PC-9821Xa9/C8内蔵HDD交換の記録

内蔵ハードディスクを850MBから2.1GBに交換しました。


容量が少ないというわけではなく...

内蔵ディスクの容量を決して少ないと感じていたわけではないのですが、交換に踏み切りました。これは、そもそもCPUのアップグレードに躊躇しているところから始まります。というのも、MMX ODPの98に対する対応が非常に消極的で、未だにXaシリーズでの動作の可否も分からない状態(先頃の発表で絶望的なのは分かっているが...)です。そこで、CPUがだめならハードディスクの高速化を図ろうと考えたわけです。それならば「驚速95」を使えばよいのでは?と思う方もおられるのでしょうが、実はすでに私はもっており、その性能も分かっているのです。アプリケーションの起動は速くなるもののそれ以外ではあまりめぼしい成果がないようなので、ディスクそのものの交換を行いました。


どのディスクを選ぶか

世に多数のハードディスクが出回っている中で、どれを選ぶべきか迷うところです。まず接続するインターフェイスですが、これはE-IDEに接続することにしました。一時、SCSIへの接続も考えましたが、PC-9821での動作保証のある内蔵のSCSIドライブが販売していないのでいまいち踏み切れません。また、98のハードウェアの仕様から、IDEのハードディスクがないとATAPIのCD-ROMがWindows95から認識できないという現象が起きる可能性があります。メルコのCD-ROMドライブを装備している愛機Xa9は問題なく認識できる(メルコの内蔵16倍速ドライブはハードディスクが無くても認識できる)のですが、万が一認識できない状態になったとき、せっかく購入した16倍速ドライブが無駄になります。さて、E-IDEに決めたら本題のディスクをどれにするかです。候補に挙がったメーカーは以下の通りです。

Western Digital→98で採用実績が高いディスクで、世界的にも高いシェアを誇っています。

Quantum→やはり98でよく採用されています(主にValue Starのようです)。こちらもよく出回っているようです。

IBM→98ではタワー型などの上位モデルで採用されているようです。、高速なディスクを作っていて、MRヘッドが有名です。

上記の他にもいくつかのメーカーがあります。

無難な線ではWestern Digitalになります。これを98用として販売しているのはメルコです。ただ、メルコの内蔵ハードディスクシリーズは、値段が高いというのがネックになりました。

では、Quantumはどうかというと、98用として販売しているのがどのメーカーか分からないというのがありました。

それならIBMはというと、98用はI・Oデータから販売されており、値段がメルコのハードディスクより安いということ、さらに現在使用中の外付けSCSIハードディスクがIBM製で、非常に高速だということもあってこれに決めました。製品名は「HDI2.1G/98」です。また、このディスクにした理由はほかにもあって、取り付け金具が各機種用に豊富に添付されている点がそれです。実は、取り外した内蔵ハードディスクをBA3に取り付けようと思っていたので、BA3用の取り付け金具が必要だったのですが、ちょうどそれが添付されていたのです。


ハードディスク交換は、至難の業!?

ここで問題が発生します。ハードディスクを交換するということは今の環境を受け継ぐか、放棄して再構築するかの選択に迫られるということです。もちろん前者を選びました。しかし、大容量のバックアップ媒体をもっていないため、ハードディスクからハードディスクへ直接コピーをとることになります。普通なら特に問題にはなりませんが、私の使っている環境は少々複雑です。外付けのハードディスクを使用しているのが問題になるのです。というのも、内蔵ハードディスクを一時的にでも増やすということは、ドライブ番号がずれてしまうということです。外付けのハードディスクもアプリケーションをインストールしているので、ドライブがずれるとWindowsが起動できないという危機に陥ってしまうのです。ならばDOSからコマンドでファイルをコピーすればよいのですが、また問題が発生します。今度は、DOSコマンドを利用するとVFATのロングファイルネームが壊れてしまうのです。さすがに困りました。XCOPY32というコマンドが使えそうですが、DOS窓でないとロングファイルネームに対応していないのでどうにもなくなってしまったのです。さすがにこれにはまいったのですが、ネットサーフィンをしているうちに「ヴェクターデザイン」のライブラリーの中から「VFAT対応各種ツール」というのを発見しました。これならば純粋なDOS上であってもVFATを壊さずにコピーが行えます。このツールに含まれる「VFXCOPY」というものを利用すると、XCOPYとほぼ同じ感覚で利用できます。


