今までE-IDE接続の機器に関して、スピードやCPU占有率の問題を何とかしようとがんばってきましたが、やはりPIO方式(CPUがデータ転送を行う)では、高速化することやCPU占有率を下げることは難しいということを痛感しました。分かってはいたのですがどこまでできるか試してみたかったというのもあったので、かなりの出費をしながらも行ってきたアップグレードでした。本当は最初から完全にSCSI化するつもりだったのですが、PC-9821対応の内蔵型のSCSI機器が見あたらなかったというのが、いまいち踏み切れなかった部分でもあります。しかし、最近になってメルコとI・Oデータから相次いで内蔵型のSCSIハードディスクが登場しました。もちろんPC-9821シリーズ対応です。登場を待たなくても、ドライブ自体はDOS/V用のものが流用できたのですが、やはり動作保証がほしいところですので願ってもない製品なのです。すぐに注文しようとしたのですが、発表後間もないということがあって「注文してもいつ来るか分からない」という店員の話がありましたので、一旦ハードディスクは購入を延期して、CD-ROMを購入することにしました。
(その後にハードディスクも注文しました。メルコのDBS-U2000です。)
SCSIボードに関してはPCI接続しか現時点で内蔵ディスク装置をSCSI化する方法はないと思います(かなり古いSCSITボードならば一部のボードで内蔵用コネクタがあるようですが...)。従って、今回はPC-9821シリーズでPCI接続のSCSIボードが装備された機種に限った改造となりますので注意してください。
CD-ROMを購入するといっても、PC-9821の内蔵型でSCSI接続という製品はおそらく販売していないでしょう(かなり古いものや、連装ドライブならばあります)。たしかに、SCSI接続のドライブ単体を購入してくれば動作するのでしょうけれど、DOS用のドライバがありません。NECCD.SYSで動作するものもあるのでしょうけれど、確証がもてません(松下やソニーならば動くかもしれません)。要は内蔵タイプでDOS用のドライバがあればよいということなのです。一番確実に手に入るドライブでドライバが付属する製品ということになると、外付けしかありません。そこで決めました、どうせ何にしても保証がないのならば「外付けを分解して内蔵してしまえ!」と思ったのです。そこで外付けを探すことになりますが、すぐに思いつく有力候補は、
メルコの「CDS-S24」とI・Oデータの「CDV-PX24」の2種類です。
調べてみると、どちらのドライブもパイオニア製のものを使用しています。型番が違うということは分かりますが、どちらが新しいとか性能がよいとかは分からないので添付ソフトで選ぶことにしました。ライバル関係のメーカーですので、性能は互角であろうと思ったのです。
結局I・Oデータの「CDV-PX24」を選びました。Windows用のCDプレーヤーやDOS用のCD-ROMキャッシュドライバが付いているので魅力です(特にキャッシュドライバが)。価格は、2万7千円以下(金沢市内)で購入できるようです。ドライブ単体より高いですがDOS用ドライバがあることと確実に動くという強みがあります。
(SCSIのフラットケーブルが手元にない場合は一緒に購入しておいてください。また、2番目のコネクタと3番目のコネクタの間が長いケーブルの方が、ハードディスクをSCSI化する際に取り付けやすいと思います。)
さっそく装備したいところですが、外付けのままで動作確認を行っておきましょう。製品には万全を期しているのでしょうが、万が一故障していた場合は、初期不良なのか、分解が原因なのかが分からなくなると困るからです。動作確認をパスしたらいよいよ分解です。分解は簡単ですが、以下に手順を示します。
分解が終わったらPC本体に取り付けます。まず、元からあるATAPI仕様のドライブを取り外します。このときフラットケーブルもマザーボードから抜いておきましょう。(付いていても仕方がない。)取り外し、取り付けの際にビスを紛失しないように気をつけて、先ほど分解したドライブを取り付けます。ドライブの取り付けの際は、SCSIのフラットケーブルとロータリースイッチを先に取り付けておいた方が作業しやすいと思います。あとは、SCSIボードにケーブルを取り付け、ケーブルをふたなどで挟まないように気をつけて元通りにしましょう。
これで取り付けは完了です。パソコンを起動すると、外付けとして使用した動作確認の時と同じように使えるはずです。
DOSで使用する場合は添付ディスクの中にあるSCCD.SYSを使用すれば問題ありません。ただし、これはインストーラを使わないとファイルが使用できませんので、必ず一度インストールしてファイルを復元してください。前のDOS環境をそのまま引き継ぐのであればSCCD.SYSからNECCD.SYSにリネームしてしまえば簡単です。元々のNECCD.SYSを上書きして置き換えましょう。このとき忘れずにシステムインストールディスク(バックアップ媒体を復元するディスク)のNECCD.SYSも上書きコピーしてファイルを置き換えましょう。こうしないと、いざ復元というときにCD-ROMが全く認識されず途方に暮れることになります。なお、DOSでの使用が多い方は、キャッシュドライバも使いましょう。常駐量も少なく、高速化に重宝します。
(なお、DOSに付属のNECCD.SYSをすべて試しましたが、全くだめでした。やはり、DOS用のドライバがある製品が安心です。)
一番手っ取り早くしかも確実に分かるのはVideoCDを再生してみることではないでしょうか。体感的に分かるので比較しやすいと思います。手元にサンプルがあるので再生してみました。すると明らかにコマ落ちが減っています。ただし、16倍速と24倍速の比較なのでテストとしては不公平感があります。しかし、ATAPIで4倍速から16倍速に変えたときに、やはり同じテストをしていましたがほとんどコマ落ちが変わらなかったことを考えると、CPUの占有率の低さがうかがえます。マルチタスク環境下では、いかにCPUに負担をかけないバスマスター転送が重要か分かります。
今回は外付けドライブを分解して内蔵するという荒技を使いましたが、CPUをオーバークロックで動かすのに比べれば安全確実な方法だと思います。とはいえ、この改造もメーカーの保証などは一切受けられなくなりますが(もちろん当方も責任を負えません。)、現状ではこれ以外に良い方法(内蔵CD-ROMをSCSI化する方法)が無いように思います。
また、今後の予定としては、内蔵ハードディスクに関してもSCSI化しますので、その際はレポートを公開したいと思います。