こだわりの課題へ 戻ります 「地球温暖化対策推進大綱」では、夏時間(サマータイム)導入だけでなく「自転車利用の促進などライフスタイルの見直しを提唱していたはずなのに。


1999年5月23日(日曜日)北陸中日新聞


どうなるサマータイム賛否両論調整に時間


「通産省」環境、省エネ効果
「労働界」労働強化の恐れ


   


 政府の「地球環境と夏時間を考え る国民会議」(座長・茅陽一慶大大 学院教授)の提言を受けた「サマー タイム」(夏時間)の導入につい て、賛否が分かれている。「サマー タイム」は夏の間だけ時計の針を1 時間進める制度だが「参院サマータ イム議員連盟」(倉田寛之代表世話 人)が「省エネに効果がある」など と法案化を進める一方、労働界など は「労働強化につながる」と懸念を 示している。     (武田安弘)


◆積極派

 導入に積極的な与謝野馨 通産相らが力説しているの が「環境問題の解決と省エ ネ効果」だ。国民会議の最 終報告書は、サマータイム を導入すれば、その省エネ 効果は原油に換算して約五 億リットルとはじいている。これ は全世帯の約一カ月分の照 明需要に相当。一方、二酸 化炭素(Co2)削減は約四 十四万`と試算している。
  一九九七年に地球温暖化 問題解決のための「京都会 議」が開催された際、政府 は二〇一〇年に向けた緊急 対策として「地球温暖化対 策推進大綱」を決定。この 中で「サマータイム導入の 多面的な議論」が明記さ れ、今回の動きはこれに基 づいたものだ。
 積極派は、サマータイム になれば、夕方の明るい時 間が自由になるため、レジ ャーなどの機会が増え「優 しいライフスタイル」実現 の効果もあるとしている。


◆慎重派

一方、連合などが心配し ているのが「労働強化につ ながるのでは」という問 題。先のサマータイム議連 との懇談でもこの懸念を表 明した。
 「サマータイム」は終戦 直後の一九四八年、電力不 足などを理由に、当時の連 合国軍総司令部(GHQ) の指示で導入されたが、朝 鮮戦争の特需とぶつかった こともあって労働時間の延 長が問題化。国民にも不評 で、五二年に廃止された。  ただ、今回の国民会議の 最終報告書は「サマータイ ムと労働時間に相関関係は ない」としている。


◆時間切れ

 昨年十一月の総務庁の世 論調査によると「サマータ イム」の導入に賛成する人 が五四%と、初めて賛成が 半数を超えた。
 サマータイム議連は今 後、ワーキンググループを つくって法案化作業を急ぐ が、作業は早くとも六月中 旬までかかるとみられる。 仮に政府・与党が固めてい る三週間程度の延長を考慮 しても、今国会に法案を提 出できるかどうかは「時間 的に、ぎりぎり」 (議連関 係者)の状況だ。
 現在、サマータイムを実 施しているのは、欧米を中 心に五十カ国以上。導入す るためには、コンピュータ ーの設定変更などに総額千 億円がかかり、国際航空路 線の発着調整に少なくとも 二年間の準備期間が必要と いう。政府は「十分に検討 する」 (野中広務官房長 官)との姿勢で、国民への 周知と議論の深まりを期待 している。  

 


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