[もどる] [いちらん] [すすむ]

<ククルの店>

 “ククルの店”は、ソイの街の北側にある小さな店です。 店は古びて不思議な感じのするつくりで、魔法の匂いも強くただよっています。 ただ“ククルの店”という看板だけが新しく、そぐわない感じです。 入口の横には看板より小さめの札があり『不用なもの買います、必要なもの売ります』 と書かれています。
 “ククルの店”は、魔女ククルが経営する魔法の店です。 この店では、“笑い”や“悲しみ”“希望”“悪夢”“恋心”などなど、 本来なら売買ができない、形がないものを魔法をつかって売買しています。 誰かが必要としていない“形のないもの”を買い取って、それを必要とする誰かに売る…… それが、この店の仕事です。現在の店の主人ククルは14歳の魔女で、 去年(魔女を引退した)母親のココルから店を譲り受けたばかりです。 『“形のないもの”を抜き取って瓶につめて保存する 魔法』は、 ココルのお婆さんのまたお婆さんから受け継がれている魔法で、 ククルもそれを習い受けたのですが、なにしろ若い魔女 なので、店の経営の苦労が多いようです。
註:つまり、プレイヤーたちの魔女より、 一年先輩です。先輩風をふかせ、ちょっぴりいばってふるまうかもしれません。
 タスオ・ニコルさんは、 この店で自分の“笑い”を売ったのです。
 さて、魔女たちが、どうするかですが……

★堂々、店の中に入るなら……

 →店の中は薄暗く、人気がありません。“商品”は奥のほうにしまってあるようで、 いくつかの古道具(壷や絵など)などが飾るように置いてあるだけです (よく見ると、一本のモップがしまい忘れたかのようにドアの近くに立てかけてあります)。 静かで、時計のコチコチいう音だけがしばらく響きます。魔女たちが、 店の中を見回していると壁にかけた鳩時計の窓が開き、鳩時計の鳩が “お客だよ、お客だよ!”とカン高い声で鳴きます。それからしばらくすると、 奥から灰色の服を着た少女が、灰色の猫をひきつれてやってきます。彼女がククルです。
註:ククルが防犯用に魔法をかけてある「魔法のモップ」で、 妙なことをすると、叩いてきます。
「戦闘」のルールをつかうなら) 攻撃力はダイス1個ぶんで、 HPは20です。

★こっそり、店の中に忍びこむなら……

 →夜忍びこんでも昼間忍びこんでも、忍びこんでからしばらくすると、 さっきの鳩時計が、カン高い声で“泥棒だよ、泥棒だよ!”と鳴くので、 すぐにククルに見つかってしまいます。また、店にあるモップが、 飛んできて魔女たちをなぐりつけます(ククルが防犯用に魔法をかけてあったのです)。
註:ここは、とくに「戦闘」のルールを使わなくてもかまいません(ククルは、 別に相手を死なせようなんて思っているわけではないのです)。
 ククルは、適当なところで、モップに命じてたたくのをやめさせ、 怖い顔で魔女たちに「どういうつもりなの?」と聞いてきます。
(魔法を使うなどして、うまく見つからないように忍びこんでも無駄です。 タスオさんの“笑い”はすでに売れており、この店にはもうないのです。)

