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シナリオ「うしなわれた笑顔」

 このパートでは、「ウィッチクエスト」用のシナリオを紹介します。
 シナリオとは、テーブルトークのRPG を行うときに用意しておく状況設定のことです。 そのなかには、キャラクター たちが出会う事件がどんなもので、どんな始まりかたをするか、 どんな登場人物があらわれ、どんなふうにすれば解決するか……などがまとめてあります。
 テーブルトークのRPGは、 ひとりのゲームマスター(GM) と数人のプレイヤーで行われます。 GMだけがシナリオの内容を知っており、 どんな始まりかたで事件が起こるかを説明します。 プレイヤーたちはそれぞれ自分のキャラクターをつくり、 その事件(シナリオ)に挑みます。 プレイヤーたちはシナリオの内容を最初は知りません。プレイヤーたちにとって、 それは冒険を通じて徐々に明らかになっていくのです。
 GM役の人は、シナリオの内容と 「ウィッチクエスト・ロールプレイ・ルール」 をよく読んでおいてください。
 もちろん、シナリオのなかの出来事はゲームマスターが自分でアレンジして 内容を変えてもいいことになっています。またプレイヤーの行動によっても ストーリーがどんどん変りますから、 同じシナリオでロールプレイをしても、やる人によって物語はみな違うと思ってください。 シナリオといっても、決まった筋書、というわけではないのです。
 ひとつのシナリオは、一度やってしまうと、プレイヤーにも内容がわかってしまうので、 基本的に1回しかできません。
 同じメンバーでまた「ウィッチクエスト」をプレイする場合は、 別のシナリオを用意しなくてはならないわけですが、 次はこのシナリオを参考にあなた自身がオリジナルのシナリオをつくってみてください。 自作のシナリオもまた素晴らしいものです。
●このパートでは、実際にこのシナリオをプレイしてみようというゲームマスターの 人へのアドバイスなどを中心に書いていきましょう。
●なお、月齢何日目から物語がはじまるかについては、 ウィッチ・タローを使って決めてください。(やりかたは 152ページ参照
註:自作のシナリオをつくるためのアドバイスが 155ページから紹介してあります。 また 「ウィッチクエスト・小さな魔女エディス(上巻)」 には、リプレイ に使用した2本のシナリオが紹介されていますので、参考にしてください。
★           ★
 このシナリオは、 はじめて「ウィッチクエスト」を行う人のために用意された簡単なシナリオです。 はじめての人でも2時間〜3時間ほどで行うことができるでしょう。 プレイヤーの人数は4人 (つまり魔女2人に猫2匹)ぐらいが適当ですが、基本的に何人でもかまいません。
註:休日の午後にちょうどいい時間でしょう。
 このシナリオの猫ポイントは「100」です。

<はじまり>

 いつものように生活している魔女たちのもとへ、いつものように、 大魔女さまから指令がやってきました。
『ソイの街でタキオという子どもが困っているから、助けに行きなさい』
註:どのように指令がやってくるかは、いろいろ面白い演出を考えてください。 手紙で届くとか、伝書バトが届けてくれるとかでも十分ですが、 かわった演出にすると、魔法の世界っぽくなって、雰囲気も高まります。
例えば……
「食事が終わると、その皿にいつのまにか書いてある」
「テレビを見ていると、大魔女さまが写って、 まるでこっちが見えるかのように喋ってくる」
「窓から舞いこんだ木の葉に、指令が書いてある」
 そこで、魔女たちは、 ソイの街に向かったのですが……。
(以下の部分は、ゲームマスターのひとだけ、 お読みください)

<ソイの街>

 ソイの街は、ウトの港 の近くにある、海にのぞんだ潮風かおる街です。
 街の歴史は古く、石造りの白い建物と石段がめだちます。 街のなかにはちょっとした森もあり、やすらいだ雰囲気を感じさせてくれます。
 街の中央には、大きな教会があり、美しい音色のその鐘が、 ソイの街の人々にお昼どきや、ゆうげの時を知らせます。
 今回の大魔女さまからの指令には、そのタキオという子どもの家の番地も 記されているので、迷うことなく、目的の場所に行くことができます。
 ソイの街の 「魔法を信じる力」は「7」、 「魔法を嫌う力」は「5」です。
註:この街で魔法を使うことになったら、この数値を参考にしてください。 (この2つの数値については、149ページ参照
(魔女たちは、教会を見物に行きたがるかもしれません。そういう行動をとった場合、 魔女たちは以下の事実を知ることができます。)
註:すぐにアパートにいってもらったほうがスムーズに進むのですが、 こういった“寄り道”もプレイヤーには楽しいものです。(ただし、 寄り道ばかりでも困りますから、適当な所で「そろそろ、目的地にいったら?」 とうながしてください)
 ソイの教会は、現在その聖堂が立入禁止になっています。 その理由を教会の神父さんに聞くと「有名な絵かきさんに、 聖堂の壁画を描いてもらっているんだ。すばらしい絵になるはずだから、 出来たころ、またいらっしゃい」 と言ってくれます。そこで「できるのは、いつごろになりそうか?」と尋ねたなら、 神父さんは、ちょっと顔をくもらせ、「それがねえ……絵かきさんが最近スランプぎみで、 仕事がはかどってないんだよ」と言います。

