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    「しんぶん 赤 旗」99年 4月 10日

埼 玉 所沢高で生徒主催「入学祝う会」

新入生全員が出席

 

 埼玉県教育委員会と校長の 「日の丸・君が代」強制が問 題化している県立所沢高校 (長沢攻校長)で九日、「入 学式」と生徒の主催する「入 学を祝う会」がおこなわれま した。 

 「入学を祝う会」には四百 一人の新入生全員が出席。参 加者によると、手作りのアー チをくぐって入場した新入生 が、クラスごとに登壇して紹 介され、在校生は大きな拍手 で歓迎。新入生代表の男子生 徒が「中学のときに所高祭を 見て「とてもよい学校だと思 いました。自由というイメー ジが強いけど、責任をもって 行動し、自分の考えをはっき りいえる人間に成長してい きたい」とあいさつしまし た。 

 校門を出てきた生徒たちは 「明るくて楽しい会だった」 「生徒自身がやっていてよか った。私もやってみたい」と 語っていました。 一方、祝う会に先立って開 かれた「入学式」は新入生の 約一割が欠席。演壇わきのス タンドに「日の丸」が掲揚さ れ、「君が代」のテープが流 されて「国歌斉唱」がおこな われました。 

 同校では「日の丸・君が代」 のない「祝う会だけをおこな う」とした生徒総会と職員会 議の意思を無視して、内田達 雄前校長が「入学式」を強行。 四月に着任した長沢新校長も これを引き継ぎました。昨年 は、事前の入学説明会で生徒 代表が新入生に経緯などを説 明しましたが、今年は校長が 認めなかったため、新入生が 生徒からの説明を聞ける場が ありませんでした。 

 ある新入生の母親は「祝う 会は生徒が一生懸命やってい るようすがわかってよかっ た。校長先生も上からいろい ろ指示されてやっているので しょうが、こういう落ちつか ない状態のままでは不安。子 どもたちが安心して気持ちよ く通えるように早くなってほ しいと思います」と語ってい ました。 

 

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「解説」 

不正常な状態の原因は 「日の丸・君が代」強制に  

 

所沢では十年前、文部省が「日 の丸・君が代」の押しつけを 強めたとき、生徒たちが時間 をかけて論議を重ねました。 その結論として、九〇年二月 の生徒総会で、校内での「日 の丸・君が代」の強制に反対 する「『日の丸・君が代』に かんする決議文」を採択しま した。 

 決議文は、「日の丸・君が 代」は法律上も国旗・国歌と は定められおらず、「所高生 一人一人の中での解釈も賛成 ・反対その他様々です」とし、 それを「強要するということ は、私達一人一人の意志を全 く無視した行為」であり、教 育基本法や憲法を侵すものだ と、強制反対の理由をのべて います。 

 この決議文は毎年の生徒総 会で確認されて職員会議もそ れを承認し、「日の丸」 「君 が代」のない卒業式・入学式 が混乱なくおこなわれてきま した。 

 混乱が起きたのは、九七年 四月の入学式でした。赴任し たばかりの内田達雄校長(当 時)が管理職三人だけで式を 始め、「日の丸」掲揚と「君 が代」斉唱を強行。教職員を 排除した式で不手際が相次 ぎ、生徒や保護者から抗議さ れる始末でした。 

 その後、生徒たちは混乱を 繰り返さないためにと話し合 い、「卒業式」 「入学式」に 代えて生徒主催の「卒業記念 祭」 「入学を祝う会」をおこ なうことを総会で決め、職員 会議でも承認されました。し かし内田校長は「日の丸・君 が代」のある「式」に固執し て強行。そのため卒業・入学 の行事が二つずつあるという 事態になったのです。 

 「日の丸・君が代」の完全 実施を求める文部省の意を受 け、埼玉県教育委員会は昨年 度六人、今年度三人の管理職 試験合格者を同校に送り込み ました。今年度はさらに、内 田氏を県教委参事に″栄転″ させ、県教委高校教育第一課 の主席管理主事として所沢高 校を「指導」する立場だった 長沢攻氏を新校長にすえ、教 頭を二人にする異常な管理体 制をとっています。 

 また、埼玉県議会ではこの 間、自民党議員が「(生徒が) 決められた国旗や国歌に反対 するなど許されることではな い」などの質問を繰り返して います。 

 これらすべての経過は、不 正常な状態をつくり出してい るのはあらゆる手段を使って 「日の丸・君が代」を学校現 場に押しっけている、文部省 ・県教委や自民党であること を示しています。 

    (高間史人記者)



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