「北陸中日新聞」９９年　４月　９日（金）

　学習指導要領に従い、入 学式で日の丸掲揚と君が代 斉唱を実施しようとする校 長側と、手づくりの記念行 事だけの開催を求める生徒 側の対立が続いている埼玉 県立所沢高校（長沢攻校 長）で九日、校長主催の 「入学式」と生徒が運営す る「入学を祝う会」が開か れ、入学式は二年連続「分 裂開催」となった。　

　しかし、入学式には昨年 の約六割を上回り、新入生 四百一人の約九割、三百六 十七人が出席するなど、対 決ムードは薄らいだ。　

　入学式では壇上の日の丸 を前に全員起立して君が代 を斉唱、長沢校長は欠席者 を含め全員の入学を認め た。　

　続いて開かれた「入学を 祝う会」には新入生ほぼ全 員が参加。学校生活を紹介 するスライドが上映され、 在校生から歓迎の言葉が贈 られた。　

　「生徒の自主性尊重とい う伝統を守ってきた先輩を 支持する」と入学式を欠席 する新入生もいたが、大多 数は「双方の考え方を理解 したい」　「入学を許可され なかったら因る」と両方の 式に参加した。　

　対立の発端は、一九九七 年四月の入学式で着任直後 の内田達雄前校長が強行し た日の丸掲揚と君が代斉 唱。反発した生徒多数が昨 春の卒業式と入学式をボイ コツト、生徒独自の記念行 事を開いた。今年三月の卒 業式も卒業生の七割が欠席 した。　

日の丸、君が代問題で分裂開催となった埼 玉県立所沢高校の入学式に向かう新入生ら ＝9日午前8時30分、埼玉県所沢市で

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