実際の交換作業

本体をばらした後にハードディスクを一旦増設する形で取り付けることになります。念のために固定ディスクドライブベイ金具を利用してディスクを固定します。また、ディスクが一時的にでも2台になるのでケーブルはHDI付属のものを利用します。このときに忘れてはいけないのが、「マスター」と「スレーブ」の設定です。標準内蔵のディスクは「シングル」の設定になっているのでマスターに合わせます(スレーブでもよい)。HDIの方は反対にスレーブに合わせます(マスターでもよい)。設定の方法はどちらのディスクともHDIのマニュアルに掲載されているので参照してください(標準内蔵ディスクの説明もあるので親切だ)。そして、HDIの方をフォーマットします(間違っても元のディスクをフォーマットしないこと!)。このときフォーマッタになにを使うかということですが、今回はMS-DOS6.2の「FORMAT.EXE」を使用しました。「Windows95起動ディスク」を利用して「DISKINIT」を使おうとしたのですが、あまりにも時間がかかるので、やめました。「FORMAT.EXE」なら30分もかからずにフォーマットができました(「DISKINIT」だと1時間以上かかるようです)。このとき必ずシステムを転送しておきます。こうしておかないとシステム部分がうまく作成できず、起動できなくなる場合があるからです。(ちなみに環境を保つために、もったいないですが2GBで1パーティションとしました。)


ハードディスクを丸ごとコピーする

さて、先ほどの「VFXCOPY」を利用してディスクのコピーを行います。このときにオプション設定を読み取り専用のファイルなど特殊なものも含めてすべてをコピーするようにします。このようにすれば、Windows95の「IO.SYS」や「MSDOS.SYS」が、元々あるMS-DOSのシステムに上書きされて使えるようになります。ファイル数が非常に多いので辛抱強く作業を見守りましょう(別にずっと見ている必要はないでしょうが...まあ、この時間を利用してユーザー登録はがきに必要事項を記入するのもよいでしょう)。コピー作業が終わったらディスクそのものの入れ替えを行います。


ディスクの入れ替え

HDIをこれから使うディスクにするので、元から付いているディスクを取り外して、そこに取り付けます。このときに、HDIをスレーブにしてあった場合は、マスターにします。マニュアルを見ていると、シングルという設定はないようなのでマスターにします(ハードディスクのないBX3,BA3への取り付けの場合を見れば参考になるでしょう)。これで今までの環境を引き継ぎながらもディスクの交換が完了したわけです。また、CD-ROM交換の時の教訓から、ケーブルの取り付けは必ず確認してください。入れ替えをしているうちに取り付けが甘くなっている場合があります。


パフォーマンス検証

起動してみると非常に高速になっているのが確認できました。読み取りは非常に高速でSCSIにも負けていませんし、CPUの占有率もかなり低いようです。ところが、書き込みはどうかというと速度はMRヘッドのおかげで非常に高速ですが、CPUの占有率が異常に高くなってしまいました。とくに、連続して書き込みを行う(デフラグなど)場合、マウスの動きがスポイルされてしまうほどの占有率の高さです。処理の遅いマシンでソフトウェアシンセサイザーを使ったとき以来のことで驚きました。ちょっとした書き込みなら問題ないのですが連続すると、とたんに遅くなってしまうのです。Pentium 100MHzのCPUを使っているのが問題なのかとも考えますが、i486のBX3,BA3も対象の製品ですから、これはこのディスクの特徴だとしか言えない気がします。高速なMRヘッドが返って仇になったのかという気もしています。なんといってもPC-9800シリーズのE-IDEはPIO MODE2(8.3MB/秒)しか対応していないのでこの辺との兼ね合いにも問題があるのでしょうか。それとも1パーティション2GBというのが負担になっているのでしょうか。成功半分、失敗半分といった状態です。


今後の課題

書き込み時のCPU占有率の高さを解決することが先決となりますが、ちょうどIDE-98という98専用の高速なE-IDEボードが出たのでそれを試してみようと思います。また、PC-98のIDEには速度やCPU占有率といった点で限界があるのでディスク装置の完全なSCSI化を模索する必要があるということも実感しました。ただし、SCSI化する場合はボードがPCIスロットで使用するバスマスタータイプでないとCPUの占有率は下がりませんので、PCIスロットが1つしかない機種では非常に厳しい選択を迫られそうです。


なお、この改造はおそらくメーカーの保証が受けられませんので注意してください。

(当方も責任を負えません。)

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