<魔女ククル>

 ククルには、きちんと事情を話したほうがいいでしょう。 (魔女たちが実力行使にでようとすると、魔法のモップが襲ってきます)
 忍びこんで、ククルの機嫌をそこねている場合は、加えて 「すてきな笑顔」「ごまかし」などの チャレンジによって、印象をよくしなければならなく なるかもしれません。
 さて、事情を話すと、ククルは少し考え、自分の猫と話し合ったあと、 「いいわ、教えてあげる。その人の“笑い”はもう売れちゃったの。 売った先を教えてあげてもいいけど……」それから、一息おいて 「タダってわけにはいかないわ」
註:ククルは実は、やさしい(というより気が弱くて、人がいい)少女なんです。 でもパートナーの猫「プーケ」は、 そんなククルが商売人むけではないと知っており、いつも 「ちゃんと儲けを考えるように」とうるさく言います。このときも、 そんな感じの会話のようですね。
【ククル&プーケ キャラクターシート】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
名前:ククル/SKNE                 年齢:14才
経歴・家族など:おばあさんのそのまたおばあさんの代からソイ(SOI)
        の街で魔法の店をつづけている。猫のプーケがマネージャー
【魔女の能力】
ふつうのちから(3)    :本を読む(3)聞き耳(5)ごまかし(2)
               礼儀作法(3)
魔女のちから(2)     :魔法を調べる(2)薬の調合(6)
               ケガや病気をなおす(6)
ほうきで空をとぶちから(1):長時間飛ぶ(5)猫いらず飛行(1)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
             魔法力カレンダー
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 月齢 : 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
 魔法力: 6 2 6 1 2 4 1 2 5 4 1 3 3 -9
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 月齢 : 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
 魔法力: 3 9 3 5 3 2 5 2 5 3 4 6 3 1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
暗示するカード :宝石(GEM)   魔法力があるのは 月齢16日目
影の暗示のカード:天秤(THE BALANCE)魔法力が落ちるのは月齢14日目
魔女のヒットポイント:18
魔女のもっているもの・その他:魔法のモップ(命じると、攻撃する。
               攻撃力ダイス1個、ヒットポイント20)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
猫の名前:プーケ              性別:オス
色・柄:灰色                年齢:2才
猫の能力   強さ :4
       美しさ:1
猫のヒットポイント :31
猫のマジックポイント:28
猫がもっているもの・その他:がんじょうな体、ふしぎなヒゲ×3
              するどい爪
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
猫バンク:7    猫ポイント:     魔女の経験ポイント:183

<ククルの申し出>

 ククルの店では、“商品”をガラスの瓶に入れて保存してあります。ところが、 ラベルがはがれてしまい、いくつか内容がわからなくなった瓶があり、 ククルは困っています。
 ククルの申し出とは、中身のわからない瓶の内容を調べるための、 いわば“実験台”になってくれというものです。
 方法は簡単。瓶を開けてそのなかのものを、ちょっと舐めるだけです。 飲み干すのでなく舐めるだけだったら、中身がなんであれ、 影響を受けるのは一時的なものですし、ちょっと舐めただけでも、専門家のククルが見れば、 その内容はわかると、彼女は説明します。(彼女の言葉に嘘はありません)
 魔女たちが、その申し出を受けたなら、ククルは奥からいくつかの瓶を持ってきます。 調べなければならない瓶の内容は、やってきた魔女たちの人数と同じ数 (魔女が2人なら2つ、魔女が3人なら3つ)です。瓶のなかを舐めるのを誰にするかは、 魔女同士で相談して決めてください(ひとりの魔女が複数舐めてもかまいませんし、 猫が舐めてもかまいません)。
 瓶のなかには液体とも気体ともつかない不思議な霧のようなものがはいっています。 その内容は、舐めた時点ではじめてわかります。 ゲームマスターはダイスを1個ふって、 内容を決めてください(2回目以降に同じ目が出た場合、ふりなおします)。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
【1】“悲しみ”=誰かが売った“悲しみ”です。舐めた者は、それから2時間
 のあいだ、何を見ても何を聞いても、ひどく悲しくなり涙がとまらなくな
 ります。                             
【2】“怒り”=誰かが売った“怒り”です。舐めた者は、それから2時間のあ
 いだ、何を見ても何を聞いても、腹がたち、おこりっぱなしの状態になり
 ます。周りの者が押えないと怒りのあまり相手をえらばずケンカをしよう
 とします。                            
【3】“おかしさ”=誰かが売った“おかしさ”です。舐めた者は、それから2
 時間のあいだ、何を見ても何を聞いても、おかしくてしょうがなく、笑い
 がとまりません。注意しないと、笑われた誰かが怒ってしまい面倒なこと
 になるかもしれません。                      
【4】“恋心”=誰かが売った恋心です(かなわぬ恋と悟り、苦しまないために
 売ってしまったのでしょうか?)。これを舐めた者は、舐めてから初めて
 見た異性にひとめぼれしてしまいます。しかもタチが悪いことに、その相
 手の前では、あがってしまい喋ることができません。夜ベットに入ると、
 その異性の顔がちらつき、胸がしめつけられるようで苦しくて仕方なくな
 ります(翌日になれば“恋心”はすっかり消えてしまいますから御安心を
 )。                               

