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シナリオ2:ディアイスのフライトコンテスト

◆オープニング

 ディアイスの街、あるいはその付近に住んでいる魔女たちは、 1週間後に行われるディアイス名物であるフライトコンテスト (飛行競技)を心待ちにしています。 フライトコンテストとは自作飛行機で高さ20メートルのヤグラから飛び立ち、 そのフライトの距離が一番長かったチームが優勝となるといったお祭りです。
●このシナリオの「猫ポイント」は100です。
 ディアイスの街は、年に1度のお祭りで一色に染まっています。 魔女たちがディアイスの街で人にあうたびに“フライトコンテスト”の話題になります。
註:リプレイでは、プレイヤーの魔女たちが、 ディアイスに住んでいるという設定だったので、 あのようなオープニングとなりましたが、他の町に住んでいる魔女なら “お祭り見物にやってきて、事件に巻き込まれる” というオープニングになったでしょう。
 さて、そうしていると魔女のところに一人のかわいい男の子が飛び込んで来てこう叫びます。
『急にお姉ちゃんが、フライトコンテストに出ないって言うんだ。 お姉ちゃんを説得してください!!』
 プレイヤーのところに来た少年の名は“テン・キール”といいます。 彼はフライトコンテスト優勝候補である“カノック・チーム”の一員です。彼の お姉さんは“メミナ・キール”といいます。
 テン・キールは自分のチーム小屋に魔女たちを連れて行きます。

◆目的と真相・その1

 今回の魔女たちの目的は、そのカノック・チームのエースパイロット “メミナ・キール”を、コンテストに参加させることです。
“メミナ・キール”は、父親であるカノック・チームのチーフ“ロッド・キール” があまりにもフライトコンテストにばかり夢中なので、家族をかえりみてほしいために
『もう、パイロットはやめたい!!』とか、
『普通の女の子にもどりたい』と訴えているのです。
 本当は彼女はパイロットになり空を飛ぶことが好きです。 家族仲よくこのコンテストに取り組むことを期待しているのです。


◆ディアイスの様子

 ディアイスの街はフライトコンテストの話題で持ちきりです。魔女たちは、 以下のような話を聞きます。また、プレイヤーが街の人たちに質問すると、 たいていのことは教えてくれます。
1.どんなチームが出場するかについて
「今年の優勝もカノック・チームかタイトキ・チームだな。カノックには、 ロッドの娘である優秀なパイロット“メミナ”がいるし、 タイトキの軽量型の飛行機はそうそう負けないだろう」
2.パフォーマー部門(フライトの距離を競うのではなく、 ニワトリなどのぬいぐるみを着て、飛ぶまでのようすや格好のおもしろさを競う、 いわば仮装大会)の出場ならいつでも、受け付けている。
3.カノックチームとタイトキチームの家族関係やチーム構成について。

◆チーム構成と家族関係

 今回のシナリオに登場する主な人物を紹介します。GMは以下の登場人物をよく読み、 カノックチーム小屋やタイトキチーム小屋の様子などの説明にふくらみを持たせてください。
註:このシナリオには、たくさんの登場人物が出てきますので、 よく整理しておいたほうがいいでしょう。(あなたがゲームマスターをやる場合、 人間関係の図などをつくって、まとめておくといいかもしれません)
1.カノック・チーム
・ロッド・キール(38歳):カノックチームの総監督。 パイロットのメミナ・キールとテン・キールの父親。何にでも夢中になり、 1つやり始めると最後までやりとおすタイプ。
・メミナ・キール(13歳):カノックチームのパイロット。いじっぱりだが、 本当は素直な少女。
・テン・キール(10歳):カノックチームのサブメカニック。 運動神経はないがメカには強く、メカニックのクルエタじいさんと飛行機 “カノック号”を設計した。まじめな少年。
・クルエタ・タメキ(60歳):カノックチームのメカニックデザイナー。 がんこ一徹であるが、みんなからは“じいさん”と親しまれている。
・キョータ・コーラン(40歳):カノックチームのスポンサー。コーラン飴 で有名なコーラン社の広報部長。非常にうたがいぶかい。
・ルオー・キール(36歳):ロッド・キールの奥さん。ロッドに少し愛想をつかして、 家出中。

