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      サラ金多重債務

  自己破産が急増


「北陸中日新聞」1998年10月28日」


 

  目立つ”生活苦型”
「まず専門家に相談を」  

 

 

 

 消費者金融やクレジットを利用して多重債務に陥り、自己破産する人が急増している。最高裁判所のまとめによると、ことしに入ってから八月末までの自己破産の申立件数は、昨年を四割以上も上回り、年間十万件に達するペース。 長引く景気低迷で、生活苦型や、中小企業経営者の自己破産も目立っている。 (境田 未緒)  

 

 個人の自己破産申し立て は、バブル経済崩壊後に急 増。不況が深刻化した昨年 は七万件を突破し、ことし は八月末現在ですでに六万 四千六十九件。九年前の十 倍という勢いで伸びてい る。 

 日本クレジットカウンセ リング協会に 九七年度、寄 せられた電話 相談(八千九 百四十九件) のまとめによ ると、多重債務に陥った原 因は、「遊興費・飲食・交 際費」が三四%で相変わら ず一位だったが、「生活費」 が二五%で前年度の三位か ら、「ぜいたく品・収入以 上の買い物」を抜いて二位 に上がった。 

 本年度も相談件数は増加 傾向にあり、住宅ローンを 抱えたまま失業したり、ボ ーナスが出ないため家計の やり繰りが苦しくなったな ど、生活苦によるものが目 立つ。相談者の年齢層も三 十歳以上の中高年層の割合 が高くなってきた。 

 同協会の坂本吉三専務理 事は「中高年層は家庭崩壊 につながることもあり、自 殺を図るなど、深刻なケー スも増えている」と話す。 

   ◇  ◇ 

 こうした事態を受けて、 全国クレジット・サラ金問 題対策協議会『全国クレジ ット・サラ金被害者連絡協 議会は、クレサラ被害撲滅 を訴えて、北海道から日本 縦断キャラバンを実施して いる。 

 先ごろ、愛知県を訪れた キャラバンは、多重債務者 らの救済活動を進めている 「愛知かきつばたの会」の 拡大集会に合流して、クレ サラ被害の実情などを報告 した。 

 同会によると、最近多い のが家族ぐるみで多重債務 に陥るケース。 

 中部地方のある五十代の 夫婦は、妻がやり繰りに困 って五万円、十万円と消費 者金融から借りた。次第に 利息などが膨らみ、返済の ために会社員の夫もサラ金 に借金。ついには成人の子 どもたちの名義でも借金し て、サラ金 からの借り 入れは、家 族全員で一 千万円を超 えた。 

 愛知かき つばたの会 事務局長で 司法書士の 水谷英二さ んは「米国 やドイツなどと比べ、日本 のサラ金の貸付金利が高す ぎるのも被害拡大の一因」 と指摘する。 

 大手サラ金の貸出金利は 年二十数%。中小サラ金は 出資法で定める上限金利の 年四〇%ほど。大手サラ金 への借金でも、住宅ローン の約十倍の金利となり、三 百万円借りれば、毎月の支 払いは、三千万円ほどの住 宅ローンを組んでいるのと 同じことになるという。  また、中小企業向けのロ ーンも、銀行 の貸し渋りな どがあって増 加。運転資金 調達に追われ る事業主の弱 みに付け込み、法外な高金 利で貸し付けるヤミ金融も 増え、結局、会社は倒産、 本人は自己破産に至るケー スも多い。 

   ◇  ◇ 

 十一月六日の沖縄ゴール まで続くクレサラキャラバ ンは、これらの悲劇をなく すため▽多重債務の実態調 査▽被害者の生活再建に役 立つ破産法の改正▽過剰融 資に対する対策▽貸付金利 の引き下げ−などを求める 署名活動を繰り広げてい る。 

 もしサラ金などからの借 金が返済能力を超えてしま ったら−水谷さんは「一 人で苦しまず、専門家に相 談して返済計画などを考え て」とアドバイスしてい る。 

 愛知かきつばたの会事務 局は 

電話052(916)9131。  



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