利用を推進していくとともに,健全な競争を通じた効率的かつ良質な介護サービスの供給を推進するため,公的サービスに加え,民間サービスの積極的活用によるサービス供給の多様化・弾力化を推進する。
       このため,
       @介護サービスの実施主体に関する規制の緩和
       A優臭民間事業者への事業委託の推進
       等を進める。
      (2)民間サービスの質を確保する観点から,シルバーマーク制度の普及等サービス評価体制の確立を図る。

    5. 長寿科学研究の総合的推進
       基礎分野から予防法・治療法の開発,看護・介護分野,さらには社会科学分野までの総合的な長寿科学に関するプロジェクト研究を実施する。

    6. 住宅対策・まちづくりの推進
      (1)高齢者・障害者に配慮した住宅の整備
       @ケアハウスや高齢者向け公共賃貸住宅の整備を推進する。
       A小規模ケアハウスの整備促進等都市部におけるケアハウス整備促進のための支援策を講じる。
       B高齢者・障害者に配慮した民間住宅の整備促進を図るため,住宅の新築・増改築に対する政策融資等の充実や集合住宅を含む高齢者・障害者に配慮した住宅を供給する民間事業者に対する政策融資等を実施する。
       C高齢者等に配慮した住宅マニュアル・住宅設計指針を策定するとともに,リフォームヘルパー等の増改築の専門家の充実を図る。
      (2)生活支援機能の付加された高齢者向け住宅の整備
       @ホームヘルパーステーション・デイサービスセンター等を付設したケアハウス(介護対応型ケアハウス)の整備を進める。
       Aシルバーハウジングやシニア住宅の整備,公共賃貸住宅とデイサービスセンターの一体的整備など,住宅と在宅福祉サービスの連携による生活支援機能の付加された住宅の整備を推進する。
      (3)高齢者・障害者に配慮されたまちづくりの推進
       @「障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業」の一層の推進を図る。
       A民間事業者による老後の保健及び福祉のための総合的施設の整備を促進する。
       B公共的建築物や道路など公共的空間のバリアフリー化を推進するなど,高齢者・障害者にも住みよいまちづくりを避める。

    7. ポランティア活動・福祉教育・市民参加の推進
      (1)ボランティア活動・福祉教育の推進
       ボランティア活動を支援するボランティアセンター事業の充実を図るとともに,地域福祉センター等拠点施設の整備を進める。
       また,学童・生徒のボランティア活動の一層の推進を図る。
      (2)市民参加の推進
       国民誰もが介護に関する実践的な知識・技術を身につけていくための施策の充実を図る。

    <施策の実施>

     これらの目標を具体化するために,国,都道府県,市町村等がそれぞれの役割を踏まえ,適切に事業を実施するとともに,地方公共団体が地域の特性に応じて自主的に行なう高齢者介護施策を支援する。

    <今後の税制改革等との関連>


    Last update:Feb-23-97 / T.Takeda(Aries) をもとに作成したものである。


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