職員室から

 

                        主任 繁在家 真紀


十二月。ばらぐみさん達が聖誕劇に取り組む季節です。
しらゆりっこになり、毎年繰り返されるこの聖誕劇を、
去年までは憧れのまなざしで見ていたばらぐみさん。
いよいよ自分達の番になり、役決めをし、どの子もしっかりと自分の役を受け止めて、
演じている様子が見受けられます。

聖誕劇は、しらゆりっこなら誰でもお祈りの時に口にする、
イエス様のお話しです。
二千年も前の事。
赤ちゃんイエスが、
母マリアからお生まれになるというお話しなのです。

あたり前の事ですが、あのイエス様でも、
幼い頃は母マリアに、
すべての信頼をゆだねていたにちがいありません。
幼稚園の子ども達が、初めて幼稚園に一人で登園する時、
たいていの子は遅かれ早かれ泣きます。
その時は必ずといっていいほど、
「お母さん!」「ママー!」と言って泣くのです。
まれに「おばあちゃーん」と叫ぶ事はありますが、
残念ながら、「お父さん!」と叫ぶ事は、めったにありません。

ある時、母の日に、♪おかあさんという曲を歌っていた時、
「おかあさ〜ん」と泣いてしまったすみれぐみさんがいました。
♪ママとゴーゴーという歌を歌った時に、
「あのねぼくのお母さんはね・・・」「わたしのママなんかねえ・・・」
とばらぐみのお部屋ではお母さん自慢が始まりました。
お腹の中で育む事ができるお母さん。
生まれたその瞬間からもそのすべての信頼を得、生活していく事ができるお母さん。

まさにお母さんはこども達にとって特別な存在であるという事がいえるでしょう。

 
私事ですが、今年の10月に祖母を亡くしました。
私と同じ町内に住んでいて、
物知りで手先の器用なおばあちゃんでした。
そのおばあちゃんが、病院のベットに横たわり、いよいよ逝ってしおうとする時、
私の叔父は、二種類の精一杯の呼びかけをしたそうです。
九十一歳の我が家のおばあちゃんなので、「ばあちゃん!」
と呼びかけたのがひとつ。自分の母親だから「母ちゃん!」
と呼びかけたのがひとつ。そしてなぜか不思議と「母ちゃん」
と呼びかける度。
目頭になんとも言えないあついものがこみあげてきたそうです。

母と子は切っても切れない間柄なのかもしれません。
誰もが母から生まれ、母なる大地に帰っていくのだと思いました。
 
 

いろいろな親子関係がありますが、子どもの成長を願わない親はいないと思います。
イエスさまは母マリアから生まれました。聖誕劇に取り組んでいるばらぐみさんは、
とてもやさしい表情をしています。遠い昔のお話しだけど
、しらゆりっこ達はマリアさんってとってもやさしい事を知っています。
・・・そして、マリアさんをとりまく人々もとってもやさしい事を知っています。
だから、自然にやさしい表情ができるのだと思います。
 
クリスマスに、大好きなお母さん、心の中のお母さん、
自分を産んでくれたお母さんの事思い出してみてはいかがでしょう?
 









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