シナリオ用MAP(ゲームマスター用)

                                  
           【町の北側】CUCURU           
              |  POOKE            
              |                   
           凹凹凹|凹凹凹                
          ◇□□□|□□□◇               
         ◇□□□□□□□□□◇ 【町の東側】       
        凹□□□□□+□□□□□/ TASUO       
【教会】−−−−−−−−−−Λ□□□□/凹             
 SHINPU 凹森森□□□■□□□/□凹             
  −SAN  凹森森/□■■■□□□□凹             
        凹森/森□□□宿−−−−−−−【教会近くの宿】   
        凹/森森□□□□□□□□凹   Mr.JAN    
        /凹森森森□|□□□□凹              
       /  凹森森□|□□□凹               
      /    凹凹凹|凹凹凹   SOI city     
     /        |                   
 【街の西側】       |                   
  KIMI       【町の南側】               
              TAKIO
              MIKA
  

<タキオのお願い>

 タキオの家はソイの街の南側にあるアパートの1室で、表札には 「タスオ・ニコル  キミ・ニコル  タキオ・ニコル」と書かれています。
 呼鈴を押すと小さな男の子が出迎えます。彼がタキオ・ニコルです。
 タキオは魔女たちをひとめみると、 「たすけにきてくれた、魔女さんですね。さあどうぞ」と家のなかに招きます。 彼は、いつのまにか届いていたという手紙を魔女たちにみせてくれますが、 それには『タキオくんへ。きみのなやみは、わたしたち まじょがかいけつしてあげます。 あんしんしてください』と書かれています。(どうやら、大魔女さまの仕業のようです)
 タキオ・ニコルは、ニコル家のひとり息子で年齢は9歳。 両親は共働きで家を留守にすることが多く、魔女たちが訪ねたときも、ひとりです (いわゆる「カギっ子」です)。
●ここのシーンは、巻頭のコミックでも紹介してましたね。 (17ページ)
 彼は、魔女たちに、このように語ります。
「ぼくは、ちょっとまえまで、病気だったんです。ぼくの病気は、なおったんだけど、 その日から、パパはちっとも笑わなくなっちゃったんです。きいてみても、 おこってもいないし、きげんもわるくないっていうんだけど、 どんなことをしても笑ってくれないんだ。ぼくの病気をなおすのに、ずいぶんお金が、 かかったらしくて、そのせいじゃないかとおもうんだけど……」
 話によれば、タキオのお父さんは、ずいぶん笑顔がすてきな人だったようなのですが、 タキオが病気をなおしてからを境に少しも笑わなくなり、 おかげで家庭の雰囲気も一変してしまったそうなのです。タキオは、 そのことが自分のせいだと思い、そのちいさな胸を痛めています。ちなみに、 タキオ自身もすてきな笑顔の持ち主なのですが、 そのせいでだんだん笑うことができなくなっているのです。
 さて、魔女たちがタキオを助けようとするなら、行動開始です。 タキオのお父さんとお母さんの勤め先は、タキオが教えてくれますし、 また部屋には家族の写真などもありますから(写真をみるとなるほど、 タキオのお父さんはとびっきりの笑顔をしています)、その顔も覚えることができます。
註:魔女たちが借りていくこともできますし、 “絵をかく”チャレンジで成功すれば、模写することもできます。 魔法で複製をつくる場合、この写真の 「魔法を信じる力」は「8」で、 「難易度」は「2」です。
 魔法を使ってタキオを元気づける、というような行動をしても構いません。 タキオの「魔法を信じる力」は「10」。このアパートの部屋の 「魔法を信じる力」は「8」です。

<さて、魔女たちの出番です>

魔女たちがとるであろう行動と、その結果を記しておきます。
註:プレイヤーのみんなは、 はじめてRPGをする場合、 どんな行動をしていいのか分からないこともあります。 あんまり悩んでいるようだったら、「例えば、こんな行動があるけど……」 とアドバイスしてあげてください。 反対に、いろいろシナリオの指示にないような行動をしようとするかもしれません。 そのときは、あなたの腕のみせどころです。