2.タイトキ・チーム
・タイトキ・クラ(39歳):タイトキチームの総監督兼パイロット。 長男のタメルンを3年前のフライト事故で亡くしてしまったが、責任をもって続けている。
・ピット・クラ(8歳):タイトキの次男。しっとぶかい少年でもある。
・ネア・クラ(39歳):タイトキ夫人。
・タメルン・クラ(当時15歳):3年前のフライトコンテストでの飛行中、 軽量化をはかりすぎたタイトキ号の両翼がもげ、まっさかさまに墜落し、 うちどころの悪さのため死亡してしまった。
・サンディエル・ロン(25歳):タイトキチームの総メカニック。 いつもにこにこの明るいお兄さん。
・トマカ・デニス(30歳):『明るいデニス』のコピーで有名の、 デニスカラーテレビの広報部長。彼の性格もやはり明るい(営業用スマイル)。

◆真相その2(家族編)

1.カノックチーム(キール家)
 メミナが言うように、父ロッド・キールはこのフライトコンテストが近づくと、 様子が変わります。実は、それにはわけがあります。
 タイトキさんの長男タメルンが亡くなったため 『いい加減な飛行機で飛んでは事故に遭い、メミナがあぶない』と考え直し、 いままでの趣味程度から真剣に取り組むことにしたのです。
 また、『タイトキさんに同情をして、手を抜いていては相手に失礼だ』 とも考えました。

 娘のメミナをあぶない目に遭わせたくないのは、奥さんのルオーさんです。 ルオーは3年前の事故(タイトキさんの長男が亡くなる)をきっかけにフラ イトコンテストに参加することを、嫌うようになりました。そして、 何度もロッドに参加するのをやめるように説得しましたが無駄だと判断して、 事故から1年後(今から2年前)に、家を出て行きました。 これは、ロッドが私(ルオー)がいなくて生活できるか? つまり、 家庭なしでやっていけるかどうかロッドを挑発したのです。
 ロッドが自分のところへあやまりにくれば、ルオーは戻ってくるでしょう。

 メミナは父ロッドが、あまり家庭的な父親でなくなったために、 お母さんが家を出て行ったと考えています。
 メミナはお母さんが戻ってきて、父ロッドがもっと家庭を見てくれるように 期待しています。

 弟テンは、父親のまじめな姿にあこがれています。姉さんのメミナが何故急に 『パイロットを辞める』といいだしたのか理解不能です。どちらかというと、 メミナのわがままに怒ってさえいます。

2.タイトキチーム(クラ家)
 タイトキ・クラは息子が死んでしまったために、 大会に参加することを辞めようかと考えましたが、 ロッド・キールさんの真面目な取り組みと、周囲の応援、 また妻のネアのはげましによって続けて行くことに決めました。
 しかし、次男のピットを同じ目に遭わせたくないので、 あまりパイロットとしての技術は教えていません。

 実は、ピットは面白くありません。どうみても、 父タイトキは年齢的にも体重的にもパイロットを続けていくには無理があります。 何故、自分にパイロットがまかされないのか?  自分に何が足りないのか悩んで落ちこんでいます。

◆魔法

 これらの人の心を見る魔法は、さほど難しくありません。どの人物につい ても成功率は<“魔法を信じる力10”+“魔法の難易度3” +“その日の魔法力(魔法力カレンダーの数字)”>とします。

