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    新日本婦人の会発行
「新婦人しんぶん」98年 8月 6日(木)発行

「所沢高校」”自主・自立・自由 の校風を守りたい

竹永先生への処分を取り消せ

 

 

 卒業記念祭と入学を祝う会を生徒の力でつくりあげた、あの”所沢高校”を覚えているでしょうか(本紙四月三十日号掲載)。
実はあの事件のさなか、埼玉県教育委員会は、同校の竹永公一教諭を「地方公務員にあるまじき行為」を理由に「三ヵ月の昇給延伸」を伴う戒告処分にしていたのです。
「所沢高校教論への不当処分撤回を支援する会(支援する会)」が、七月二十六日、総会と報告集会を開きました。
 

 

何があったの?

 ことは今年の三月十八日に開催された入学許可候補者説明会。
 九日前の三月九日、生徒たちが長い時間をかけ、討議と準備を重ねて、ほぼ全員の参加で成功させた生徒主催の卒業記念祭がおこなわれたばかり。
 校長が主催した卒業式には、卒業生の出席はわずか二十人でした。マスコミ報道もさかんにおこなわれ、入学式はどうなるのか、学校の説明が注目されていました。が、校長は「入学には校長がおこなう入学式で許可を受けることが必要、『入学を祝う会』は、四月九日の入学式の終了後に実施する」と、入学式への出席を強調するばかり。
 説明会では、新一年生の担任の代表として、竹水先生が、代わって事情を説明しました。
 「自主・自立という校風について考えてほしい。好き勝手にやってよいということではない。興味を持ち、考え、行動していって、主体的に考え、判断して進んではしい。教師も生徒の自主活動を大事に考えている」と、「所高システム」や「卒業記念祭」の経過を説明したあと、「(みなさんは)四月九日の心配をしていることと思います。
 教職員も生徒も、四月九日は、『入学を祝う会』のみをおこないたいと考えています。・・・しかし、現時点では、校長先生が入学式をおこなうといっているので、当日混乱のないよう最大限の努力をしたい。
 まだ時間があるので、安心して四月九日を迎えてください。決して混乱はありません」と。
 しかも竹永先生の発言は、その場の思いつきではなく、新一学年の教師たちが、保護者と生徒に対し、どのような説明をするべきか、討議したうえでの発言でした。
 ところが校長は、「竹水教論は、校長の説明と異なる説明をして、保護者、(入学)候補者に混乱を与えた」という「職員事故報告書」を県教委に提出。県教委は竹永先生本人ばかりか関係者に何も確かめず、わずか八日後の三月二十六日、処分を強行したのです。  

 

国連でも話題に

 県教委の処分を認めることは、〃自主・自立・自由〃の所高の校風を否定することになる!竹永先生は、処分を不服として、ただちに県の人事委員会に処分の取り消しを求める審査請求をおこないました。
 先生たちも、職員一同の名で、校長罷免と処分撤回を求める要求書を県教委に提出しました。
”大好きな所高を守りたい”と卒業生は有志の会を、PTAは総会で不当処分撤回の緊急決議を圧倒的多数で採択。「支援する会」もPTAを母体に、四月二十六日結成されました。
「所高」問題は、国連でも話題になっています。「…校長および県教育委員会・文部省が子どもの権利条約第十二条に規定されている『子どもの意見の尊重』原則や『子どもの参加権』、および第十四条の子どもの思想・良心・信教の自由、第五条の子どもの権利行使に関する父母の指示・助言権、等を重大に侵害する主張および行為を行った。
 文部省は、校長・県教委の行為を支持しており・・・」という内容の報告書「県立高校卒業式・入学式をめぐる重大な条約十二条等違反事件−−日本の教育行政当局は、子どもの権利条約の学校への適用に否定的である」が国連・子どもの権利委員会へ提出され論議をよんでいます。  

 

 

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「所沢高校問題」って?  

 先輩の教師・生徒たちの長年の努力で、制服がなく、「自主・自立・自由」を校則に定め、欧米では当たり前のこととなっている生徒と先生との間に「協議会」制度を持ち、生徒の「学校参加」を制度的に保障(所高システム)してきた埼玉県立の共学校。
 賛成・反対の意見が分かれる「日の丸・君が代」を校内で強制することに反対する「決議文」と、自由な高校生活と自治をうたう「生徒会権利章典を毎年の臨時生徒総会で採択している。
 ところが一九九七年四月、内田達雄氏が所沢高校校長に赴任し、所高システムを無視、入学式で、いきなり卓上「日の丸」を円卓にのせ、ラジカセで「君が代」を流すなど一方的な行為に出たことから問題が発生した。

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何より所高生のために

この日、所沢高校の教師、卒業生、弁護士、教育学者、竹永先生がそれぞれの立場から発言。
 主任代理人の桜井和人弁護士は、「これは白黒がはっきりしている問題なので、ポイントをしぼって、早期に審査を終わらせ、処分の取り消しを実現させたい」と話し、卒業生有志代表も、「有志で会をつくり、人びとに真実を知ってもらおうと、報告に歩いています。
 在校生の気持ちが何より大事なので押しつけないよう気をつけています。少しでも日本の教育がよい方向に変わっていくよう、小さい努力を積み重ねていきたい」と。
 竹永先生も、「民主教育のために、何よりも所沢高校の生徒のために、一日も早く処分の取り消しをかちとりたいと思います」と。支援の輪を大きく広げることを確認しあいました。  

 

☆支援する会−−−年会費個人千円 カンパ一口千円 

☆振込み先 所沢高校教諭への不当処分撤回を支援する会 郵便口座 0110−1−41588  

☆問合せ先 tel 048−643−8188 大宮市桜木町4−1005梅津ビル2F 谷村勝彦事務局長





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