★近所で噂をきく

 →近所の人は「ニコルさんは、 とてもすてきな笑顔を持っていたひとなのに、最近笑わないのはどうしたわけだろう」 と口々にいいます。なかには、「タキオくんを医者にみせるには、 ずいぶん大金がかかったらしいが、どこからお金を都合してきたのかな」 と言っている人もいます。
 また、同じアパートにミカという、 タキオと同い年の女の子がおり 「タキオくんは、さいきんちっとも、笑わなくなっちゃったの」 と心配そうにしています。魔女たちが“自分たちがそれを何とかしにきたのだ”と語ると、 「ぜひとも、おねがい」と一生懸命たのんできます。
註:タキオくんのガールフレンドでしょうか?
こういうふうに、登場人物に色々言わせて、魔女たちに 「自分たちが頼りにされているんだ」って、自覚を持たせるんです。 (じっさい頼りにされてるんですから)

★タキオのお父さんに会う

 →タスオ・ニコルさん(32歳)は、 街の東側にある小さなレストランで料理番をして給金をもらっています。 タスオさんは、料理の腕もあるようで、この店はなかなか評判がよいようです。
 タスオさんは仕事が忙しく、特に昼時、夕食時などは絶対会うことができません。 あいた時間なら魔女たちに会ってくれますが、なるほど、 にこりとも笑わない無愛想な人です (タキオの家で見た写真とずいぶん印象が違うことに魔女たちは驚くでしょう)。
 話をしてみると、彼はていねいな言葉づかいの人だとわかりますが、 なにしろ笑わないので、気になります。事情を説明すると 「タキオがそんなに気にしていたのか。私も気をつけよう」と悲しい顔をしますが、 あまり魔女たちには協力的ではありません (彼から見れば、しょせん13歳の女の子にしか見えないので、 そんな子どもたちに助けを借りようなどとは考えもしないのかもしれません)。
 魔女たちが、魔法を使って、 タスオさんを笑わせようとしたばあい、不思議なことに、 魔法が成功しても、彼に笑いは戻りません。かわりに“彼の笑 いは魔法でとられた。とられた笑いがなくちゃだめ”と書かれた紙切れが出現します。
 いずれにせよ、タスオさんは、やがて忙しくなってしまい、 適当なところで調理場に呼ばれて仕事にもどってしまいます。
註:タスオさんまの心のなかを魔法でさぐると、 “ククルの店” を訪ねている彼の姿が見えます。(この魔法の 「難易度」は「0」。タスオさんの 「魔法を信じる力」は「6」です)

★タキオのお母さんに会う

→キミ・ニコルさん(29歳)は、 街の西側にある雑貨屋で店番をして給金をもらっています。キミさんは最近元気がないので、 お店の主人や、なじみのお客さんもそれを気にしているようです。
 キミさんに事情を話すと、自分たちのことで心配してくれていることに、 お礼をいってくれますが、魔女たちにあまり協力的ではありません(しょせんは、 13歳の子どもにしか見えないので、このことが解決できるとは思っていないのです)。
 魔法を使って自分たちに力があることをみせたり、 熱心に頼みこんで説得すれば、彼女は心を開いて、事情をはなしてくれます。
註:キミさんは素直で優しい人なので、だましたり脅したりしないで、 誠意をもって説得するといいでしょう。 “すてきな笑顔”チャレンジに成功したり、 なにか魔法でステキなことを見せると(しおれた花を生き返らせるなど)効果的です。
キミさんの 「魔法を信じる力」は 「8」です。
 タスオさんは、 タキオくんの病気の治療代をつくるため、この街の “ククルの店”と呼ばれる魔法の店に行き、 自分の“笑い”を売ってしまったのです (キミさんは、そこまで話したばあい、“ククルの店”の場所も教えてくれます)。

★魔法、占いなどで調べる

 →魔法や、「占い」チャレンジによって、情報を得ることもできます。 その方法をとったばあい、“ククルの店”に何かあるということがわかります。

★その他

 →「風読み」で風に聞いたり、 街のなかで情報を集めたり、など他のやり方もありますが、 その場合も、“ククルの店”に何かあるということがわかります。
註:プレイヤーのみんなが積極的だったら、 できるだけどんな行動でもさせてあげてください。 (ただし、うまく“ククルの店”にいくように……)
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ウィッチクエスト 小さな魔女エディス 下巻
編著者・監修 冒険企画局 SGM01764@niftyserve.or.jp
HTML版製作 さうす@いんくる south@incl.or.jp