こだわりの課題へ 戻ります

「北陸中日新聞」1999年 4月 15日(木曜日)



   

       周囲の支援が重要

   「新たな”友”増やしたい」  


 

 いよいよ、北陸三県初のNPO法人が誕生することになった。金沢市みどりのグループホーム「菜の花」の法人設立が十四日、認証され、登記の手続きが終われば正式な法人となる。  

NPO法の施行から四カ月余−。県内のNPO関係者も″第一号″の誕生を喜び、エールを送る。時代の要請だった、とも言われるNPOの波。北陸でも新しい一歩が踏み出された。  

 「本当は入り口に立ったというだけ。法人の運営を軌道に乗せていくのが、これからの大きな課題です」。県庁で田川匡士県民文化局次長から認証書を受け取った「菜の花」の岩田京子代表は、喜びの表情を引き締めた。  

 市民団体などに法人格を与えて、活動を支援しようというNPO法が施行されたのは、昨年十二月。同時に、設立認証を得るための申請が全国で始まった。  

 今月九日現在で申請を出しているのは、全国で計四百七十一団体、認証されたのは七十八団体となっている(表参照=「菜の花」の認証は含まれていない)。  

 申請後、定款などの縦覧や審査が各県や経済企画庁で行われているため、これから認証を得る団体が続々と出てくることが予想される。  

 県内では現在、中島町の「三美会」も申請を出している。ほかにも申請に向けて総会を開くなどした団体もあり、動きは広がってきた。一方で、NPO法人になるメリットがあまりないことなどについて、論議を重ねている団体もある。  

 というのも、NPO法は団体に法人格を与えるだけのもので、税制上の優遇措置などはこれからの議論にゆだねられているからだ。  

 北陸NPO研究会の浜博一さん=七尾市=は「いよいよNPOが社会事業に参画し、試される時期に入る。多様な価値観のある社会の始まりといえる。NP O法人は経営感覚なども試されることになるが、この動きを大事にして、周囲がさまざまな形で支援していくことが重要だ」と話す。  

 ボランティア活動研究所長でサロン・ド・NPO世話人の須戸哲さん=小松市=は、″第一号″認証を喜びながら「あまりメリット・デメリットにとらわれず、市民活動が根付いていることを社会に示していくためにも、どんどん法人格を取る団体がでてきてほしい」と訴える。 岩田さんも、まず法人格を取り、動きながら法改正などに声を上げていこうと呼び掛けている。  

 もちろんすべての市民団体に法人格が必要なわけではない。が、法人格を取り、社会的な信用と責任を背負いながら活動する団体が次々と生まれ育っていくことで、地域社会にも新しい息吹が生まれてくるのではないか。NPO法人の誕生で何がどう変わるのか−、その答えが出るのは、もう少し先だ。  

 「NPO法人の″友″がどんどん出てきてほしい」。「菜の花」では、そんな思いを込めて「友引」の日に、法人の登記をするつもりだという。  

  (報道都・吉枝道生)    



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