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      「借金一本化してあげます。お電話を」

  「整理屋」忍び寄る

 

  多重債務者の手数料詐取

「朝日新聞」1999年 5月 1日」



埼玉弁護士会 トラブル増え無料相談を開始  

 


 複数の消費者金融からお金を借りて返済に苦しん でいる多重債務者に「返済しやすいよう借金を一本 化してあげる」などと言葉巧みに近づき、中には弁 護士と結託して、多額の手数料をせしめる「整理 屋」をめぐるトラブルが県内でも目立ち始めた。東 京では「整理屋」に関与したとして処分された弁護 士も出た。埼玉弁護士会は、「他人に知られたくな いと泣き寝入りしている人もいるはず。ぜひ相談 を」と多重債務者のための定期無料相談を始めた。

 「借金を一本化してあげ ます。お電話を」。大宮市 に住む女性(三五)は自宅のポ ストに入っていた一枚のチ ラシに目を引かれた。
 女性は消費者金融八社か らの借金が計二百万円にも 達し、月々の支払いが二十 万円になっていた。八年前 に友人に頼まれて消費者金 融から九十万円を借りたの がきっかけ。友人は失そう し、自分も病気で入院する などの不運が重なった。
 すがる思いでチラシに書 かれた会社をたずねた。初 老の男性が「良い弁護士を 紹介しましょう」。弁護士 事務所と称する所に連れて 行かれ、応対した男性が言 うままに八社の借金を一本 化して月七万四千円ずつ返 済する計画を立てた。その 際、弁護士費用の話はなか ったという。
一年問返済を続けた女性 は、「弁護士事務所」に明 細書を請求した。すると、 支払った約八十万円は「弁 護士費用だ」と言われ、借 金総額は逆に二百二十万円 に膨らんでいた。弁護士だ と思っていた男性は弁護士 でないことがわかった。女 性は、「正真正銘」の弁護 士に相談し、自己破産の手 続きを取ったという。
 女性は「毎日のように返 済期日がきて、借りては返 すという繰り返し。精神的 に追いつめられ、甘い言葉 に乗ってしまった」と振り返る。
 依頼を受けて消費者金融 に働きかけ、多重債務の支 払いを整理することは弁護 士活動として行える。しか し、弁護士費用を十分に払 える債務者は少なく、弁護 士側もあまり引き受けたが らないのが実情。多重債務 者のこうした弱みにつけこ み、弁護士活動を代行する ように見せかけて高額の手 数料をせしめるのが「整理 屋」の手口だ。弁護士以外 の人が弁護士活動をした り、それに加担したりした 弁護士はいずれも弁護士法 違反で処分されるが、弁護 士の中には、「整理屋」の ために名義や事務所を貸す 悪質な人もいるという。
 埼玉弁護士会によると、 被害件数やくわしい実態は 不明だが、長引く不況を背 景に、多重債務にかかわる 相談は増加傾向にあるとい う。
消費者金融問題にくわ しい大宮市の弁護士は「整 理屋にだまされ自己破産し た被害者も多いはず」と語 る。

 同弁護士会は、「相談窓 口が少なかったことも被害 増加の一因」と、四月から 多重債務に苦しむ人たちの ための無料相談窓口を定期 的に開設した。
問い合わせ は同弁護士会(048・863・5262)へ。



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