◆カノックチーム小屋

 (テン・キールに連れられて)魔女たちはカノックチーム小屋に案内されます。 中は50メートル四方ばかりのホッタテ小屋で、 水平尾翼の所に黄色いプロペラが2つ横にならんでついた飛行機が見えます。
 メミナの部屋はその小屋の奥にあって、鍵はかかっておらず、 部屋のなかではメミナがベッドの上でうつぶせになって寝ています。メミナは、
『誰にも会いたくない。帰って』と言います。
 それでも魔女たちが、何故フライトコンテストに出ないか?  などを問い詰めると“3年前の事故から父さんは人が変わり、 お母さんは家を出て行ってしまった”ことを話してくれます。続けて “お母さんを連れて帰ってきてほしい”と魔女たちにお願いします (母ルオーは街の中に住んでいます)。

◆事件

 フライトコンテスト2日前にして、カノックチームのカノック号の胴体部分の 所がナイフのようなもので切られています。
 カノックチームは『誰がこんなことをしたのか』 といった話題で持ちきりです。『メミナの仕業?』、『タイトキの仕業?』 などいろいろと犯人の推理が行われます。 テン・キールは『誰がこんなことをやったの?』とプレイヤーたちに聞きます。
 実はこれは、タイトキさんの次男ピット君の仕業です。 ピット君は自分がタイトキチームでは何もできないことに、 憤りを感じてカノックチームの機体にキズをつけたのです。
 この事実を知るには、カノックチームの“カノック号に聞いてみる” のがいいでしょう。この魔法の成功率は<“魔法を信じる力7” +“魔法の難易度5”+“その日の魔法力(魔法力カレンダーの数字)”>です。
註:リプレイのなかでは、誰も試さなかったようですが、こんな方法もあったのです。 (魔女はどんな魔法でも使えますから、この魔法や、 リプレイで使われた魔法のほかにも、犯人を知る方法はいろいろあるでしょう。 プレイヤーがいいアイディアを思いついたら、できるだけ、 それをいかすようにしてください)
 魔女の誰かが成功すると、カノック号は『昨日の夜遅くにタイトキさんと このピット君が、錆びたナイフでおれの体に傷をつけたんだよ』と教えてくれます (失敗した場合、飛行機に話しかけている魔女たちを見て、 カノックチームのコーランさんが人指し指を頭の横でくるくると回します)。
 魔女が希望するならば、カノック号に他の質問もできます (カノック号は自分が知っているかぎりの事実を教えます)。

 また機体の傷をなおす魔法の成功率は<“魔法を信じる力11” +“魔法の難易度10”+“その日の魔法力(魔法力カレンダーの数字)”>です。

註:傷を魔法でなおすことができたら、魔女たちはとても感謝されるでしょう。 ちなみに失敗したとしても、カノック・チームの面々は、徹夜の作業でなんとか、 修理をすることになります。

◆解決方法

 今回のシナリオでは解決方法がいくつかあります。
註:リプレイではまたちょっと違った解決法をとっていました。 他にもいろいろな解決法があるでしょう。
1.メミナを含めた、 キール家の家族全員に互いの気持ちを理解させる魔法をかける方法
 この魔法の成功率は<“魔法を信じる力10”+“魔法の難易度6” +“その日の魔法力(魔法力カレンダーの数字)”>です。
 これに成功するとキール家全員は、互いに理解し合いメミナはロッドに 『ごめんなさい』といい『また、パイロットになる!!』ことを約束します。 ロッドはルオーとメミナに『私が、悪かった。ルオー。メミナすまなかった』 とあやまります。ルオーは『また、みんなでがんばりましょう』といってくれます。

2.メミナをコンテストに出場させる魔法をかける方法
 この魔法の成功率は<“魔法を信じる力2”+“魔法の難易度2” +“その日の魔法力(魔法力カレンダーの数字)”>です。
 あまりスマートなやり方ではないかもしれませんが、 これに成功するとメミナはコンテストに出場してくれます。