 註:ここで、すかさず物語には関係ないカッコいい男のコを登場させたり
 すると盛り上がりますよ。(あるいは逆に、おじいちゃんとか、3歳の男
 の子だとか……)                         

【5】“食欲”=誰かが売った“食欲”です(ダイエットのため?)。これを舐
 めた者は、それから24時間にわたって激しい食欲に襲われ、とくに甘い
 ものが欲しくて仕方がなくなります。24時間たてば、もとにもどります
 が、そのとき、魔女の体重は<ダイス1個ふった目×2キログラム>増え
 てしまっています(猫の場合、<ダイス1個ふった目×200グラム>で
 す)。                              
【6】“眠気”=誰かが売った“眠気”です。舐めた者は、急に眠くなり、その
 場で眠りこんでしまいます。誰かが起こしてあげれば目をさましますが、
 翌朝がくるまで、眠くてしょうがなくなります。           
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 約束したぶんの瓶を調べ終わると、ククルは約束通り、 タスオさんの“笑い”を売った先を教えてくれます。
「でも、売った先がわかったからって、解決できるかどうかはあなたたち次第よ」 とククルはいいます。 「たいそうな値段で売ったから、買い戻すとしても大変でしょうし……」

<他に方法は?>

 瓶のなかのものを飲むほかに、魔法占いを使って、タスオさんの“笑い” のありかを調べることにしてもかまわないでしょう。
 あるいは、ククルの店を手伝ったり、誠意をみせて仲よくなるなどすれば、 ククルも「しょうがないな。じゃ、特別に教えてあげる」と言ってくれるかもしれません。
註:ククルは本当は、人がいいんです。

<画家のジャン>

タスオさんの“笑い”を買ったのは、ジャンという名の画家(25歳)で、 街の中央にある教会近くの宿屋に泊まっています。 宿屋の主人に聞くと、けっこう有名な画家であると教えてくれます。 部屋には、絵を描くための道具や、絵の下絵などがたくさんおいてあります。 魔女たちが訪ねたばあい、嫌な顔もせず部屋に通してくれます。 「魔女だって? 魔女がなんのようだい? ……まぁ、いいや。 気晴らしにお茶でも入れようと思っていたところさ。一緒にどうだい?」 みれば、彼はなにか悩んでいるようすです。
註:“絵をかく”スキルを持っている人は、 絵画の知識もあるわけですから、チャレンジ して成功すれば、ジャン氏のことを聞いたことがあるかもしれません。
 悩みがあるのかと聞いてみると、彼は語りはじめます(とても悩んでいた ので、誰かに聞いてもらいたかったのでしょう)。
「僕は、昔から絵を描いていてね。苦労もしたけど最近になって、 ようやく評判が出てきて、この街の教会から、聖堂の壁画を描いてくれと頼まれたんだ。 25歳の若さで聖堂壁画だぜ! これは、画家にとってはたいへんな名誉なんだ、 わかるかな? 僕は大張り切りで仕事を引き受けたものだよ。もちろん、 この作品の出来で、僕の画家としての評価も決まってしまうから、 へたなものを描くわけにはいかない。僕は、全力で、この仕事にとりかかったよ。 ところが……」 ジャン氏は、ふうとため息をつきます。 「絵の中心ともなるべき、天使たちの微笑む表情が、どうしてもうまく描けないんだ」
 悩んでいたジャン氏は数日前、街の人から噂で “ククルの店”のことを聞いたそうです。 そこで、わらにもすがる気持ちでその店を訪ねることにしました。 魔女のククルは、 買ったばかりのタスオさんの“笑い”を取り出し“これを絵の具のなかに混ぜて使えば、 とびっきりの笑顔が描ける”と教えました。そこでジャン氏は、 貯金のほとんどをはたいて(それほど、今回の作品にかけていたのです)、 タスオさんの“笑い”を買うことにしたのですが……。 「ところが、その“笑い”を買った僕は、別の悩みを抱えることになってしまった」 ジャン氏は語ります。 「考えてみれば、魔法にたよって絵を描いたら、 自分の作品ではなくなってしまうんだ。……ああ、このままでは、 絵は仕上がらないし、いったいどうすればいいんだろうか?」
 買った“笑い”を使うのも後ろめたく、さりとて、自分の才能にも限界を感じ…… ジャン氏は、現在、悩みに悩んだ状態にいます。