註:本当は、メミナだってコンテストに出たくないわけではないのです。 たとえこんな方法でも「きっかけ」をつくってあげれば、 彼女もやる気になってくれるかもしれません。
3.メミナを挑発する方法。
 『メミナ!! あんた本当はこわくて出たくないんでしょ!!』
などと挑発する方法です。メミナはいじっぱりなので、 きっとその挑発にの ってくるでしょう (コンテストで実況中継している場外マイクをうばって挑発するのもいいかも)。

4.メミナのお母さんのルオーを連れてくる方法
 これをすることによってメミナは大喜びです。 ルオーが“メミナを説得”すればすぐにでも出場を希望するでしょう。

註:しかし、この方法をとるなら、まずルオーさんに 「メミナを説得してくれるように」説得しなければなりません。 そのためには、ルオーさんに、ロッドさんの本当の気持ちを伝えたり、 あるいは、ロッドさんに「今年を最後に出場はやめることにすること」を、 約束させるなどしなくてはならないでしょう。
5.フライトコンテストのパフォーマー部門で優勝する方法
 これは、魔女たちがパフォーマー部門で観客の大ウケをとり、 いかにコンテストの競争が馬鹿らしいことか教えてやるのです。これは、 プレイヤーたちが(実際に)面白いことをやって、GMであるあなたと、 他のプレイヤーたちを笑いの渦に巻きこんだ場合に成功したことにします。
 観客と審査員はプレイヤーたちの栄誉をたたえ、 来年からパフォーマー部門は公式種目として認められます。
 カノックチームのロッドさんとタイトキチームのタイトキさんは、すばや くプレイヤーたちのところまで来て『私を弟子にしてください』 『いやいや、わたしのほうを弟子に……』と訴えます。
註:リプレイでは、シリアスな方向にストーリィが進みましたが、 こんな解決法もあったのです。プレイヤーのみんなが冗談好きで、 パフォーマンス派である場合、この解決法も面白いでしょう。

◆エンディング

 1.2.3.4.のいずれかの解決方法であるならば、 メミナはコンテストに出場して飛んでくれます。 彼女が機体に乗り込むと明らかに魔法の力が彼女から発せられているのに気づきます。
 人が本気になった時、表れる現象(いわゆる“気”)です。
註:そう。この世界では、誰だって「魔法」の力をもっているのです。 魔女みたいに、いつも魔法を使えるわけではありませんが。
(本を読んでいるあなたにも、魔法の力があるんですよ。 あなたがなにかに夢中になっているとき、魔法の力が発せられてるんです)
 彼女(メミナ)が飛んだかと思うと辺りは静まりかえります。その中を、 彼女は鳥のように翔び続けました……。

 そして、メミナは最長飛距離の新記録をたたきだします。

 彼女は湖から引き上げられると同時に、観衆にかこまれて胴上げをされます。 何回も何回も……。

◆GMへ最後の一言

 今回のシナリオは魔女の魔法は、 かけほうだいですので魔法をどんどんかけさせるようにしてください。
 今回のシナリオは、ロマンにかける男たちと、 それに伴うトラブルや人間関係を描写したシナリオです。

 最後の最後まで魔女たちはメミナを説得できない、こともあるかもしれません。 その場合はフライトコンテストに来ている観客たちは『メミナ!! メミナ!!』 とメミナコールをしていますので、 観客にメミナが応えてギリギリで参加することになります。

 コンテストから数日後、魔女たちに一通の手紙が届きます……。
『いろいろ、ご迷惑をおかけしました。いまでは家族仲良くやっています。 メミナ、テン、そしてルオーとロッド・キールより』

●誰も悪くないのに、すれちがいや、誤解によって悲劇が起こる。 このシナリオはそんな事件でした。さて、あなたがプレイした場合、 どんな物語になるでしょうか?

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ウィッチクエスト 小さな魔女エディス 上巻
編著者・監修 冒険企画局 SGM01764@niftyserve.or.jp
HTML版製作 さうす@いんくる south@incl.or.jp