<さて、どうしよう?>

 タスオさんの“笑い”は、 ジャン氏の部屋の戸棚に、まだ使われず残っています。さて、魔女たちはどうしますか?
 実のところ“笑い”を、魔法などで (こっそりと、あるいは強引に)奪ったとしても、ジャン氏は、 取り戻そうとしたり、届け出たりはしません。逆にあきらめがついて、 自分の才能で壁画を描ききろうと頑張ることになります(壁画の出来はイマイチ、 ということになりますが……)。
 頼んだり、説得した場合も、ジャン氏はすんなり“笑い”を返してくれ ます(高額で買ったこともさほど気にしていないようです)。 この場合も自分の才能で壁画を描くことになるでしょう。
 さて……ジャン氏が天使の微笑みをうまく描けないのは、 実はいいモデルがいないからという理由なのです。だから、こんな方法もあります。
 “笑い”を、タスオさんに返し、笑顔を取り戻したタスオさんと、その一家に、 モデルとなってもらうのです。 ただで“笑い”を返してもらうことにタスオさんは抵抗を感じるかもしれませんが、 それは“モデル代”だということにすればいいでしょう。 ……もとの笑顔を戻したタスオさんは(そして タキオくんと キミさんも)、 それはそれはすてきな笑顔の持ち主で、ジャン氏も「これだ!」と叫んで、 スケッチを何枚もとり、元気を取り戻して壁画に再びとりかかることになります (完成した壁画は、素晴らしい出来ばえで、評判となります。また、 ニコル家の人たちによく似た天使たちが描かれていることに魔女たちは気がつくでしょう)。
註:ルールでいうなら、 “すてきな笑顔”スキルを「12」持っているほどの笑顔です。
 また(タスオさんの“笑い”とは関係なく)、 魔女たちがモデルを申し出ることができます。その場合は、「すてきな笑顔」 でチャレンジしてください(こ の場合、壁画の出来は、そのチャレンジが成功するかどうかにかかっています)。

<おわり>

 タスオさんに、取り戻した“笑い”を飲ませたなら、今回の仕事は終了です。 タスオさんの笑いは戻り、それにつれてタキオの悩みも消え、彼の笑いも戻ります。
註:別の人が飲むと、別の人がその“笑い”を得ることになります。 (魔女が飲んだ場合、“すてきな笑顔”のスキルがあがることになります)でも、 その場合、今回の任務は失敗したことになっちゃいますよ!
 タキオくんの悩みを解決してあげることができたら、 今回の仕事はまずまずの成功といえます。加えて、 画家のジャンの悩みも解決してあげることができたら、大成功といえるでしょう。
 うまく解決したなら、次の魔女夜会では、 大魔女さまから、お褒めの言葉がもらえることになります。
●今回登場した、 タキオミカ魔女ククルジャン氏などの人物を再登場させて、 自作のシナリオをつくるのも楽しいでしょう。
[もどる] [いちらん] [すすむ]

ウィッチクエスト 小さな魔女エディス 下巻
編著者・監修 冒険企画局 SGM01764@niftyserve.or.jp
HTML版製作 さうす@いんくる south@incl.or.jp